映画『不連続殺人事件』

2012年10月11日 | 映画の感想



監督 曽根中生
瑳川哲朗 (歌川一馬)
夏純子 (歌川あやか)
水原明泉 (歌川珠緒)
福原ひとみ (歌川加代子)
金田龍之介 (歌川多門)
泉じゅん (下枝)
田村高廣 (矢代寸兵)
桜井浩子 (矢代京子)
内田裕也 (土居光一)
内田良平 (望月王仁)
小坂一也 (巨勢博士)
殿山泰司 (南雲一松)
初井言栄 (南雲由良)
伊佐山ひろ子 (南雲千草)
石浜朗 (三宅木兵衛)
楠侑子 (宇津木秋子)
神田隆 (神山東洋)
絵沢萠子 (神山木曽乃)
江角英明 (人見小六)
根岸季衣 (明石胡蝶)
木村元 (丹後弓彦)
内海賢二 (内海明)
松橋登 (海老塚医師)
宮下順子 (諸井琴路)
粟津號 (坪田平吉)
岡本麗 (坪田テルヨ)
梓ようこ (八重)
谷本一 (奥田利根五郎)
浜村純 (片倉清次郎)
長弘 (南川巡査)
桑山正一 (平野警部(カングリ警部))
武藤章生 (荒部長刑事(八丁鼻))
清川正廣 (長畑刑事(読ミスギ))
南美由紀 (女中A)
西沢武夫 (喜作)
河原一邦 (新聞記者)

坂口安吾の原作の推理小説を映画化。山奥の別荘に集まった、二十九人の男女がくりひろげるサスペンス・ミステリーを描く。脚本は「国際線スチュワーデス 官能飛行」の大和屋竺と「嗚呼!! 花の応援団 役者やのォー」の田中陽造と曽根中生、荒井晴彦の四人共同、監督は「嗚呼!! 花の応援団 役者やのォー」の曽根中生、撮影は「レイプ25時 暴姦」の森勝がそれぞれ担当。
昭和二十二年夏、敗戦による混乱のおさまらぬ時に流行作家の望月王仁は、N県きっての財閥・歌川多門の豪邸で殺された。その時、多門の家には二十九人に及ぶ男女がいた。兇器の短刃からは、二人の女の指紋が発見され、もう一人の女のものと思われる小さな鈴が、害者のベットの下から発見。女中も含めた、二十九人の内、十人は、多門の息子の一馬によって招待された人々で、戦争中の数年間、歌川家に疎開していた人々であった。そして、そこでは一般の人々の想像を絶するような、男女の淫乱な生活が繰りひろげられていたのである。そして、それにも輪をかけてひどいのが、歌川家の複雑な血縁関係であった。その日の午後、望月王仁の屍体は、解剖のために県立病院へ送られた。そして、その夜、珠緒とセムシの詩人・内海明、千草と次々に殺されるのであった。一週間後の八月二十六日、第五・第六の殺人が行われた。加代子がコーヒーにまぜられていた毒物で、多門がプリンの中へ混入されていたモルヒネで殺害され、同時に異なる場所で殺人が起きた。警察も何んの手がかりもなく、確証も見い出せなかった。そして、これは犯人が自分を見分けることのできないようにとしくんだ、不連続殺人事件であることに気づく。第六の殺人から十日目の九月三日、不連続殺人の不連続たる一石が投じられた。女流作家の宇津木秋子が殺されたのである。さらに、六日後の九月十日、明方四時、あやか夫人と一馬が青酸カリによって死亡。事件は海けそめる空にそむいて、再び不明の闇に落ちた。そして、「九月十日・宿命の日」という一枚の貼紙がその闇より不吉に浮び上った。

★★☆☆☆
この映画を褒める人は絶対いるはず。きっとかなり原作に近いんだろうし。
だいたいこういうお屋敷に集まったいわくありの人々が次々死んでいくっていうストーリー展開なら、ある程度の頭数は覚悟しといたほうがいい。でもまあ、多くの連続殺人ものは、ハイ消えた~って感じで犯人候補が少なくなっていくので、整理されていく感があって、犯人候補を絞っていく楽しみが増していくものだ。
ところがこの映画、登場人物が29人!多すぎて誰が死んだのやら・・・思わず巻き戻して観なおすこと数回。そりゃ小説なら、登場人物を確認したり細部を読み込んだりしてストーリーを押さえていけるけれど、映像でこれだけの人物をきちんと把握するのは、はっきり言って無理。結果、面白さを犠牲にしてしまったような作風になっていて残念。映画と小説は所詮ベツモノ。
小説なら、巻頭の〈登場人物紹介〉なり〈相関図〉なりをチラチラ見ながら読んだり、整理がつかなくなったら思い当たるページに戻って確認なんてのは自然な行為だ。でも映画は基本、時間の流れのままにひたすら情報を送り込まれ続けるわけだもん。
おまけに、このお話はきっと登場人物の男女に淫靡な関係が蠢いているニオイがプンプンしている。こういうのって文章だと確認しやすいが、これだけの登場人物がいてセリフや仕草から読み取ることは難しいだろう。
しかもこの映画、特にそういうサブストーリー的なエロシーンを撮っておきながら客寄せ程度に差し挟んだために、その意味が全体の流れの中で希薄になってさらにわかりにくいものにしている。
う~ん、映画って難しいものですね。登場人物を思いきって整理して、インパクトのあるエロ場面を入れれば、もっと雰囲気のあるサスペンス映画になっていただろうに。大好きな桜井浩子が奥さんの役で出てくるのがボクとしては嬉しかった。シェケナベイベーの内田裕也は、キザなセリフ回しが浮きまくっててがっかりだったなあ。
実はこの『不連続殺人事件』、坂口安吾が原作だそうだ。絶対に犯人が当てられない推理小説を書く!という企画のもとに執筆したんだそう。その意味では、この映画は成功している。人数が多くて犯人を当てられないし、情報量が多すぎて当てる気も失せてしまうから・・・。


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