取材に応じたのは、伊勢赤十字病院(三重県)感染症内科の坂部茂俊 医師。
坂部医師は、新型コロナウイルスに感染し発熱の症状が続いていた男性患者に「アビガン」を投与しました。男性は当初、軽症とみられていましたが、呼吸症状が悪化するなど肺炎症状が出たため、本人の同意のもと治験として「アビガン」の投与が行われたといいます。
「(アビガンを)投与した日を境に明らかによくなった。客観的に見てもよくなったし、患者さんもよくなったと言っていました」(伊勢赤十字病院感染症内科 坂部茂俊 医師)
実際に投与した医師として、坂部医師は「アビガン」の使用について「重症化を待つべきではない」と指摘します。
「重症化が進み過ぎたものには効きづらいので、重症化を待って使うスタンスは よくないと思います」(伊勢赤十字病院感染症内科 坂部 医師)
重症化が予測される患者には早めの投与をすべきとする一方、坂部医師は「そもそもインフルエンザの治療薬」であるアビガンに、期待をしすぎてはいけないと慎重な意見も持っています。
「使ったら効くかということはわからないので、医療者側から積極的に勧めて使うというのはあまりよくない」(伊勢赤十字病院感染症内科 坂部 医師)
新型コロナウイルスの「治療薬」候補は、アビガン以外にも挙がりはじめています。
加藤厚労相は28日朝の会見で、エボラ出血熱の治療薬「レムデシビル」について、新型コロナウイルスの治療薬として海外で承認されるなどの要件を満たせば、「特例承認制度」を使って審査を速やかに進めると述べました。
審査には通常1年程度かかりますが、この制度では審査を簡略化し、期間を短縮して承認することができます。
総理官邸の幹部は「早ければ来月(5月)にも承認したい」と話していて承認されれば、国内で初めて広く使われる新型コロナウイルスの治療薬となります。
治療薬の候補として名前が挙がった「レムデシビル」と「アビガン」。それぞれに、異なる特徴があります。
5月にも承認される可能性がある「レムデシビル」は液体で、点滴で投与するものです。アメリカでは投与された患者のほとんどが、急速に改善したという報告があります。
一方の「アビガン」は錠剤で、感染症学会で報告されたデータによると、軽症者の9割、重症者の6割で改善がみられたということです。
しかし「アビガン」は胎児に奇形を生じさせる可能性があるため、妊婦は服用することができません。授乳中の母親や、“妊活中”の男女も注意が必要だということです。
人工呼吸器をつけているなど「アビガン」を服用することが難しい場合でも、「レムデシビル」であれば点滴で投与することができます。
また、坂部医師によると、薬によって症状がおさまっても「体内のウイルスがすぐに消えるわけではない」ため、その後も入院が必要になるといいます。坂部医師が治療に当たったケースでも、PCR検査で2回陰性が出るまで、1週間は入院が必要でした。
坂部医師は治療薬も大切な一方、手洗いやうがいをしっかり行い、予防を徹底して欲しいと話していました。
最終更新:4/30(木) 11:39
中京テレビNEWS
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