脱原発意志つなぐ 市民ら「望み捨てない」 日比谷イベント

2012-12-17 18:46:48 | 2012選挙


民意とは何かを考えさせられる結果となった。自民党が政権復帰することになった衆院選。安倍晋三総裁は選挙中「誇りを持てる日本を取り戻す」と威勢良く、繰り返した。しかし国のありようについて、私たちには一人ひとりの思いがある。原発をなくしたい人、平和憲法を守りたい戦争体験者…。数は届かずとも切実な一票だ。3・11後、初めての総選挙。課題は山積するのに、投票率は伸び悩んだ。厳しいまなざしが、国の行方を見据えている。
 

 原発政策を推進してきた自民の大勝に、脱原発を訴えてきた人々から「あきらめない」の声が上がった。
 

 十五日に続き、脱原発イベント「Nuclear Free Now」が行われた東京・日比谷公園。福島県白河市に「原発災害情報センター」の設立を呼び掛けるチラシを配っていた自由業小原紘さん(70)=千葉県我孫子市=は、期日前投票で比例は未来に投じた。共産支持層だが、反原発勢力の広がりに期待した一票だ。「変えるのは本当に大変だね。でも自民に戻るのも一時的で、半年後『あの選挙はなんだったのか』と思うはず。望みは捨ててないですよ」と語気を強めた。
 

 「(今回の結果も)歴史の一こまにすぎない。僕らがちゃんと物事を知っていくことが大事」。トークイベントで語る宮台真司首都大学東京教授の言葉にうなずいていた学校職員武田理香さん(28)=世田谷区=は福島県出身だ。「あれだけ大きな原発事故が起きても変わらない。無関心な人が多い」ともどかしい表情を浮かべた。
 

 「原発をやめられない状況を私たちの意識と力で変えられたらと思う。選挙も私たちができることの一つ」。前回は政権交代に期待し深く考えず民主を選んだ。今回は各党の政策を比べ、投票所で鉛筆を握った後も悩んだ末、再び民主と書いた。
 

 大学教授茅野(かやの)佳子さん(55)=東京都日野市=は小選挙区と比例も未来に投票した後、国内外の活動家が議論する「脱原発世界会議」に足を運んだ。草の根の力強さを信じている。「国会を取りまく市民の行動は、政治に影響を与えていると思う。選挙の結果がどうであれ、今までと同じようにはいかないのでは」
 

 投票締め切りの一時間前。延べ五千五百人が訪れた二日間のイベントを振り返りながら、主催団体の一つの環境NGO「FoE」渡辺瑛莉(えり)さん(30)は、脱原発の民意とかけ離れる結果を踏まえ、決意を話した。「日本社会は変化を好まず、どうせ自分一人では何もできないと思っている人が多い。でも、体験すれば変わる。自分の考えを政治や社会の仕組みに反映させる体験を身近にするために、市民活動をもっと広げなくてはいけない」


衆院選:自民、比例57 前回並み

2012-12-17 17:01:57 | 2012選挙

衆院選:自民、比例57 前回並み

毎日新聞 2012年12月17日 11時54分(最終更新 12月17日 14時34分)

 16日投開票された第46回衆院選は、自民党が単独で半数を大きく超える294議席(小選挙区237、比例代表57)を獲得して圧勝し、3年前に失った政権を取り戻した。ただ、同様に296議席を獲得して大勝した05年衆院選の比例は77議席で、比例に限れば今回は20議席も少なく、119議席で大敗した09年の比例55議席をわずかに2議席上回るにとどまった。

 全国の比例得票数を集計したところ、自民党は1662万票で、05年の2588万票を大きく下回り、09年の1881万票にも及ばなかった。得票率も27.6%で09年の26.7%とほぼ変わらなかった。投票率が09年より約10ポイント低かったことも影響しているが、全国的に自民党支持が広がったとは言い難い。

