バイクと音楽を楽しむ前期高齢者

ロイヤルエンフィールドとグループサウンズ、カワサキWシリーズとグランドファンクをこよなく愛しています。 

20160118 torazo650 ディスカバー志布志航路

2016-01-18 20:06:25 | バイク

2012年におこなった中国大陸・九州ツーリングレポートです。

プロローグ
 当初は中国地方を計画していた。北海道とか東北とかの遠方に比して近辺の旅が少なく、未踏の地が多かったからだ。
 これとは別にお遊びで「ダイヤモンドフェリー」を検索していると、バイク+人間1名のソロツーリスト向け企画を発見。鹿児島・志布志~大阪南港ルートがなんと1万3100円。
かつては2万円近い金額だったと記憶している。これは買いだ!そんな理由で中国~九州ルートに決定。

5月18日(金)  快晴
おうち→姫路→上郡→建部→備中高梁→吹屋→西山高原

5時起床。昨夜から冷蔵庫で解凍していたカツヲがうまい具合になっている。大急ぎで野菜を切り、盛りつける。ニンニクも一片摺り下ろした。朝一番からカツヲパワーをたたき(タタキ)込んでやるのだ。酒で弱っていた胃が一発で目覚めた!

第二神明玉津インターから高速走行。姫路バイパスから龍野で一般道となり、地方道5号線を西へ。市街地の小渋滞を抜けると往復2車線の幅広く、交通量の少ない快適路となった。上郡から地方道90号線につながり、これもまた田舎道の快適走行を楽しむ。

 上郡(かみごおり)を過ぎると間もなく山伏峠を越え、岡山県に入る。左右の緑が目にしみる。田んぼにはまだ苗が植え付けられていない。たしか能登ではゴールデンウィークに家族総出で田植えをしていた記憶がある。同じ日本でこの差は何だ?気候・風土・・・いろいろあって面白い。

やがて道は国道となる。その名も484号なので中国・四国にあるトンデモ酷道かと思っていたが往復2車線の立派な物であった。ちょっと拍子抜けだが、やっぱりというか、交差点を過ぎるごとに道幅は狭くなる。やがて1車線の400番らしい国道が真価を発揮し始めた。

高梁のスーパーで今宵の夕食を調達し、マップルを眺めていると「ベンガラ色の街並み、吹谷独特の家並みは一見の価値あり」という吹屋(ふきや)が目に止まった。少々遠回りになるが時間的には余裕がある。GOだ。

吹屋ふるさと村は屋根も塀も赤茶けた色で村全体が統一されている。この色は酸化鉄を原料とした顔料系塗料によるものらしい。倉敷の美観地区のように昔のままの姿で街並みが保存され、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されているという。

同じような色彩の家が並ぶ。カメラに収めながら吹屋小学校をめざす。残念なことにこの3月で廃校になったという。しかし2ヶ月前まで児童がいたとは思えないほど「民芸風」。しばし見とれる。地方道33号線をなだらかに南下し、田原を右折してダム湖沿いに西へ。発電設備のある新成川ダムを通り、備中町へと進む。
 逆光を浴びた木々の輝きに見とれる。撮影は進むが、行程が進まん。こういう景色は非常に素朴だが、それが良い。

 お宿は西山高原のキャンプ場(¥1500)。今日のごちそうはラーメン。「ゴミお持ち帰り」なのでかさばる発泡トレイを使っていない、袋入りのラーメンの方が処分しやすいからだ。

5月19日(土) 晴れ時々曇り
お宿→東城→三次→千代田→戸河内→益田→田万川

 6時起床。高原のキャンプ場は濃霧に覆われている・・・冷たい。テントの下が濡れている。卵3個でオムレツを作り(スクランブルエッグになってしまった)、牛乳500ccを湯煎して高級粒あん入りのあんパンで今日は洋食だい♪

