竹から綿 竹をプラスチックの原料に

2011-08-01 20:34:02 | 製品
竹は繁殖力が旺盛で、人に利用されなくなった放置竹林は里山を脅かす厄介者となり、竹の有効活用が模索されている。東亜機工(三豊市)は、竹を原料にした「竹綿」を安価に大量生産できる装置を開発。パルプの代替になるだけでなく、竹が持つ抗菌・消臭機能を生かした製品づくりも可能で、放置竹林に悩む自治体やメーカーの注目が集まっている。

 取引先の建材メーカーから「パルプは資源保護のため、今後は調達しにくくなる。代わるものはないか」と持ち掛けられたのが開発のきっかけ。田渕国広社長が提案した「竹の綿」は、当初は本気にされなかった。

 というのも竹は繊維が硬いうえに粘り気があるため、柔らかい綿にするのは困難とされていた。開発に着手したものの、やはり苦労の連続。三年の研究の結果、竹の粉砕に独自の工法を導入することで、安定した品質の竹綿の大量生産に初めて成功し、コスト面でも商業ベースに乗せた。

 竹綿をパルプの代わりに利用することで、竹の特性である抗菌・消臭効果を持つ紙おむつ、マスク、介護用シートなどの製品開発が可能になる。建材はシックハウスの対策になり、空気フィルターやペット用品などへの活用も見込めるという。プラスチックと竹綿を混合した自動車の内装材は廃棄時の有害物質が少なく、メーカーから引き合いが来ている。

 竹綿の量産装置は熊本市に第一号を販売、今夏に稼働する予定で、ほかの自治体からも問い合わせが相次いでいる。今後も竹綿の需要拡大が見込まれるため、自治体やメーカー向けに装置の販売を強化していく方針だ。

 竹綿が切り開く市場の可能性は大きい。「パルプの代替品にとどまらない。まったく新しい高付加価値の製品づくりに貢献できる」と田渕社長。「これまでは邪魔者になっていた竹を資源に変えていきたい」と意欲をみせる。

 【写真】東亜機工が開発した竹綿の量産装置。竹の特性を生かした製品開発が期待される (三豊市豊中町)



コメントを投稿