goo blog サービス終了のお知らせ 

映画『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』

2012年08月03日 | 映画の感想



監督 アラン・パーカー
ケヴィン・スペイシー (David Gale)
ケイト・ウィンスレット (Bitsey Bloom)
ローラ・リニー (Constance Harraway)
ガブリエル・マン (Zack Stemmons)
マット・クレイヴン (Dusty Wright)
ローナ・ミトラ (Berlin)
レオン・リッピー (Braxton Belyeu)
ジム・ビーヴァー (Duke Grover)

元大学教授デビッド・ゲイル(ケビン・スペイシー)に、死刑判決が下される。罪状は、元同僚の女性をレイプした上、殺害。皮肉なことにゲイルは、死刑廃止論者であった。彼は処刑までの3日間、高額で契約された自分の手記を綴るために女性記者ビッツィー(ケイト・ウィンスレット)を呼び寄せる。そして語られるゲイルの人生。妻子に逃げられ、酒に溺れたこと。逆恨みした女子生徒に陥れられ、大学を追放されたこと。そんな自分に救いの手を差し伸べてくれたのが、事件の被害者だったこと。話を聞くうちビッツィーは、ゲイルは冤罪ではないか、と疑問を抱きはじめる……。

★★★★☆
ラストのどんでん返しに「おおっ」と膝を打ったのは久しぶり。これはなかなかの映画だ。なかなかだが、観終えた後味は複雑だ。舞台は、全米一死刑執行件数の多いテキサス州。死刑制度反対運動家であり、大学教授であったデビッド・ゲイル(ケヴィン・スペイシー)は、運動の同志である女性コンスタンス(ローラ・リニー)をレイプした上で頭に袋を被せて殺した罪で死刑目前。刑の執行三日前という状況で、突然手記を書き残すために取材を受け入れると言い出して、弁護士を介して女性記者ビッツィー(ケイト・ウィンスレット)を指名してきた。まず、この設定がいい。わずか三日というタイムリミットで、デビッド・ゲイルの冤罪を晴らしていくという展開が、サスペンスフルでドキドキものなのだ。ついに証拠をつかんで刑が執行される刑務所に向かって走るケイト・ウィンスレットなんてもう「走れメロス」状態なんだもん。ちなみに映画はいきなりこの「走れメロス」状態からふり返る形で進んでいく。デビッド・ゲイルがなぜ死刑直前になって取材を受け入れるのか?取材による大金の使い途は?殺人事件の真相は?それがみごとに解き明かされるラストの衝撃的な展開は、痛快ですらある。
だが、この映画、どうしても手放しに称賛できない、胸のつかえみたいなのがある。アラン・パーカー監督自身は死刑廃止論者の立場だが、「映画はその是非を問う内容ではなく、映画をきっかけにして死刑制度の是非について考えるきっかけになってほしいと思い映画を作った」といった趣旨のことをインタビューで述べている。しかし、この映画はどうだろう?死刑制度賛成の立場の者も反対の立場の者も両者ともに、この映画の最後の展開はあまりにもラディカルで行き過ぎた手法だと感じるのではないか?まあ、そこを承知の上だからの監督の言となるのだろうけれど、やはり扱われたテーマがテーマだけに、ストーリーの妙だけを楽しんで済まされない気がする。そんなわけで評価はマイナス★一個だけど、このどんでん返し、一見の価値あり!!

 にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへにほんブログ村



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
きっかけ (ETCマンツーマン英会話)
2013-04-09 08:32:03
こんにちは。映画見ました。「映画はその是非を問う内容ではなく、映画をきっかけにして死刑制度の是非について考えるきっかけになってほしい」実にその通り、よいきっかけになっています。「最後の展開はあまりにもラディカル」同感です。そのラディカルさ故、人に語りたくなりました。死刑制度に関する話題を提供して、皆で考えるきっかけを与えるような気がしています。素晴らしい作品との出会いに感謝です。
返信する
ETCマンツーマン英会話さんへ (矢菱虎犇)
2013-04-10 06:45:47
コメント、ありがとうございます。

この映画、きっかけとしては面白い映画ですよね!
でもどこかひっかかってしまうのも事実。
ラディカルさ・・・つまり目的のためには手段を選ばないというところが原因じゃないかと思います。それをよしとするかしないかは、やはり鑑賞者次第なのでしょうね。
返信する

コメントを投稿