ショパン国際コンクールの2次予選、3日目の夜の部のトップバッターに、古海行子さんが登場(日本時間10/12の0:05頃)。
スターピアニスト達の影に隠れてしまって、あまり話題に上っていなかったのですが、1次予選で演奏を聴いた時に、あまり感情を表に出さず、落ち着いたきれいな演奏をするところが印象的でした。
古海行子(ふるみ やすこ)
神奈川県出身。昭和音大大学院生、23歳。
ショパンコンクールに臨むに相応しい受賞歴です。
2019年 ショパン国際ピアノコンクールin ASIA プロフェッショナル部門金賞及びショパン協会賞受賞
2019年 パデレフスキ国際ピアノコンクール(ポーランド)第3位
2019年 パデレフスキ国際ピアノコンクール(ポーランド)第3位
国内外で演奏活動をし、日フィルや東京フィル等とも共演、CDも出している、いま注目の若手ピアニストだということを知りました。
演奏した曲は、
1. ポロネーズ5番 嬰ヘ短調 Op.44
2. ポロネーズ7番「幻想」変イ長調 Op.61
3. ワルツ(猫のワルツ)へ長調 Op.44
4. 舟歌 変へ長調 Op.60
ピアノはスタンウェイ。
1番目のポロネーズ5番。珍しいのですが、英雄ポロネーズほど演奏会で取り上げられることが少ないため、通称「悲劇的」と言われている曲です。然し、ショパンが、ポロネーズの中にポーランドの伝統的リズムのマズルカを組み入れた名曲中の名曲と言われている曲です。約10分。
低音の少し不気味なメロディーから両手オクターブのユニゾン、そして、この曲の特徴であるマズルカのリズムがドラマチックに展開して行きます。中盤に、左手で何度も繰り返されるマズルカのリズムが曲に効果を与えています。両手オクターブが多いので、体力と技術がいるようです。
なぜこの曲を1番目に選んだのか知りたいですね。
2番目の幻想ポロネーズ、ショパンが恋人ジョルジュ・サンドと別れ、肺結核と闘いながら書いた曲で、ショパンのポロネーズとしては最後の大作と言われています。こちらも難易度高く、体力も必要です。
少し暗めのポロネーズが2曲続きましたが、ショパンらしい、ポーランドらしい曲選ではないでしょうか。
古海さんはコンクール前、2019年迄までコンサート等多忙な生活を送っていましたが、コロナ禍で中止等が続き、ショパンの曲について勉強する時間が持てたことで新たな発見を得て、価値観が変わったそうです。ショパンの曲は、演奏者のパーソナリティを隠せないので、音楽について深く考え、自身の信念を表現したいと仰っていました。
演奏後のコメントでは、演奏しながら音楽と一体化し、自由でいられる瞬間を感じた、と言っています。
楽しんで弾かれていたのですね。とてもきれいな演奏でした。
今回のショパンコンクールは全体的にレベルが高く、審査員達も審査に苦慮している様子です。
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