7時半、管理人さんご夫婦にあいさつをして北へ、東城をめざす。
 高速の側道中心の走りとなるので渋滞を心配していたが、意外にスムーズに流れている。緑色に萌える山々と抜けるような青空が見事なコラボ。思わず鼻歌が流れ、立ち止まっては撮!今回のツーリングはこの新緑が主目的なのだ。紅葉も良いが、「これでもか」という生命の息吹あふれるこの季節の方が好みだな。地方道25号線を南西へ。帝釈峡、神竜湖に映った緑と青と鉄橋の赤が楽しい。

「大型車通行不可」の看板がある県道423号線の細道を経由し、総領(そうりよう)町でR423と出会った後はハイペースで庄原へ、そこからR183を西へ快走。

R433走破   
 R433は全長30キロ程度の短い国道。半分ほど過ぎた時、「大型車通行禁止」の看板が。やっぱり期待を裏切られることはなかった。ガードレールやカーブミラーもあまり整備されていない。このハラハラ感がたまらない。
 峠を越えると目の前に棚田と民家と里山の均整の取れた姿が現れた。「日本昔話」の舞台にもなりそうなたたずまいに僕は絶句して立ち止まり、一呼吸。

12時10分、道の駅「とごうち」に到着。Aコープのオニギリ2個で昼食。

さて、ここからはマップルが「走り込む喜びを堪能できるはず」と言うR191へ。新緑を左右に眺めながらキツい勾配の上り坂。エンジンの音を一発一発叩きつけながら豪快に上る。交通量はほとんどなしで自由気ままに走られるのが嬉しい。「走り込む喜び」・・・こういう文学表現が出来るとは、マップルを編集している昭文社さんの文化レベルは相当高いと言えるでせう。

緑堪能コース・・・聖湖散策
 聖湖(ひじりこ)は南西にそびえる聖山(1113メートル)に因んで命名されたダム湖。標高830メートルの道戦峠を越え、左折して細道の急坂を下る。緑の量がさらに増え、青の量が減る。静かな湖面を眺めながら右回りで一周。カーブミラーもほとんどなく、決して走りやすいとは言えないが、行って損はしないだろう。

細道を上り、R191に戻ると今度は急勾配の下りとなる。コーナーもきつく、リーンインも駆使して走りを楽しむ。益田のイオンで食料とレジャーシートを調達。

16時、道の駅「ゆとりパークたまがわ」で田万川キャンプ場の手続きをする。BUTここも残念なことに「ゴミ持ち帰り」であった。

サイトに隣接して田万川(たまがわ)温泉(400円)がある。設営後さっそく出かける。まだ5時だが温泉しよう。露天風呂は明るい内に行かないと景色を楽しめないのだ。ここには食堂も併設されているが、僕はチキンライスを作った。小さな中華鍋で炒め物をすると、指が炎に包まれることになる。少し火傷をした。

5月20日(月)  晴れ時々曇り夜に雨
お宿→須佐→川尻岬→角島→下関→北九州→直方

3時に目覚め、ウトウトタイムを楽しみながら5時半、本格起床。薄曇りの柔らかな日差しに場内は包まれている。
 朝食は昨日の残りのご飯とみそ汁(料亭の味だぞ!)、一昨日作ったゆで卵とトマトとピーマンの炒め物。なかなか豪華だ。

ホルンヘルス大断崖
 国道から4キロほど半島を北上し、海岸へ。無料駐車場にはレストランもあり、ドラム缶に炭火を熾していた。海鮮バーベキューでもやるつもりだろうが、こんな所に来る客が居るんだろうか?

5分ほど歩くと大きな岩盤の上に立った。淵から海面まで、目のくらむような高さがある。まるで東尋坊のようだ。その岩盤が二つに割れ、隙間から所々海が見える。
 四角い大きな一枚岩が海に立ち、数センチごとの横縞は均等に堆積して固まったものであることが想像できる。上面は斜面だが平らになっている。いろんな角度から撮影を試みたが、撮影場所が高所にあるのでアングルとしては良くない。足元が非常に危険な状態なのであまり撮影に気を取られていると命まで取られることになる。

