轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

三菱 デリカD:5

2007-02-23 14:44:30 | MITSUBISHI
所長 「デリカがやっと新しくなったな。」

助手 「D:5ですね。コンセプトカーが出品されたのが一昨年のモーターショーですから、1年以上も待たされたことになりますね。」

所長 「そこじゃないじゃろ。94年にスペースギアが発売されてから13年振りのモデルチェンジじゃ。デリカファンはさぞかし待ち遠しかったことじゃろ。」

助手 「確かにそうですね。でもとっくに他社のクルマに乗り替えてるんじゃないですか。」

所長 「何に乗り替えるんじゃ。デリカの代わりになるクルマなんて世界中探したって見当たらんわ。もっともアウトドア・ブームなんかの流行りで乗っとったモンはとっくに乗り替えとるじゃろうけどな。デリカの機動力に惚れ込んどったモンにとっては、待望のモデルチェンジという訳じゃ。」

助手 「確かに今でもスペースギアって結構見ますね。」

所長 「それどころかスターワゴンも健在じゃぞ。ディーゼル規制の地域じゃどうか知らんが、この辺りじゃったら1日に数台は必ず見るぞ。」

助手 「言われてみればそうかもしれませんね。でもボクにはイマイチ魅力がわからないんですけどね。RVブームの生き残りみたいじゃないですか。」

所長 「そんなモン、走破性と積載性の両立に決まっとるじゃろ。昔はスキーヤー御用達みたいなイメージが強かったんじゃが、今でも釣り好きのヒトなんかには重宝されとると思うぞ。山奥のポイントにも躊躇なく入っていけるし、中で仮眠をとるにも十分なサイズじゃろ。」

助手 「そう言えばボクの知り合いのおじさんもスペースギアを愛用してますね。」

所長 「そうじゃろ。これ一台あれば大抵のことは用が足りるじゃろ。もっともクルマとしてよりも趣味の道具としての魅力の方が大きいんじゃろうけどな。」

助手 「よくよく考えるとこのクルマってミニバンとSUVのクロスオーバーなんですよね。それもここ数年の流行りとは違って、クロスオーバーなんて言葉が生まれるずっと前からですし、言ってみれば元祖ですよね。」

所長 「クロスオーバーなんて言うのは、単に当てはまるカテゴリーがないから、便宜上そう呼んどるだけに過ぎんのじゃ。それに一昔前は、タウンエースやボンゴにもオフロード仕様が設定されとったしな。ただデリカのひとり勝ちじゃったのと、需要の衰退で消えてしまっただけじゃ。」

助手 「そういうことですか。」

所長 「需要が減ってもライバルがおらんようになったせいで、デリカが生きながらえた訳じゃけどな。じゃから無事にモデルチェンジを迎えられたんじゃから、コアなファンにとってこんなにめでたい話しはないじゃろ。」

助手 「そうですね。ところで新しいデリカですけど、どうですか。パジェロと同じでヒットモデルだったスターワゴンに似たようなデザインで出てきましたけど。」

所長 「悪くないんじゃないか。昔からのデリカファンにとっては懐かしいカタチじゃし、新しいお客へも機動力の高さを十分アピール出来とるじゃろ。そんなことよりも両側にスライドドアが出来ただけでも買い替える理由になるしのぉ。」

助手 「スペースギアは今どき珍しい片側ドアのままでしたからね。」

所長 「実はワシも一時期スペースギアの中古が欲しかったことがあるんじゃ。じゃがこの時代にすき好んで二世代も前の不便な装備を買うことが納得出来なんだんじゃ。そう思っとったお客も結構居ると思うぞ。」

助手 「所長がスペースギアですか、意外ですね。所長って小さいクルマが好きだっていつも言ってるじゃないですか。」

所長 「じゃからほんの一時期じゃ。ときどき無性に無駄にデカいクルマが欲しくなることがあるんじゃ。前期型の四駆のMTが欲しかったんじゃが、ディーゼルしかなかったのがネックじゃったんじゃがな。」

助手 「所長の好みは置いといて。D:5ですけど、ヘッドライトのカタチが少し気になるんですよ。ボディ全体がすでに凶器みたいなのに顔つきまでキツくするのはどうかと思うんですけど。」

所長 「そうじゃな。プロトタイプのコンセプトD:5みたいな無機質な顔の方が面白かったな。月面作業車みたいじゃったしのぉ。」

助手 「所長もそう思いますか。ですよねぇ、コルトと同じようにワンモーションを狙ってるのはわかるんですけどね。」

所長 「じゃがコンセプトカーよりもフロントウィンドウの傾斜を浅くしとるから、ボンネットとの角度に段差が出来てしまうんじゃろ。ライトのカタチ云々よりもボンネット、フェンダーとバンパーの切り欠きとの整合性を考えた結果、一番無難におさまった、と言うのが正直なとこなんじゃないか。」

助手 「そんなモンですかね。まぁ全体のデザインがいいんで気にならないと言えば気にならないんですけどね。」

所長 「そういうことじゃ。細かいディテールがどうのというよりもボディ全体のフォルムが機能的に見えるから問題ないじゃろ。」

助手 「そうですね。ところで肝心の販売なんですが、どうでしょうね。メーカーの目標台数は2300台と低めの設定ですけど。」

所長 「ま、三菱とすれば販売直後にドカンと売れてお終い、というんじゃなくって2000台前後いいから長い間穏やかに推移して欲しいと思っとるじゃろうな。」

助手 「ボクだったらもう少し小さくして5ナンバー枠に収めてですね、2000CCを設定するんですけどね。5ナンバーの箱型ミニバンだったらもっといけると思うんですよ。」

所長 「確かに需要はその方があるんじゃろうけど、果たしてそのクラスで勝ち残ることが出来るかが問題じゃ。それよりも四駆を前面に出してじゃな、デリカの得意分野で戦う方がいいと思うぞ。前にも言ったと思うが、マーケットに合わせて個性をなくすよりも、長所を最大限に生かす方がいいと思うんじゃ。特にデリカのように既存客が居る場合、何よりもお客にそっぽ向かれんようにするのは大事なことじゃしな。」

助手 「なるほど、それもそうですね。」


参考資料
三菱 デリカ D:5(三菱自動車工業株式会社)
三菱 コンセプトD:5(三菱自動車株式会社)
三菱 デリカ・スペースギア(三菱自動車工業株式会社)
三菱 デリカ・スターワゴン(三菱自動車工業株式会社)

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