映画『ZOO』

2011年12月19日 | 映画の感想

監督

金田龍
  安達正軌
  水崎淳平
  小宮雅哲
  安藤尋
原作 乙一
出演 小林涼子
  市川由衣
  鈴木かすみ
  神木隆之介
  村上淳

 

一卵性双生児の姉妹なのに、一方だけ母親に愛され、もう一方は虐待され続ける…(「カザリとヨーコ」)。ある日突然、コンクリートの小部屋に監禁された姉弟。ところが小部屋は、他にも6つ存在していた。(「SEVEN ROOMS」)。アンドロイドの少女は、自分を作った男から色々なことを学んでいく。彼女が最後に学んだものは…(「陽だまりの詩」)。お互いを『事故で死んだ』と思い込んでいる父と母は、一人息子の“僕”を通じてしか会話をすることができず…(「SO-far そ・ふぁー」)。すでに閉園した動物園に、毎日通う男。そこには、恐ろしい秘密が眠っていた(「ZOO」)。

★★★☆☆

これは、乙一原作の短編を映画化したオムニバス形式映画。5編の話が収められている。

「カザリとヨーコ」
一卵性双生児の姉ヨーコと妹カザリ、そしてその母親の話。カザリは可愛がられ、ヨーコは虐待を受けている。ヨーコの髪が浮浪児みたいにボサボサで、虐待サインを周囲に出しまくっていることに違和感を覚えた。ヨーコが飛び降り自殺した日の夜に、その姉妹が家出なんかしちゃ、不審に思われるだろうし捜索されるよなぁ。

「SEVEN ROOMS」
密室に監禁された姉と弟。毎日食パンが与えられるだけ。牢には排水溝が通っており、弟が潜ってみると隣にも地下牢があって女性が監禁されている。七つの部屋が連なっていて、彼女たちは順番に電動鋸で切り刻まれて殺されていく。人を監禁するためにしか役に立たないような牢が人知れず存在するのか?しかも女性たちを毎日こんなにたくさん誘拐してバレないのか?着ているものが汚れていかないのはなぜだ?犯人も目的もわからないまま、置かれた状況もシンプルな極限状況という設定はよくわかるけど、現実味があまりにも・・・。部屋のひとつに吉高由里子発見!

「SO-far そ・ふぁー」
これはよくできていると思った。でも、夫婦喧嘩して互いを無視するだけならわかるけれど、相手の存在を消して生活するなんて、教育上よくない、子どもがかわいそうすぎる!それに、こういう設定の話なら、もっと「柔らか脳」な幼児が主人公のほうがストーリーに合っている。

「陽だまりの詩」
これもよくできていると思った。静謐な雰囲気に対して話の進展が性急すぎな気はしたけれど。唯一、アニメであり、SFである。淡い色調が作品のムードにぴったりだった。

「ZOO」
ピーター・グリーナウェイの『ZOO』のオマージュ。愛するがゆえに殺してしまった女の、その後の写真を撮り続ける男。次第に現実と夢が区別できなくなって、殺してしまったはずの女が現れたり、電話がかかってきたり、狂気へと向かっていく様子が描かれている。正常でないことを画質のザラツキで表現しているような意図がありそうだけど、ちと見づらかった。ストーリーも、テイストも、他の4編と違いすぎた。これは「グリーナウェイのZの次」をやりたかったのかな?女優さんの動物園のセリフ、棒読みっぽかったぁ。

辛口なことを書いたけど、ガッカリした作品がひとつもなかったのは、特筆すべきかもしれない!

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