県道343号線を南下。樹木や竹薮のトンネルが続く。細道ではあるが他車にはまったく出会わない。この度のツーリングは緑がテーマ。少々走り難かったとしてもど真ん中♪ 

R191と再会し、海岸沿いを南西へ。この辺は長門コバルトラインと名付けられ、美しい海岸線が続く。
 小渋滞の萩を過ぎ、今日一番の目的地、油谷(ゆや)半島には11時に到着。「本州西北端の岬、ぜひ訪れたい」とマップルが言う川尻岬で昼食の予定だったが、弁当を買うのを忘れていた。

地方道66号線を駆け上り、半島を横断して北へ。峠から北は急勾配急カーブの狭路。ここにも千枚田があるが小さな田んぼでは生産性が悪いので現代の産業としては成り立ちがたい。しかし祖先はいかにして食う物を手に入れるかと、気の遠くなるような努力をしてこんな田を作った。その歴史的、文化的価値は高い。だが、文化は金にならないから保存をするにも大きな努力を要す。地元の方々が、保存会を作っておられるようだ。

 狭路あり、快走路ありの変化に富んだ道を楽しみながら11時半、川尻岬に到着。駐車料金150円を払い、セーターと上着を脱いで散策を始める。無料のキャンプ場にはアザミが咲き乱れている。誰一人いない散策路を軽快に歩く。


 しかし岬の灯台というのは何で一度下ってからまた上るいう地形になってるものが多いのだろうか?下りに下って岬には確かに10分ほどで着いた。しかし灯台は高所にある。
 一段25センチの石段を75段。それに急なスロープを合わせると高度差は50メートル以上になるだろう。足がつった!

 灯台からの眺めを期待したが、樹木に遮られ、「良好」とは言えない。だが、「本州西北端の灯台」に行ったことに値打ちがある。←自分で慰めている。
 気を取り直し、景色や花の撮影を楽しみながら駐車場に向かう。アザミにぶら下がっているチョウチョを発見。逃げられないように遠くから近づきつつ、何枚も撮る。最終的にはフィルムカメラ換算40ミリのレンズにフルアップするぐらい近づいたが彼女は僕に向かってポーズを取り続けてくれた。この度のツーリングで恐らく最高傑作になる事を確信。「ありがチョウ♪」と声を上げたらひらひらと飛び去った。

海の色を楽しむ・・・角島散策
 6年前、榑谷(くれたに)と同行した時、この海の色に驚かされた。佐多岬、白浜、宮古・・・それぞれに美しいが、色が違うのだ。沖縄に行ったことのない僕が言うのも変ですけんど、沖縄独特のコバルトブルーがここに再現されているのだ。

岬の店ではイカやサザエなどを食わせてくれる。焼きイカが一匹200円と安価な設定。ボリューム満点でプリプリとした歯ごたえが素晴らしい。どこの店でも飛ぶように売れていたのは当然だろう。ビールが呑みてえ。

九州上陸には関門トンネル(100円)を選択。料金所を過ぎてスピードに乗ったらクラッチを切り、惰性で走る。エンジンがつながってなくてもどんどん下っていく。「海の底へ向かっている感」があり、少々不気味。

 門司のめかり公園で小休止。「源平最後の決戦の地」(壇ノ浦の戦い)にちなんで絵巻を大きな壁画にしてある。紅白ののぼりを立てた何艘もの船、大勢の兵士、飛び交う矢、躍動感あふれる絵に圧倒される。

 17時30分、宿泊予定地、「しょうぶ谷キャンプ場」に到着。きれいな芝生のサイトだが、「使用は1週間以上前に申し込むこと」とある。それは確認していなかった!暗くなってから適当に張ってやろうと思ったが、「酒類禁止」ともある。なんとも清く正しく美しいキャンプ場なんだ。僕は濁りすぎている。他を当たろう。

マップルには30キロほど南下すれば直(のお)方(がた)←(「のうがた」ではない「のおがた」なのだ)を流れる遠賀川の河川敷に無料のキャンプ場とある。ナビに入力して出発。
NOJUKUの決意
 空が暗くなってきた。それは時刻のせいだけではない。そして「想定外」の雨が降り始めた。こりゃ、橋の下やな。と覚悟を決めて進む。

 

