轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

ホンダ・エディックス

2005-03-09 20:28:00 | HONDA
所長 「おい、ホンダのエディックスってどう思う。」

助手 「エディックスですか。最近よく見かけるようになりましたね。見かけるようになってから、ちょっと気になるクルマですね。」

所長 「そうか、お前も気になるか。どこらへんが気になるんじゃ。」

助手 「どこということもないんですが、走ってるのを目で追いかけてしまいますね。所長はどうですか。」

所長 「ワシはこのクルマの成り立ちに興味があるんじゃ。」

助手 「と、言いますと。」

所長 「まず、出発点が、6人乗りの乗用車なんじゃが6人乗ることを想定してない、ということじゃ。」

助手 「まあ、確かに3列シートミニバンもそうですけど、実際に6人でのることってあまりないでしょうからね。」

所長 「お客の使い方を分析した結果、6人乗りのクルマをつくるときに、3列目をまったく使わんよりも、3人掛けにしてふたりで座る方が、効率がいいっていう考えじゃろうな。」

助手 「そうですね。初めから6人乗車を想定しないで、6人乗りのクルマをつくったらそうなるかも知れませんね。」

所長 「実際、使わんモンがほとんどじゃけど、あるのとないのとでは売れ方が違うんじゃから、そういう考えになるのも無理はないわ。」

助手 「そうですね。」

所長 「で、幅が狭くて長いクルマよりも、幅が広くて短いクルマの方が走行性能がいいのは、目に見えとるからな。」

助手 「そうですね。」

所長 「で、そういうクルマをつくったってわけじゃ。」

助手 「でも、このレイアウトのクルマって、以前に日産のティーノやフィアットのムルティプラがありましたが、どちらも販売的に成功したとは言えませんよね。」

所長 「確かにそうじゃな。じゃが、見せ方を変えることでニーズが変わるということもあるじゃろ。ストリームなんかがいい例じゃ。5ナンバーサイズのミニバンとしてヒットしたじゃろ、じゃが別に5ナンバーサイズなんて珍しくもなんともないモンなんじゃ。先代のイプサムやリバティ、ディオン、プレマシーと各メーカーから出てたし、それにエスティマやオデッセイが出るまでのミニバンなんてみんな5ナンバーじゃったんじゃから。」

助手 「そうですね。でも、ストリームって新しいカテゴリーのクルマってイメージがありますよね。」

所長 「そこがホンダの上手いところじゃろ。ようするにストリームはオデッセイの5ナンバーサイズ版なんじゃ。で、オデッセイよりもスポーティーなキャラクターに仕立てて登場したわけじゃ。そうすることによって、それまでの他のメーカーのクルマとはおんなじクラスにならんかった、というわけじゃ。」

助手 「そうすると今度のエディックスもそういう計算があったんでしょうか。」

所長 「もちろん、そういう風に考えとったんじゃろうな。じゃが販売台数を見る限り、今のところ、あまり成功したとは言えんがな。」

助手 「どこに問題があったんでしょうか。」

所長 「まあ、要因はいろいろあるじゃろう。デザインとか、新しさをあまり感じられなかったとか、じゃがワシの推測では、お客のニーズが違ったというのが原因だと思うんじゃ。」

助手 「ユーザーのニーズですか。」

所長 「そうじゃ。お客が欲しかったのは6人乗りのクルマじゃなくって、3列あるクルマじゃった、ということじゃ。」

助手 「そうなんですか。」

所長 「まあ、ワシの想像じゃがな。」

助手 「どう違うんですか。」

所長 「3列シートの場合、使わんときは収納してラゲッジスペースが広げられるじゃろ。で使うときは魔法のように出てくる、そうした使い勝手の良さが受けとるんじゃと思うんじゃ。それが3人掛けの場合、手荷物置きにはなるんじゃが、3列シートのように機能を変えることは出来んじゃろ。」

助手 「確かにそうですね。」

所長 「あと、クルマって縦に長いじゃろ、1列増やしても全体の長さの印象はあまり変わらんじゃろ。それが横に広げるとなると、大きく変わるんじゃ。例えば縦に10cm伸びても言われんと気付かんじゃろ、じゃが、横が10cm広がると、とたんに大きく見えるんじゃ。」

助手 「それはそうですね。」

所長 「じゃから、クルマのレイアウトとしては理想的なんじゃが、使う人間にとっては、あんまりメリットが感じられんかったんじゃろうな。」

助手 「そうですか、そうするとやっぱりエディックスは厳しいですね。」

所長 「じゃが、エディックスのキャラクターはいいと思うんじゃ。街中で見かけたときハッとさせられるクルマじゃ。」

助手 「そこなんですよ。エディックスが前から来たら、気になるんですよ。」

所長 「そうじゃろ。前後方向の寝かせた傾斜に比べて、左右方向はほとんど直立しとるところなんて、今までにはなかったデザインじゃ。そういう風に考えてみると、大ヒットはせんじゃろうが、好きモンには受けそうな気がするわい。ロングセラーになるか、中古車市場なんかで面白いことになるかも知れん。」

助手 「案外、マニア受けするクルマかも知れませんね。」

所長 「エディックスって確か、ヨーロッパでも発売したんじゃろ。」

助手 「はい。えーと、FR-Vという名前で昨年のパリサロンに出てましたね。」

所長 「ワシの予想じゃ、ヨーロッパの方が売れると思うんじゃ。このレイアウトも受けが良さそうじゃし。それにムルティプラの新しい顔じゃったらエディックスの方が男前じゃしな。」

助手 「そうですね。そうなるとますますマニア受けする材料が揃いますね。」

所長 「あと、この間街で見て思ったんじゃが、エディックスって、どことなくベンツっぽい感じがするんじゃ。」

助手 「えっ、ベンツですか。全然違うじゃないですか。」

所長 「いやベンツといっても王道のセダンじゃなく、新しいAクラスやビアノなんかのミニバンのベンツじゃ。幅が広くてピラーが直立してるとこや、窓枠の下端が後ろに行くにつれて上っていくところなんじゃが。そう思って見てみるとライトやグリルなんかも意識しとるようにも思えるんじゃ。」

助手 「うーん、言われてみたら、何となくわかる気も・・・。」

所長 「で、日本ではあんまり売れんと生産が終了してじゃな、中古車市場で人気車種になるっていうのがワシの読みじゃ。」

助手 「うっ、ありそうですね。」

参考資料
ホンダ・エディックス(本田技研工業株式会社)
日産 ティーノ(日産自動車株式会社)
フィアット・ムルティプラ(『GAZOO.COM』 トヨタ自動車株式会社)

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