映画『必死の逃亡者』

2012年02月20日 | 映画の感想

監督ウィリアム・ワイラー
ハンフリー・ボガート(Glenn Griffin)
フレドリック・マーチ(Dan Hilliard)
アーサー・ケネディ(Jesse Bard)
マーサ・スコット(Eleanor Hilliard)
デューイ・マーティン(Hank Griffin)
インディアナポリス郊外に住むヒリアード一家は主人のダン(フレドリック・マーチ)と妻のエリナー(マーサ・スコット)、娘のシンディに男の子のラルフ(リチャード・アイアー)と4人ぐらしの中流サラリー・マンで、シンディにはチャックという恋人がいた。ある朝、皆が家を出て行った後、3人の脱獄囚が押し入って来た。グレン(ハンフリー・ボガート)と弟のハル(デューウィ・マーティン)、仲間のサム(ロバート・ミドルトン)の3人であった。彼等はピッツバーグにいるグレンの情婦モリーから高とびの金を届けてくるまで、この家にかくれていようというのだった。ジェス・バード警部(アーサー・ケネディ)指揮の下に捜査網をはった警察でも3人がこの家にかくれているとは知らなかった。家族のものは次々と帰って来たが皆捕虜になった。3人は他に洩れることをおそれ、家族のものに何事もなかったように振る舞わせた。

★★★☆☆
ウィリアム・ワイラー監督が『ローマの休日』に続いて撮ったサスペンス映画。何をやっても後世に残る、すばらしい映画作家だなぁ。この映画、脱獄囚三人組が隠れた家が舞台で、家の住人との駆け引きが延々と続く。さながら舞台劇を見ているような、限られたシチュエーションで繰り広げられる世界。父親、母親、姉、弟という家族四人と、銃を手にした極悪な脱獄囚連中とでは力関係ははっきりしている。いつどんなひどい目に遭わされるかわからない状況で必死に家族を救おうとする父親の孤軍奮闘ぶりに舌を巻く。なんといっても、凄味のあるハンフリーボガードの悪役ぶりがいい。そう言えば、以前見た『黄金』(これは傑作!)の、ハンフリー・ボガードの悪役っぷりも凄かったなぁ。あと二人の若輩ものと極太眉毛の巨漢も個性的で印象深い。なのに、どうもボクには緊迫感が十分に伝わらなかった。父親があまりにも気丈すぎて、ボクは家族のためにここまでできないなぁって思ってしまうからだろうか。う~ん・・・イヤイヤ、どうやら中身だけじゃなくて、画面づくりに原因がありそうだ。この映画、演劇の舞台のように複数の人物が同時に演技しているシーンが実に多い。多くの映画でアップや角度を変えることで感情をとらえていくけれど、この映画は敢えて引いたまま、複数の表情を同時に見せていく。このあたりに原因がありそうだ。ま、好みの問題でもありそうだけど。

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