 直方に着いた。ナビには「オートキャンプ場」と出ているが、芝生の河川敷にそのような看板は無い。それどころか河川敷の使用時間は8時~18時となっている。雨は降り続いているし他の選択肢は無いので橋の下を選ぶ。

 夕飯の調達にスーパーへ。買い物を終えて店の駐車場に帰ってくると、おじさんが「ダブルワンですか?」話しかけてきた。田舎のおじさんにはよくW1と間違えられるのだ。このバイク(W650)の素性とW1について軒下で談笑。見知らぬ人とでも共通語で話が出来るんだからバイクって素晴らしい。

 今夜は料理できる環境ではないので出来合のものばかり。ハンペンの中にタマネギが入ったタマネギ天を火であぶる。これは非常に旨かった。

5月21日(火)  一日中小雨
お宿→日田→小国→仙酔峡→高森→高千穂

6時起床。雨だ!そんなに暗くはないが東西南北、どの方向も同じような灰色。昨日の残り物を平らげて7時30分、R211をただただ南下。通勤ラッシュと重なり、1キロも走らないうちに信号機に捕まる。そのストレスに雨が追い打ちをかける。

10時。道の駅「小石原」で大休止。ほとんど雨は上がった。天気情報を見ると、昼から晴れという。やったぜ!気持ちに余裕が生まれ、旅行中の老夫婦たちと談笑。旅行の行程をいろいろと尋ねられた。宿泊はキャンプ場というと、驚いておられた。←野宿したくせに(^^ゞ

出発後、また雨だ。ま、いいか。「晴れ」という昼からの天気に期待しよう。 小国(おぐに)には定刻通り、昼前に到着。給油すると、リッターあたり34・5キロも走ってる。今まで3回給油したがすべて34キロ以上という超低燃費。ガソリンスタンドの隣がレストランになっているので、ちょうど良いタイミングでの昼食だ。

焼き肉定食(800円)はかなり薄切りの肉なのにそれでも固い。ただ、タレは自家製の物と思われ、ニンニクがよく効いている。

 空は明るいのに小雨。でも道路は乾いているという妙な状況だ。合羽を着込んで出発。ミルクロードからやまなみハイウェイを経由し、仙酔峡(せんすいきよう)をめざす。

昔は有料であった仙酔峡道路。「阿蘇に向かう快走路」とマップルは言う。左右の景色は良いが路面状況はつぎはぎだらけで「快走」できるようなものではなかった。また、全体がコンクリート造りである。あまりにも急勾配であることや樹木などの日陰がないので炎天下にアスファルトでは持たないのだろうか。

 ロープウェイ乗り場の駐車場はほぼ満車。斜面には遊歩道が整備されているが、ここは活火山だ。風向きによっては有毒ガスが流れてくるので登山者名簿に記入してから遊歩道に入ることになる。車の人は傘を買ったり帽子をかぶったりして大変そうにしておられるが、こちらは雨合羽にゴム長まで装備している。無意味な勝利感に一瞬ひたる。

  斜面にはツツジがいっぱい咲いてはいるが、半分はしおれ始めている。お花はまあ何なんで、短い距離をクルッと一周してサッと撮影してパッと去る・・・(大阪府民風表現)

2日連続野宿を決意
 天気が悪い。しかし僕には秘密兵器がある。高千穂だ。ここには取って置きの宿泊場がある。陸橋の下なので洪水でも安心。低い橋桁、広い横幅、平らな敷地・・・少々の雨風でも大丈夫。難は民家に近く、一軒の家からは丸見えになること。

交通量のほとんどないR325を越え、高千穂着。
 まだ5時なので暗くなるまで時間をつぶす必要がある。高千穂温泉のサウナはドライとウェットの2種類がある。ドライ~冷水浴を3回繰り返し、露天に浸かりながら90分間、時を過ごした。その間、カメラの充電もお願いしておいたので、心もカメラも満充電できた。

5月22日(火)  快晴
お宿→矢部→松橋→天草五橋→本渡→天草→牛深

 6時起床。やった、快晴だ。パンとトマトの朝食を取り、道の駅高千穂へ。車中泊をしている車が何台かあったが個人的にはこういうのは好みでない。

直射日光を背中に浴びながらR218を時速70キロで快走。このままの楽ちん走行を楽しみたい気持ちもあったが、いたずら心がムクムクとわき起こり、清和から川をはさんで国道南を併走する県道153号線を選択。

