Tomotubby’s Travel Blog

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莫言 「白い犬とブランコ(白狗秋千架)」

2005-02-22 | 映画・ロケ地訪問
映画「故郷の香り」については、前回ご紹介しましたが、そのあらすじが、莫言の原作「白い犬とブランコ(白狗秋千架)」とは全く違っていて驚きました。監督・霍建起と監督夫人の脚本家・秋美によって美化されていて、莫言の持ち味が見えてしまったようにも思えます。原作はもともと邦訳しても30ページ足らずの短編ですから、全編109分の映画にするには、当然脚本家がイマジネーションを働かせて話を膨らませないといけませんが、原作者・莫言の描いた唖巴と暖の家庭は、鑑賞後に清々しさなど感じさせてはくれません。救いようがないほど暗く、皆がバーバリアンなのです。あまりに違いすぎて如何なものか。原作者は腹を立てていないのかな。と感じましたが、映画のプログラムを読むと、原作者は映画を見て涙したとのコメントがありますので、ここは、映画と原作は全く違う芸術作品として受容するべきである。との結論に達しました。パチパチパチ。

原作のあらすじは、ここに書いても映画のネタバレにはならないと勝手に判断して、次回、紹介したいと思います(これから小説読む人はどうするのよ?)。なお、莫言「白い犬とブランコ(白狗秋千架)」の邦訳は、

藤井省三・長堀裕造訳「中国の農村から-莫言短編集」(宝島社 1991年)
吉田富夫訳「白い犬とブランコ-莫言自選短編集」(NHK出版 2003年)

の両方の本に載せられています。