マンション・メンテblog

集合住宅管理新聞「アメニティ」のブログです。工事業者募集やセミナーの案内などを随時掲載していきます。

マンション建物Q&A 住戸内リフォームの注意事項

2017-10-17 14:11:00 | マンションQ&A

 子供が独立し老夫婦のみの居住となり、マンションの住戸内を間仕切や設備等をまとめてスケルトンリフォームしようと考えています。マンションの住戸内のリフォームについて、管理規約には建物の構造躯体に穿孔・切欠き禁止・出窓の設置禁止・バルコニーの現状変更の禁止程度しか明記されておりません。どのような事を注意しなければならないのでしょうか?


 マンションの住戸内リフォーム規約については、詳細なリフォーム基準を設けている管理組合や分譲時の原始規約のままの管理組合、又その中間的な管理組合がありマンションにより様々です。お問い合わせのお住まいは原始規約のままに当たるようです。
管理規約に明記されていなくとも、共同生活するにあたり配慮しなければならないことや建物保護や関係法令にも注意が必要です。
主な注意事項としては、

<建築上の注意事項>
・コンクリート躯体(床・壁・天井・柱・梁)に傷を付けない。ビスなどを躯体に付ける際は管理組合の合意を得る。
・内装材を撤去した際、コンクリートに大きなひび割れ等があった場合は管理組合に相談する。
・床の遮音性能を⊿LL45以上にする。
・水場を下階の寝室の上に設けない。
・バルコニーの床に人工芝などを接着張りしない。
・住戸内設置の防火戸(住戸面積100㎡以上の場合に設置されている場合がある)は撤去しない。地方自治体や消防署と協議が必要。
・換気口や点検口は塞がない。
・内装仕上材の不燃基準を守る。基準が不明の場合は準不燃材以上を使用する。

<設備上の注意事項>
・電気(契約アンペア)・ガス(給湯器の号数等)の許容容量を守る。
・エアコン室外機の設置位置は隣戸避難板に重なる位置を避ける。
・ベランダ手摺にBS・CSアンテナの設置の可否について管理組合に確認する。
・給湯器は分譲時からベランダに設置されている場合以外は、ベランダには設けない。
・ベランダ設置型給湯器をエコジョーズにする場合ドレイン排水をベランダに流せるか自治体に確認する。
・共用排水管へ混用した排水接続はしない(台所系・トイレ系・浴室洗面系はそれぞれ元の共用排水管に接続する)。
・排水管の排水勾配を十分確保する。(1/50~1/100勾配)
・大便器は超節水型を使わない(戸建て住宅と違いマンションは横引き共用排水管が長く洗浄水量が少ないと汚物が搬送できない場合がある)。4.8リッター以上が望ましい。
・給水管を全部取り替える場合は量水器への接続部まで取替える。
等があげられます。
管理組合は、専門家と相談し前記内容を含めそのマンションに応じたリフォームガイドラインを整備することが重要です。

回答者:NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2017年6月号掲載)


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住宅宅宿泊事業法(民泊新法)公布に伴う「マンション標準管理規約」改正についての解説セミナー(追加開催)

2017-10-12 15:47:52 | セミナー
開催日時
平成29年10月26日(木)
10時30分~12時10分(予定)
会場
住宅金融支援機構1階 すまい・るホール
東京文京区

主催 
(公財)マンション管理センター
http://www.mankan.or.jp/01_seminar/seminar_in.html


マンション管理組合の相談に応じます!

2017-10-12 14:51:08 | マンション管理相談
特定非営利活動法人日本住宅管理組合協議会では、管理組合を対象に各種相談会を定期的に開催しています。マンション問題に精通した弁護士、一級建築士、マンション管理士等が相談に応じます。
相談場所=日住協本部4階(東京・神田)
会員管理組合=無料
一般管理組合=5000円
1管理組合1時間
※事前に電話予約が必要です。

<各種相談会>

法律相談会 
平成29年10月18日(水)17時から
マンション運営上の法律相談、区分所有法・管理規約・細則についての相談
管理組合運営相談会 
平成29年10月26日(木)17時から
管理組合の運営、理事会、総会運営についての相談。規約・細則のチェック、管理会社との委託契約についての相談
建物・設備相談会 
平成29年10月20日(金)17時から
マンションの修繕(維持管理)、長期修繕計画、大規模修繕の給排水設備、配管、電気・ガス設備等の維持管理・改修相談など
(※日時は変更する場合もあります。)

申込み・問合せ先
特定非営利活動法人日本住宅管理組合協議会(NPO日住協)
〒101-0041
東京都千代田区神田須田町1-20 
東京都製麺協同組合ビル3階
TEL03-5256-1241  
FAX03-5256-1243


「マンション法律Q&A」トラブルを起こすBさんを監視したいが、防犯カメラを導入する注意点は?

2017-10-11 11:25:59 | マンションQ&A
 
 私達の団地では集合ポストや駐車している車に対するいたずらが発生しています。被害にあっているのは特定の棟の住民の方です。
 その棟の方から棟の中でBさんが多くの人とトラブルを起こしており、犯人はBさんに違いないから、Bさんの行動を監視するために、防犯カメラを設置して欲しいと言われています。偶々管理組合としても防犯カメラの導入については検討していたところですが、設置に際して注意すべき点はありますか。

 
 プライバシー権や肖像権については最高裁判所は「人は、みだりに自己の容ぼう等を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的な利益を有する」としつつ「ある者の容ぼう等をその承諾なく撮影することが不法行為法上違法となるかどうかは、撮影の場所、撮影の範囲、撮影の態様、撮影の目的、撮影の必要性、撮影の画像の管理方法等諸般の事情を総合考慮して、被撮影者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものといえるかどうかを判断して決する」としています。
 共用部分に設置する防犯カメラであっても、プライバシー侵害として許されない場合があります。
 ところで、区分所有建物の共用部分に設置された防犯カメラがプライバシーを侵害するとしてカメラの撤去と損害賠償請求がなされた事件があります(東京地方裁判所平成27年11月5日判決)。
 この事件の特徴的な点は設置された4台の防犯カメラの内1台についてプライバシーの侵害の程度が社会生活上受忍すべき限度を超えているとして、カメラの撤去と慰謝料10万円の支払いを認めつつ、3台についてはプライバシーの侵害の程度は社会生活上受忍すべき限度を超えていないとして、撤去請求と慰謝料を認めなかった点にあります。
 撤去が認められた防犯カメラは、撮影の場所や範囲が特定の居住者の「外出や帰宅等という日常生活が常に把握されるような場所」であることを理由にプライバシーの侵害は社会生活上受忍すべき限度を超えていると判断しています。
 かかる観点から、例えば、防犯カメラの撮影範囲がBさんの玄関や居室のみを撮影対象とするようなものであればプライバシー侵害となる可能性は高いと思われます。
 また、防犯カメラは、そもそも「防犯目的」で設置されるものです。特定の組合員や居住者を監視する目的で設置することは許されません。
 撮影対象としてBさんの玄関とか居室が写っていなくとも、設置場所や撮影範囲からBさんの行動を監視することが目的であると認定されることになればプライバシーの侵害となり得ますから、設置場所や撮影対象については慎重に検討する必要があります。
 なお、先に紹介した東京地裁の事件では監視カメラの設置について共用部分の変更として特別決議が必要なのか、共用部分の管理行為として普通決議で足りるのかについても争われていますが、管理行為に該当して普通決議で足りるとされています。
回答者
NPO日住協法律相談会 
専門相談員 弁護士・石川 貴康
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2017年9月掲載)