限界集落散策
 はじめはゆるい顔をしていたが、次第に狭路、急勾配、急カーブというよりもほとんどUターンの繰り返しというトンデモ道路になってきた。小さな集落を結ぶ道路だが、こんな急峻な地形の所にも棚田が作られている。


 廃校になった白糸第二小学校の跡地を利用したカフェがあったが人気(ひとけ)はなかった。さらに進むと一ツ葉高等学校という看板があったので覗いてみると、やっぱり廃校になっていた。この間、20キロほどの間に20ほどの集落があったが、たまに出会うのはお年寄りばかり。どこも限界集落の様子だ。資本主義的不均等発展をした我が国の問題点が凝縮されているようだ。

渋滞を覚悟していた松橋は意外にスムーズに抜けられ、道の駅宇城(うき)で小休止。地元産のメロン、スイカ、デコポンなど、果実中心の品揃えは他所と比べて実に豪華。中でもデコポンはこの町で生まれ、生産量は日本一という。
 ところでデコポンは別種の柑橘類をかけ合わせて誕生したもので、本名は不知火(しらぬい)という(その他の品種もある)。その中でJAが審査をし、糖度などの基準を満たした物だけをデコポンという「芸名」で売り出した。基準に満たないものや審査を受けていない物は本名で出荷するという。

25年ぶりの天草五橋をめざす
 不知火海を左に眺めながら南岸を西へ。いくつもの小島がポツンポツンと浮かび、その向こうには九州大陸が眺められる。交通量は多いが、信号機がごくわずかなので流れは速い。改めて眺めると、松島を想起させるような風景が見事。日本三大松島の一つで与謝野鉄幹夫妻も絶賛したという。

海にはカスミがかかり、見通しが良いとはいえないが、海の色は透明感があり、点在する島々、複雑に入り組んだ海岸線と合わせ、飽きることがない。

天草町で国道と分かれ、海岸沿いを南下。右手に天草灘を眺めながら断崖絶壁の上を行く楽しい町道で、3年前にも走っている。海の色は角島で見たのと同様に透明感のあるライトブルー。この色の成因は遠浅による砂の色なのかな?

 

3日連続野宿・・・当初からの確信犯
 計画段階から今日は野宿を考えている。乗り場の前に芝生の公園があり、早朝出港(6時40分)の船に乗るにはちょうど良い。ただ、目の前に海上保安庁の建物がある。フェリー乗り場のあんちゃんに尋ねたら「やめた方が良いでしょう」と言われた。
 市街地の北側に山腹を利用した多目的公園がある。テントを張れそうな所が何カ所かあったので内定し、先ほどの道を8キロほど後戻りして「牛深やすらぎの湯」(400円)という温泉へ。
 露天風呂は2段になっており、下の湯は上からの湯が小さな滝のように落ちてくるのでマイナスイオンがい~っぱい?
 70才ぐらいの人がいたので「おじさんは地元の方ですか?」と話しかけたら会話が盛りあがり、長時間の入浴となった。一人でじっとつかっていると時の流れが非常に遅いため、温泉効果を得るまでなかなか時間が経たないものである。旅の話、バイクの話(昔、ホンダベンリイに乗っておられたそうな)。そして味の方ではこの辺の旨いものを紹介してくれた。今の季節ならキビナゴとアジらしい。どちらも高級魚ではないが、僕のフトコロを想像した上での回答なのだろうか?
 温泉を後にしてスーパーへ。うまいぐあいにキビナゴの寿司、アジの刺身があった♪ 闇夜に紛れてテントを張り、19時30分、宴会開始。キビナゴは表面がツルツルと舌に心地良い。アジは旨みがたっぷりと乗っている。教えてくれたおじさん、ありがとう!

