貴方は私に 自由と孤独を 教えてくれた人
夜がくるたびに無口になって 震える肩を抱きしめていた
だけど今は 貴方への愛こそが 私のプライド...
今井美樹「PRIDE」より
私は、自律支援から毎週1時間ヘルパーさんの支援を受けている。掃除や、調理或いは用意等の家事のお手伝いを主にして貰っているが、お話し相手にもなって貰っている。1年以上のお付き合いなので、前回私を客観的にどう思うか尋ねてみた。気を遣っての褒め言葉はさておき、一つに「プライドが高い」と言った後に口を滑らした表情をされた。一瞬、プライドが高い＝自尊心が高い＝新型うつになるタイプと連想してしまったが、少し間を置いてこう答えた「プライドは持っていますよ。仕事はプロフェッショナルに徹するべきだと思うし、そうして来たし」
然し乍ら自己分析は少し違う。中卒、無学と云う社会的立場の弱いコンプレックスがある。中卒では取れない資格が山程或る。大抵高卒以上。職域も限られてくるし、昇進出来る会社は数少ない。実力主義にシフトしそれに応じて給与を上げると以前の会社も謳ったが、評価手法が御座也だった。コンプレックスが拭いきれない社会で生きてきたから、独学で高卒、大卒と渡り合える様に自分也に務めは果たして来たと思う。そう云った意味ではプライドを持っている。が、コンプレックスの裏返しだ。私は無学ですと記す様に、まだまだ知識や技能が足りないと常に思うし、自分を過大評価していない。
私の力量不足は嫌というほど味わってきたし、それを悩み苦しむ。未だにだ。然し乍ら、以前も記したが自分自身で壁を作ることを良しとしないし、常に私に取っては難題でも解決策はある筈だと模索するし、他人様に出来て自分に出来ない事はないと、可能性を否定しない。出来ないと思ったら成長が止まる。生きている間は、一生勉強である。
その道のプロは、極めると、例えば寿司職人、握る寿司のシャリの米粒の数は何度数えても同じ数。寿司ネタのグラム数もまた同じ。人間の本来持っている感覚を研澄ませれば、やれば出来るのだ。例えばとある大阪の私営駐車場、敷地いっぱいに車を停める為に車の隙間は1cm程のすし詰状態。客が出来る筈も無く、勿論従業員がやるのだが、ぶつけて傷を付けたことが無いと言う。やれば出来るのだ。研磨でも触感でマイクロの単位までもを見抜く達人も居る。
ここ迄書いて、夜が明けて来たからボランティアに出掛ける。5時30分也。
雨上がりや雨の日はやらないが、道路が乾いている日は近隣中規模公園迄の道のりと、公園のゴミ拾いをする。ゴム引きの手袋をして、トングを使わず直接手でゴミを拾いレジ袋に放り込んで進む。腰を曲げ、時に、しゃがんでゴミ拾いする事で足や背筋が鍛えられる。半年以上引き蘢っていたから良い運動になる。公園迄は約1km、公園内もくまなく歩き回るので1日数km歩く事になる。
早朝散歩や犬の散歩をする人達が結構多いが、ゴミ拾いしていると知らない人も「お早うございます」と挨拶してくれるし、「ご苦労様」「有難う御座います」と労いの言葉を掛けてくれる人が多い。
今日は嬉しい事があった。最近出来たセブンイレブンの周りをゴミ拾いしていると、清掃している女性店員さんが「有難う御座います。私達がやらなくちゃならないのに、有難う御座います」と声を掛けて下さった。そのコンビニが出来た事で、レシートやおにぎりの包み等のゴミは確かに増えた。が、利便性も増したのだから「お互い様ですよ」と私は返した。そのセブンイレブンで、ペットボトル飲料を買い、店を出た時にも清掃をしていた女性店員さんは「ゴミは置いていって下さい」と声を掛けてくれた。「有難う御座います。でもまだ、ゴミ拾いしますから」と軽く会釈をし、公園へ向う。その女性店員さんの心優しさが私の心を癒してくれた。笑みが零れてしまう。男性女性厭わず、そう云う心優しい人の存在が確認出来ただけでも、心和やかになる。有難い存在だ。
ゴミ拾いも一段落、四阿のベンチで一服していたらお爺さんが池を覗き私に聞く。「この花は何ですか？」「水蓮です」「綺麗に咲いてるねぇ」「ええ、昼間花が開き夜は萎むんです」「蓮ではない？」「蓮は葉に切れ目がなく、水上に茎を伸ばし、花の真ん中にレンコンを切った様なものがありますね」「あぁ、成る程」昨日も記したが「英語ではロータスと言って蓮も水蓮も区別がないんですけれどね」とまぁ色々やり取りして、「勉強になりました」「いえいえ、楽しんで下さい」と。
見知らぬ人と会話を楽しむ事も、健康的だとつくづく思う。
ゴミ拾いしたゴミそのものは、市の公園担当、公園管理委託業者と取り決めて囲いのある場所に置いておく。空き缶や瓶、ペットボトル等は近くの自販機のゴミ箱に、それ以外はプラも何もかも一緒くただから、分別回収している市の回収ゴミには出せない。産業廃棄物扱いにして貰う為に取り決めをしている。