 自民党の小選挙区候補の得票数を合計すると2564万票で、大敗した09年から165万票減っている。12政党の乱立で民主党と第三極勢力が非自民票を食い合った結果、相対的に自民党候補の当選する小選挙区が増え、自民党の獲得議席を押し上げた形だ。

 大敗した民主党の獲得議席は57議席(小選挙区27、比例30)で、現在の民主党が結成された98年以降最低だった05年の113議席(小選挙区52、比例61)の約半数まで落ち込んだ。比例の得票は962万票で、09年の2984万票から約3分の1に激減。旧民主党時代に挑んだ96年衆院選の894万票に近い水準となった。

 今回初めて国政選挙に挑戦した日本維新の会は54議席(小選挙区14、比例40)を獲得。比例の得票は1226万票で民主党を大きく上回った。みんなの党は比例で524万票と前回の1.7倍に得票を伸ばした。【堀井恵里子】


衆院選:得票率と獲得議席に大きな乖離

2012-12-17 14:10:30 | 2012選挙

衆院選:得票率と獲得議席に大きな乖離

今回の衆院選で小選挙区に出馬した自民党候補は、300選挙区の有効投票総数のうち43%の票を得たのに対し、獲得議席数は300議席の79%にあたる237議席と大勝した。一方、民主党は有効投票総数に占める総得票率が22.8%だったが、300議席の9%にすぎない27議席しか獲得できなかった。得票率と獲得議席に大きな乖離(かいり)が生じ、各選挙区で1人しか当選しない現行の小選挙区制の特徴が改めて浮き彫りになった。

 今回の衆院選の小選挙区の有効投票総数は約5963万票だった。日本維新の会の得票率は11.6%で、300議席の4.7%の14議席を獲得。今回最多の299選挙区に候補を擁立した共産党は、得票率7.9%に対し獲得議席はゼロだった。

 小選挙区は比例復活を除けば1人しか当選しないため、落選候補に投じられた票の多くが民意を議席に反映しない「死票」になる。候補9人が乱立した東京1区は得票率29.3%の自民党候補が当選し、落選候補の得票割合は計7割に達した。

 09年衆院選をみると、民主党は得票率47.4%で7割を超える議席を獲得。自民党も「郵政解散」の05年衆院選で、得票率47.8%で同じく7割超の議席を得ており、選挙制度が選挙のたびに結果が大きく振れる一因となっている。【朴鐘珠】


公共事業拡大へ回帰 自公バラマキ再現、財政悪化で財政破綻

2012-12-14 20:24:52 | 2012選挙

公共事業の実質GDP押し上げ効果(乗数効果)の最新の数値は1・07と、20年前(1・33)を下回る

 衆院選で公共事業をめぐり激論が展開されている。東日本大震災を教訓に自民党や公明党が防災対策を理由に大規模投資を主張する一方、民主党などは「バラマキ回帰」と批判する。公示直前に起きた中央自動車道・笹子トンネルの天井板崩落事故でも分かるように、60~70年代に整備されたインフラの老朽化対策は急務。ただ、単なる公共事業復活に陥れば、財政悪化を加速させる恐れがある。【宇田川恵、工藤昭久】

 「社会インフラの維持は命に関わる問題だ」。4日に開いた道路や橋の老朽化対策を検討する国土交通省の有識者会議。笹子トンネル事故も引き合いに対策充実を訴える声が響いた。国道や市町村道など国や地方が管理する道路の総延長は地球約31周分の126万キロ。橋やトンネルなどの老朽化対策を怠れば、重大な事故につながりかねず、修繕や更新(造り直し)は待ったなしの課題。

 自民党の安倍晋三総裁は5日の街頭演説で「耐用年数が過ぎたトンネルや橋の保全は国民の命を守るために当然」と強調。自民党は10年間で200兆円を防災分野に投じる「国土強靱(きょうじん)化計画」を掲げる。公明党も10年間で100兆円を投資する「防災・減災ニューディール」を打ち出す。

