天皇杯は結局、ガンバの優勝に終わり、2000年のアントラーズに続く、三冠でシーズンを終えた。J2から上がってきたばかりのガンバがここまでやる
とは思わなかった。チームがうまく勢いに乗れて、その調子を最後まで落とすことがなかった。宇佐美も好調だっだが、何と言っても補強したパトリックの
活躍も大きかった。その点、どうしようもなかったジョルジ・ワグネルとは対照的だった。パトリックがジョルジ・ワグネルだっら?間違いなく優勝していただ
ろう!その点、フロントが良くなかったのだ。それなのに、ルイス・アルベルトを退団させて、ジョルジ・ワグネルを残すつもりなのか?馬鹿じゃないの!
日経のスポーツ欄に、カイオがベストヤングプレーヤー賞を取れたのは、ルイス・アルベルトが毎日アドバイスをしてくれたおかげだと、感謝の念を述べて
いる記事が載っていた。ルイス・アルベルトは見えないところで貢献している、陰徳の士なのだ。
さて、10日に茨城県結城市立図書館で、「岩政大樹トークショー」があり、聞きに出かけたのでその内容を書きたい。
トークショーの写真撮影は禁止されたので、写真は始まる前のもの。
一言で言えば、岩政大樹選手は、魅力的な男だった。ピッチでプレーしている表情などからはもっと泥臭い感じかと思ったが、とてもお洒落でカッコイ
イ!学生時代に複数のチームからオファーが来た話に始まり、アントラーズの三連覇時代の話、タイのサッカーの話と実に明快に気持ちのいい話が一時
間半近く続いた。岩政選手のブログhttp://ameblo.jp/daiki-iwamasa/を読んでも、その文章力と緻密な考え方が素晴らしいのだが、話す内容もと
ても論理的で筋が通っていた。
大学で数学を勉強した論理性はディフェンスの守り方にも影響しているらしい。彼は選手の後を追って走るという守りはしないらしい。こう動くなら次には
こう動くはずだ、と頭の中で論理的に考えて動くのだという。だから全速で走った経験がないので、現在、自分が全盛期より衰えたのか、自覚はないそう
だ。今でも、ある一定範囲内なら、どんなFWよりも早く動ける自信はある、と話していた。
つねに効率良く動くにはどうしたらいいのか?ということを考えていて、それをサッカーではなく、相撲や狂言の動きを勉強することによって習得して
いったという。つまり、「すり足」を使った動きだ。人間が動くという観点で見れば、サッカーも相撲も狂言も変わらないと岩政は言う。むしろ体幹トレーニン
グのような西洋的なトレーニングではなく、日本人の体にあった動き方というのは、伝統的な物の中にあるという。
あと面白かったのは、「勝負所」についての彼の考え方だ。リーグ戦で優勝するには、特別な勝負所はないというのだ。例えば、ガンバ戦の直接対決が
重要だったとか、レッズ戦に勝てていれば・・・・というような考え方はせず、一年を通していい状態を保てたチームが結果として優勝している、という考え
方をするようにしている、というのだ。それでも優勝がかかった大一番が近づいてくると緊張のあまり眠れなくなるそうで、どうも興梠も同じような性格らし
い。練習中に、「岩政さん、眠れましたか?」という興梠の質問に、「いや、今日も眠れなかった」と岩政は答えていたという。見かけによらず繊細な一面を
持っているようだ。
岩政は、サッカーにおいても実人生においても、「いいことと悪いことは、自分のレベルに応じて均等に起きる」という考えに達したのだという。自分の
レベルに不相応ないいことが起きた時には、それを埋め合わせるだけの努力があとになって必要になる、と言っていた。
彼は読書が好きで、良く移動中に読んでいるとのこと。自分を奥底から変えてくれるような内容のものを選ぶようにしているらしい。
そんな岩政がこの日のプログラムに五冊の本を推薦していた。
伊坂幸太郎 「オーデュポンの祈り」、村上春樹 「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」、アレックス・ファーガソン 「アレックス・ファーガソン
自伝」、佐藤多佳子 「一瞬の風になれ」、グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツ 「シャンタラム」。この五冊だ。伊坂幸太郎のデビュー作は読んでみようと思
う。岩政は、どんな質問にもしっかり質問者の顔をじっと見て、丁寧に答えているのが印象的だった。時々、ちょっと上を見て考える顔がチャーミング。
全身にオーラが感じられる、実に魅力的な男だった。彼くらいクリヤーな頭なら、解説者になってもいい解説をするだろう。秋田のようなわけのわからない
解説はしないはずだ。明日、来期から入るチームが発表になるらしい。
コーチでも監督でもいいから近い将来、アントラーズに戻って活躍してくれることを望んでいる。がんばれ!岩政大樹!
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