結局、あの「消えた年金記録問題」とは一体なんだったのか?

2019年06月23日 12時50分03秒 | 社会・文化・政治・経済

2007年、日本中に衝撃が走った「消えた年金記録問題」。旧社会保険庁が解体され、政権交代が起こる原因にもなったこの問題ですが、10年以上を経た今でも、あの問題は何だったのか、その後どうなったのか、すべてを理解している人は少ないのではないでしょうか。この件について、無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』の著者・hirokiさんが詳しく解説しています。

あなたの年金記録は大丈夫? 消えた年金記録問題はまだ終わっていない!

平成19年2月の事ですが、この第一次安倍内閣の時に「消えた年金記録問題」というのが大きな問題となり、日本中にとてつもない衝撃が走りました。

この時に判明したのが、平成18年8月時点で5,095万件の誰のものかわからない年金記録がある事が判明し、平成19年の参院選、平成21年の総選挙で自民党が大敗して、旧民主党が大勝して政権交代が起こる大きな原因にもなりました。

今の日本年金機構の前身である旧社会保険庁も平成21年12月をもって解体された。55年体制(1955年に自民党が誕生して与党第1党としてずっと自民党が政権を取ってた)と言われた自民党政権が重大な年金問題の発覚によって崩れ去ってしまった。
,095万件の記録というのは、5,095万人という意味じゃなくて被保険者と年金受給者合わせると3億件ほどあった記録の内の5,095万件という意味ではありましたが、それにしてもすさまじい衝撃的な数字でした。

現在の年金記録は、人それぞれ一つの基礎年金番号というので管理されています。昭和61年にどんな職業に就いていようが20歳以上60歳未満の人は全員国民年金(基礎年金)に加入して、生涯を通じて同じ番号を持つという基礎年金番号というものが平成9年1月に付されることになりました。

昭和61年3月までは、民間企業に勤めている人は厚生年金、公務員は共済年金、自営業の人や5人未満の零細企業の人等は国民年金に加入するというふうに制度が別々に分かれていて、加入する制度が変わると新たな番号が付されるというような事になっていました。

また、同じ制度に転職(例えば民間企業から転職して再度民間企業に就職)した場合は普通は同じ番号のはずなんですが、ここでもまた新たな番号が付されたりしていた。よって、基礎年金番号ができるまでは、一人で複数の番号を持つという事が少なくなかったわけです。
基礎年金番号が導入されたことにより、これらの複数の番号をお持ちの人はその基礎年金番号に統合していきました。しかしそれが完全に統合されずに残っていた年金記録が「宙に浮いた年金記録問題」として5,095万件もの誰のものかもわからない記録として残っていたことが判明しました。誰のものかもわかんないから「宙に浮いた年金記録問題」とか、「消えた年金記録問題」、「消された年金記録問題」とも呼ばれます。


またその統合の中で問題になったのは「消えた年金記録問題」と「消された年金記録問題」。消えた年金記録問題というのは、本来は厚生年金保険料だったら会社が給与から保険料を天引きして納めるんですが、天引きされてるのにもかかわらず旧社会保険庁にその納めた記録がないとか、またその中には旧社会保険庁の職員の年金保険料着服により消えてしまったものもありました。本人は領収書を持ってるのに年金記録がない事でそういう問題が判明した。こういうのが消えた年金記録問題。
消された年金記録問題というのは、厚生年金保険料は従業員本人と事業主で半分ずつ保険料を負担するわけなんですが、事業主が高い保険料を負担したくないがために、従業員の給与(標準報酬月額)を実際の額よりも引き下げたり、または会社が厚生年金から偽装脱退したりというもので年金記録が消されたとかですね。
こういうのを訂正しながら、平成26年3月に一応の決着がなされました。

決着といっても、記録が解明した件数は3,012万件で、そのうち年金受給に結びついたのは1,771万件で、あとはもうすでに亡くなられてたり、過去の一時金として貰っちゃってて年金受給権がないものは1,241万件となってます。
既に亡くなられてた場合は未支給年金として遺族に支払われた。それ以外は今なお2,000万件ほどの記録が未解決となっています。
まあ、打ち切りという感じですね。かなり解明が困難という事で。

この2,000万件のうち、840万件くらいは特別便の対象になったけど回答が無いから持ち主が判明してないという状態で、920万件ほどが持ち主の手掛かりがいまだ得られていない記録。こういう所は本人で探すという事が必要となってしまった。

年金というのは本来、自ら請求する事により年金支給が発生するのでその請求時に本人の過去の記録の間違いがあれば訂正すればいいやっていう管理の甘さが招いたものでもあり、そういう旧社会保険庁の杜撰な管理に問題が明るみになって、平成21年12月をもって社会保険庁は解体され、平成22年1月からは年金業務は日本年金機構に引き継がれました。
そして今は毎年誕生月にねんきん定期便が送られて、直近1年間の記録が記載されています。

なお、年金定期便は35歳、45歳、59歳になるとそれまでのすべての記録が記載されたものが送られてきますので怪しい所は必ずチェックするようにしましょう。

この節目年齢時のねんきん定期便には今までの年金記録が記載されてますので、記録に漏れや誤りがある場合は同封されてる年金加入記録回答票に調べてほしい期間を記載して返信しましょう。

 


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