 両党が公共事業拡大に力を入れる背景には、景気後退入りが濃厚となる中、雇用に即効性がある政策を訴え、地方票などを取り込みたい思惑もうかがえる。国の公共事業費は98年度に約15兆円だったが、小泉政権時代に大幅に圧縮。「コンクリートから人へ」が旗印の民主党政権も見直しを進めた結果、12年度当初予算では4・6兆円まで縮小した。

 しかし、笹子トンネル事故を受け、永田町では「老朽インフラの維持管理や更新の必要性が再認識されれば、公共事業縮小の流れは変わる」との見方が浮上。建設業界は「公共事業の重要性への国民の理解が広がってほしい」(大手ゼネコン首脳)と期待する。

 自公の主張に対し、民主党代表の野田佳彦首相は「バラマキ回帰だ」と批判。みんなの党の渡辺喜美代表も「(自公は)建設業界を向いている」と皮肉るが、老朽化対策にはお金がかかるのも事実。実際、10年度の国・地方合わせた公共事業関連費では、老朽化対策分(維持管理3・3兆円と更新0・9兆円)が新設分(3・6兆円)を上回る。国交省は、老朽化インフラをすべて更新するには、今後50年間で190兆円が必要と試算する。

 ただ、12年度末の国の借金は、国内総生産(GDP)のほぼ倍の1000兆円を超える見通し。高齢化で社会保障費が膨らむ中、借金で公共事業を拡大すれば、財政不安が深まる。自公は景気刺激も期待するが、公共事業の実質GDP押し上げ効果(乗数効果)の最新の数値は1・07と、20年前(1・33)を下回る。経済の成熟化で公共事業の経済波及効果は小さくなっている。国交省の老朽化対策会議でも委員から「安全第一だが、すべてのインフラを更新する余裕はない。優先順位の議論が必要だ」との指摘が出ている。


選挙 予想 朝日新聞

2012-12-14 09:14:29 | 2012選挙

 衆院選中盤の情勢について、朝日新聞社は11、12の両日、全300小選挙区の有権者を対象に電話調査を実施し、全国の取材網の情報も加えて情勢を探った。(1)自民は好調を維持、単独過半数のラインを大きく超えて280議席以上をうかがう(2)公明も堅調で自公で300議席を上回る公算が大きい(3)民主は80議席を切る可能性がある(4)日本維新の会は40議席台は確保しそう、などがわかった。
 
 調査時点で投票態度を明らかにしていない人が、小選挙区で5割弱、比例区で4割おり、情勢が変わる可能性もある。今度の選挙で「必ず投票に行く」と答えた人は76%。過去のデータを踏まえて投票率を推計すると、前回2009年の69.28%を下回り、60%台半ばになりそうだ。
 
 自民は小選挙区で優勢な選挙区が170あまりに達している。競り合っている選挙区などの上積みを加えると、05年の219議席を上回りそうだ。比例区は60議席前後になりそう。
 
 公明は8選挙区で議席獲得に見通しが立ちつつあり、残る1選挙区でも競り合う。比例区と合わせ、計30議席台が有望だ。

 民主は反転の兆しがみられない。議席獲得の見込みが有望な小選挙区は20程度にとどまり、比例区との合計で80議席に届くかどうかの情勢だ。

 維新は小選挙区では序盤とほぼ同じ14議席前後の見通し。比例区では30議席台前半にとどまりそうだ。

 日本未来の党は、小選挙区、比例区合わせて10議席前後で、公示前61議席から大幅後退が確実。みんなの党は比例区で大きく伸ばし、全体で10議席台後半をうかがう。

 共産は比例区で前回とほぼ同じ8議席前後。社民は2議席ほど、新党大地と国民新党も1議席を確保する可能性がある。

     ◇

 〈調査方法〉 11、12の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式で実施。目標有効回答数は各選挙区400人。世帯用と判明した番号は全国で計18万2390件、有効回答は計12万3668件。回答率は68%。