2020年4月24日
国内で1万人を超えた新型コロナウイルスの感染者。NHKでは、このうち4月17日までの9800人余りについて、年代や感染経路などのデータを詳しく分析しました。その結果、最近の感染拡大の特徴が見えてきました。
9852人のデータを分析
NHKは、全国の放送局を通じて自治体が発表した感染者の性別や年代、職業、感染経路などのデータを集め4月17日の時点の9852人について分析しました。
人口10万人あたりの感染者、東京に続き北陸が上位に
<figure class="c-img c-img--article"></figure>感染者の実数で最も多いのは東京都、次は、大阪府ですが、人口10万人あたりでみるとまた違った順位になります。
東京都の20.1人に続くのは、石川県の14.1人、そして福井県の13.5人でした。高知県も9.0人で8番目になっていて、全国平均の7.8人を上回りました。
北陸などでなぜこのような結果になるのか。これらの地域では、特定の企業や医療機関などで集団感染とみられるケースが発生していました。地方でも感染拡大が深刻になっていることがうかがえます。
男女別・年代別で見ると 20代女性の感染者が多い
<figure class="c-img c-img--article"></figure>感染者を男女別と年代別で比較します。
男性で割合が多いのは、次の年代です。
- 40代 19.6%
- 50代 18.8%
- 30代 16.3%
- 20代 14.6%
- 60代 12.9%
男性で割合が少ないのは、次の年代です。
- 90代以上 0.8%
- 10歳未満 1.1%
- 10代 1.8%
- 80代 4.6%
- 70代 8.8%
女性で割合が多いのは、次の年代です。
- 20代 20.2%
- 50代 16.2%
- 30代 15.1%
- 40代 14.0%
- 60代 10.3%
女性で割合が少ないのは、次の年代です。
- 10歳未満 1.4%
- 10代 3.0%
- 90代以上 3.0%
- 80代 6.9%
- 70代 9.3%
注目されるのは20代女性の感染の多さです。
男女別・年代別 人口あたりで見ると
<figure class="c-img c-img--article"></figure>人口10万人あたりで見ると、女性で最も多い20代女性は13.4人となっています。男性で最も多い50代は13.2人となっています。
20代女性の感染がなぜ多いのか。日本感染症学会の理事長で東邦大学の舘田一博教授は、医療や介護の現場で働く人や、接客業の人たちなどに、若い世代が多い可能性を指摘したうえで、「さらに詳しい解析が必要だ。誰もが誰かに感染を起こしてしまうリスクがあるという意識で行動することが重要だ」と話しています。
発表日ごとに年代別の割合を見ると 30代以下で増加傾向
<figure class="c-img c-img--article"></figure>国内の感染拡大のなかで、年代別にはどのような変化があったのか。発表日ごとの年代別の割合を3月から見てみます。
- 3月上旬から中旬にかけては「60代以上」が多く、「30代以下」が少ない傾向で推移。
- 3月の終わりごろからは逆に「30代以下」がほかの年代を上回り、「60代以上」が比較的少なくなる傾向になりました。これは、東京などの都市部で感染者が急増した時期と重なります。
- その後、4月中旬以降では年代別の割合の差が小さくなる傾向になっています。
都市部と並行して高齢者の割合が高い地方でも感染が拡大したことで、世代の差が小さくなっていくのでしょうか。
感染経路が推定できる人 不明な人 その割合は
<figure class="c-img c-img--article"></figure>感染経路が分からない人が増えていることについてデータから見てみます。3月下旬以降、1日ごとの割合の変化をみると、やはり、感染経路が推定できる青い色の割合が日に日に少なくなってきたのがわかります。全体の半数以下にまで減る傾向になっています。
<figure class="c-img c-img--article"></figure>感染経路が推定できる人 不明な人 年代別では
<figure class="c-img c-img--article"></figure>感染経路が推定できる人とできない人の割合を年代別に見てみます。
10代以下や、70代以上では推定できたケースが半数を上回ったのに対し、20代から60代では感染経路が推定できたケースが半数を下回り、とくに、30代から50代で感染経路がうかがえない傾向が顕著になっています。
感染経路が推定できる人 不明な人 職業別でも特徴が
<figure class="c-img c-img--article"></figure>職業別では、介護士や介護施設の利用者などの「介護・福祉」、大学生や学校の教員など「学校・教育」、医師や看護師などの「医療関係者」などで感染経路が推定できるケースが多いのに対し、「飲食・接客」や「会社員など」は感染経路が推定できる割合が少ない傾向となっています。
感染者の職業は半数程度しか公表されず、職業の分類も自治体によって異なるため、あくまで参考のデータですが、病院や介護施設といった感染経路が推定しやすいケースと、飲食・接客のような不特定多数の人に接するケースとで、傾向に違いが出ているといえそうです。
専門家はどう見る
今回の分析結果について、日本感染症学会の理事長で東邦大学の舘田一博教授は次のように話しています。
《地方でも感染が増えていることについて》
「人口が多いところで患者数が多くて、その後、地方にと考えていたが、ある地域では3密を起こしやすい環境が作られている可能性がある。今は感染のまん延期なので誰でも感染してもおかしくない状況だ。患者数の多い都心から地方に移動した人を中心に集団感染が起きてしまう可能性があるので注意が必要だ」
《20代女性の割合や40代男性の割合が多いことについて》
「この感染症は人と人との接触で感染のリスクが高まるのでさらに詳しい解析が必要だ。40代、50代の男性は働き盛りで多くの人に会い、移動もする。夜の街に出て行く機会も多いのかもしれない」
《データ全体から言えること》
「男女、年代にかかわらず、誰でも感染を受けるリスクがあるし、誰もが誰かに感染を起こしてしまうリスクがあるという意識で行動することが重要だ」
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