5月23日(水)  晴れ時々曇り
お宿→長島→阿久根→串木野→野間崎→枕崎→開聞山麓ふれあい公園

 5時起床。お湯を沸かして即席味噌汁を作る。納豆巻きとトマト、朝からガッツリと食う。コーヒーも沸かした。モカの甘酸っぱい薫りが嬉しい。

 6時20分、フェリー乗り場着。車はトラックを入れて5台。乗客は10数名。わずか30分の乗船時間だが、この間にもカメラの充電をする。野宿を続けると完充電にならないから昼食時とかこんな時にわずかでも電気を貯めなくてはならないのだ。
 この間、ナビに今日の行程を打ち込んだりしてあわただしく過ぎる。
 長島に上陸し、R389を南下。長島も橋で九州本土と結ばれているが立派な島。この辺、天草の地形はおもしろい。

 薩摩川内(さつませんだい)から国道を離れ、地方道43号線川内串木野線へ。川内市街地をバイパスするマップルお勧めのルート。大きなアップダウンの連続で牧草地の中を駆け抜ける楽しい道。すべて往復二車線路で平均速度も高い。

 吹上浜(ふきあげはま)海浜公園にあるサイクリングターミナルのレストランで昼食。この所、魚ばっかり食ってるのにまた食いたくなり、充電をしてもらいながら刺身定食を食う。
勘違いも・・・特攻平和祈念館
 このレストランの隣に万世特攻平和祈念館があった。ここも特攻隊の基地があったらしい。それは知らなかった。400円を払って入ってみると知(ち)覧(らん)と同じような内容の展示物があった。当時の日本の支配者たち・・・絶対主義的天皇制権力と大地主、資本家によって構成された権力者は無謀な戦いに若者を追いやり、無残な死に追いやった。気になるのはこれらの写真や展示物を見て勘違いする人がいること、悪用する人がいることだ。特攻隊の若者たちは自ら志願して日本のために戦って死に、神となって靖国神社に祭られている。彼らの尊い命と引き替えに今の日本がある・・・。それに比べて今の若者はなっとらん。特攻隊員の精神を教えなくてはならないと思った・・・。入館者が感想を書くノートがあるが、このように捉え違いをしているカキコが結構ある。幼少時より「天皇のために戦死することを最高の名誉」と教えられ、日本全体がそれを当然視し、「戦争反対」と言えば国賊とされた。「自ら志願」というのは日本全体がカルト状態の中で起きた洗脳によるものなのだ。アサノはノートに「特攻隊の美化は駄目だ。日本が軍隊を持ち、再び戦争する国になったら特攻隊で死んだ人たちは犬死にになる。そうならないように、平和憲法を日本に強く根付かすことができた時のみ(のみだ!)死んだ人たちが活きてくる」と書いた。

R226を鹿児島最西端の野間岬へ。展望所から海を見る。モヤっていて面白くもない。しかし二度と来ることはないだろう。頑張って来てしまったことを後悔はしていない。
 気を取り直してさらに南下。ここから枕崎までは40キロ程度。マップルは「時間がかかる周遊ルート」と仰る。望むところだ。こういう道路は大好物なのだ。

枕崎といえばカツヲと台風か。実はこのツーリングで一番楽しみにしていたのが枕崎のカツヲを食すこと。「お魚センター」に突撃!


カツヲを食う!ここではタタキではなく、刺身用の冷凍パックが中心の品揃えだった。ヘタな生より冷凍の方が良いことは知っているので不服はない。400グラムの戻りガツヲを購入。

今日の宿、かいもん山麓ふれあい公園へ。このキャンプ場、600円と安価な設定の上、ゴミを3種に分別するよう3つのゴミ袋を頂いた。素晴らしい!この頃、ゴミ持ち帰りのキャンプ場が多い。自分の客がどうやってそれを処理するのか知っているのだろうか?道の駅、コンビニ、そんな所に押しつけているのだ。自分の客のゴミ処理ができないようなキャンプ場は経営する資格を欠いている。次回からはゴミ持ち帰りのキャンプ場は選択外にしよう。(なるべく)

