Tomotubby’s Travel Blog

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「故郷の香り」の原作「白い犬とブランコ」のあらすじ

2005-02-23 | 映画・ロケ地訪問
莫言原作の小説の内容が映画「故郷の香り」でどのように変わるのか、興味のある方は映画館で確かめてみてください。


山東省高密県東北郷 (映画ロケ地は江西省上饒市務源県)。 何一つ変わらない10年ぶりの故郷。

北京の大学で教鞭を執り、婚約者もいる(映画では結婚していて息子がいる)ぼくは、大学に合格して村を出たきり、一度も帰ることはなかった。旧暦七月の末(映画では秋)、夏休みをとって帰郷したぼくは、コーリャン畑(映画では棚田)に囲まれた川にかかる橋で、全身真っ白な老犬と出会う(映画には犬は出てこない)。犬は誰かを待っているようで、暫くしてコーリャン畑からコーリャンの葉の大束(映画では芝)を背負った女を連れてきた。汗と土埃に汚れ、まるで別人のような姿だったが、その女性は間違いなく、かつてぼくが淡い恋心をいだき、ブランコでの失敗で右目を失明させた(映画では片足に障害を負わせた)幼馴染の暖(ヌアン)だった。

思わず彼女を呼び止めたものの、ぼくはしどろもどろで「暮らしは悪くないんだろう?」と尋ねる。「悪いはずがない。おまんまも着る物も、亭主も子供もいて、片目が欠けているほか何もそろっているのだから」と答え、悠然と川の水で乳房の汗を流す暖は、無愛想な口調ながらも、夫と三つ子の息子たち(映画では、娘一人)と暮らす家を訪ねてくれと誘う。

叔父の家に泊ったぼくは、叔父から暖が聾唖の男、唖巴(ヤーバ)と結婚したことを聞く。翌日、ぼくは雨の中、暖の家を訪ねる。昨日の白い犬。ぼくを見て呆然と立ち尽くす唖巴。つるつる頭で同じ顔の、凶暴な雄の雛のような三つ子。遅れて現れた暖は、虚ろだった眼窩に義眼をはめ、こざっぱりとした紺染め木綿の上着を着ていて、その姿にぼくは懐かしさがこみあげた。

唖巴はお土産に持参した飴を食べてようやく笑顔を見せ、僕と強い酒を酌み交わし暖の作った餃子を食べる。暖は、雨が上がったので、ぼくをおいて隣街まで外出してしまった。アオアオと叫ぶ唖巴は、ぼくを義兄弟として認めたようだ。別れに際して、ぼくは唖巴に自動折畳み傘を贈った(映画では、一人娘に渡す)が、唖巴はお返しに鋭利な小刀をくれたのだ。

帰り道、昨日の橋で、暖の連れていた白い犬が現れ、ぼくをコーリャン畑に案内する。そこには、暖が隣町に行かず、ぼくを待っていた。暖はぼくが白犬に連れられてやってくれば、二人の縁は切れていないと、賭けをしたのだった。ぼくは、唖巴が嫉妬深く暖に暴力をふるうこと、三つ子はみんな聾唖だったこと(映画では、娘は健常で可愛げ)を聞かされる。そして、おめかしをした暖は、物のいえる子供が欲しいと、ぼくの体を求めるのだった(映画の暖はこんなに大胆ではない)。