さあ、カツヲ大会だ!パックのまま水につけて半解凍にして切り分ける。薄く切ると味も薄くなる。厚く切るとモチモチ感が素晴らしい。ショウガ醤油とニンニク、タマネギ、青ネギを乗せてやる。旨い!・・・?旨いんだが何か物足りん。上品すぎる。いつも食しているイズミヤの物と比較したらおとなしすぎるのだ。豪快にカツヲにかぶりついているという幸せ感がない。芋焼酎を愛飲している人間がムギを呑んだ時に感じる物足りなさと同じようなものかな。

5月24日(木)  晴れ時々曇り
お宿→指宿→鹿児島→桜島→輝北→大根占→佐多

7時、とりあえず味噌汁とおにぎりの朝食を取り、テントや荷物はそのままにして開聞岳を一周してやれ。
 約12キロの道のりを右回りに行くと、防空壕のようなトンネルに入る。対向車が来たら四輪同士では交わせない。もっとも交通量は皆無で対向車など、想定していないのだろう。ちょっとスリルある面白い道だ。

コーヒーを入れて9時、キャンプ場を出発。鹿児島の手前20キロほどから信号機による渋滞が始まり、おまけに道路が埃っぽい。これは桜島の火山灰だ。車が走ると、もうもうと吹き上がる。這々の体で案内の悪いフェリー乗り場に到着。ちょっと疲れた。

フェリーは24時間ピストン運行されており、四輪はほぼ満席ながら、すぐに乗船できた。
 実は佐多岬をパスしたのは、わざわざ遠回りをしてまでこの船に乗るのを目的としたからだ。その理由は・・・鹿児島県民は〇〇を食うためにこの船に乗る! 
 テレビ番組「秘密のケンミンショー」で紹介されていたのがこの船。船内にある食堂にうどんがある。鹿児島県民はこのうどんを食うがために、用事も無いのにこの船に乗るというのだ! そんな放送を見たら心が動くではないか。佐多岬と天秤にかけたらうどんになったというわけだ。乗船時間はわずか15分。猫舌の僕には少々辛いな。だが辛かったのは熱さよりもその味。僕が旨いと思っているうどんと対極の味だったのだ。

ブリの養殖日本一
 道の駅「たるみず」に到着。ここは2年前、妻=智子と訪れて好印象がある。ブリの養殖が日本一と謳われており、駅の目の前も養殖場らしい。うどんのリベンジとばかり、パックの刺身を購入(7枚入り、350円)。腹を膨らませるために焼き芋(中5本で580円)も買った。
 店の隣にラドン温泉の足湯がある。これに浸かりながらブリを一枚・・・スーパーのものと比較するのが間違っているが、明石の市場で買う物と比べてもその味の違いに驚く。身はプリプリで味はピュアと言うのだろうか、濁りのない味というべきなのか。料亭でもこれほどのものは食わせてもらえまい。

次に焼き芋。名を「紅はるか」と言ふ。食う前から気になっているのは芋からしみ出た水分で皮が濡れていること。二つ折りにしようとしたが柔らかくてできない。そのままかぶりつく。ホクホク系じゃなくてズヤズヤ系だが、パリッと焼けた皮と一緒に食うと甘みと香ばしさが口いっぱいに広がる。手が粘ついている。水分とは蜜(みたいなもの)だったのだ。旅に出るとこういう思いがけないシーンに出くわす。計画通りではないが、それが嬉しい。

桜島から山中走行で南へ。ゴリラは地方道553号線を案内した。この道路、地図で見ると10キロあまりの直線である。交差点で左右を眺めると、これまた直線。おまけに牧草ロールまで配置してあり、まるで道東を走っているかのような錯覚を起こした。
吾平(あいら)から肝属(きもつき)広域農道を選択。山ん中の豪快なアップダウンが楽しい。

根占の市街地に入る前に「ありがとう城内小学校」「伝統ある113年の歴史に幕」「閉校記念式典 平成25年3月・・・」という看板があった。あっちでもこっちでも痛ましい。


 4時、根占(ねじめ)温泉ネッピー館へ。石けん・シャンプーは無いが、300円と安価な設定にしてある。鉄分を含んだ赤茶けた湯に浸かる。こんな時間帯だから余計だろうが、70才台以上のお年寄りばかりの中に、僕も同化しているような・・・。そして湯上がりの女子高生が二人、奇妙な光景だ。

佐多市内のJAで食料を買い込み、宿泊予定地「さたでいランド」へ。急な坂道を数キロ上ってゆくと一帯が町立の多目的公園となっており、キャンプ場はその一角にある。マップル情報では無料となっていたが1000円は想定外。こんな値段を取ってゴミお持ち帰りはいかん。(`ε´)

5月23日(金) 終日小雨
お宿→内之浦→大崎→志布志→おふね
雨!

5時、テントが濡れていることに気づく。夜露かと思ったが雨だった!あわてて管理棟の下までテントを引っ張り込む。
6時。右腕が冷たくて目覚める。ゲッ!シュラフがびっしょりと濡れている。たいした降りでもないが風で運ばれた程度の雨水でさえ浸入するようになったこのテント、寿命かな?もう眠り続ける気力がなくなった。起きよう。

朝食はインゲンとトマト、即席みそ汁に白飯だ。コーヒーも沸かした。そうしている内に鉛色だった西の空がわずかながら希望色(決して青ではない)になってきた。雨も上がった。
 マップルは地方道74号線、内之浦佐多線をこう称えている。「断崖上を走る 足元は海、すばらしいロケーションだが通行不可の時多し」・・・。ここまで言われて行かずは男の恥。
 8時50分、74号線を東へ。往復2車線はまったくスムーズな流れ。海岸の湊原へ抜ける道も急勾配とタイトコーナーの連続だが道幅は広く、そんなに走りにくいことはない。

ここから東は断崖の走りになる。高度200メートルまで一気に駆け上がる。だが左右から繁茂する樹木に道路は覆われ、トンネルの中を走っているよう。たまに海が見えるが、樹木越しの遠景なので期待していた景色ではなかった。但馬海岸のようにカーブを抜けると海に飛び出すようなのを「断崖上」と言うが、ちょっと違うぞ。

道路上には苔が生え、濡れ落ち葉が張り付き、木片や石が転がっている。このような風景が延々と続くのだ。もう少々の事には驚かなくなってしまった。この40キロにわたる区間、ハンドルがまっすぐになるシーンはほとんど無かった。またアクセルを開けるかブレーキを踏むかの操作が続く。バイクを自由に操るのは楽しいものだが、それを楽しむには長すぎたな。ちと疲れた。

内之浦はかつてロケット打ち上げ基地だっただけに宇宙一色に染まっている。だから「ウチュウノウラ」なんて名だったりして。

12時、道の駅「くにの松原・おおさき」着。昼食はラーメン。あっ、紅はるかちゃんだ!農産物直売所に一袋400円前後で販売されていた。土産には重すぎるので桜島では躊躇していたが、すべての日程を終わらせてフェリー乗り場まで10キロの所まで詰めている。5袋1700円分を購入し、段ボールに詰めてもらった。

ナンパ!
 船は「サンフラワーきりしま」。エレベーターで案内所へ。雑魚寝とはいえ、切符で寝場所は指定されている。今日は修学旅行生もいるというので、イモ洗いになる前に、あわてて風呂へ。


 売店で芋焼酎4合瓶とつまみを買って一人で飲っていると、デッキで見かけた若い女性ソロライダーが近づいてきた。「一緒に呑も」と声をかけると合意したのでテーブルでおしゃべりを始めた。
 神奈川の人で明日大阪南港から一気に帰るらしい。バイクはバリオス250。九州での旅の話、バイクの話で盛りあがり、10時頃までご一緒した。部屋は30人ほどの定員で、乗客は10人ほど。席は指定されているが、僕のイビキがかなり迷惑になるだろうから人があまりいない方に移動した。

5月24日(土)  晴れ時々曇り
おふね→大阪南港→湾岸線→新神戸トンネル→おうち

 定刻通り着岸し、阪神高速湾岸線、新神戸トンネルを経由し、昼前におうちに到着。

総走行距離:2108Km

給油量:62.2L(9.223円)

平均燃費:33.89Km/L

費用総額:72.964円

 



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