goo blog サービス終了のお知らせ 

ヴァイオリン ~ 雑音ラプソディ ~

50代後半になって突然始めたヴァイオリン。
ヴァイオリンやピアノなど
音楽に関することを綴っていきます。

川崎「夜ピアノ」第5回 息を呑むほど感動 ケヴィン・チェン

2025-03-23 | ピアノ
2025.2.19

ピアニストの名前を聞いたことがありませんでした。
CDもなし。情報を予習することもなくミューザ川崎シンフォニーホールへ向かいました。

ステージに現れた青年は、童顔でまだ幼さが残る19歳。
早くも1曲目のショパンのバラードで、心を撃ち抜かれました。
本当に美しい。あんな美しいショパンを聴いたことがありません。
息を呑むほど感動し、涙も出そうでした。
演奏技術は完成されていて、何よりもその叙情的な表現の豊かさに魅了されます。

名前はケヴィン・チェン。
カナダ出身のピアニスト。演奏時は19歳(3月で20歳に)
5歳でピアノを始め、8歳でカナダ音楽コンクールに優勝、10歳になる前にはカナダ放送協会による「30歳以下の注目すべきカナダ人クラシック演奏家30人」等に選出されるという天才ぶり。
2020年3月 ヒルトン・ヘッド国際ピアノコンクール(米国)優勝
2020年8月 モーツァルト国際ピアノコンクール(スイス)優勝
2021年 リスト国際ピアノコンクール 史上最年少として優勝。
2022年 ジュネーブ国際音楽コンクール優勝
2023年 アルトゥール・ルービンシュタインピアノコンクール優勝
という快挙を10代にして成し遂げています。

演奏前半は、ショパンのバラード4番、幻想ポロネーズ、そしてドン・ジョヴァンニの変奏曲「お手をどうぞ」。
このドンジョバンニは、これがケヴィン・チェンの特性なのかと思えるほど自由闊達な演奏。
後半は、リストのバラード2番、シューベルト「魔王」のリスト編曲、リストの「イタリア」よりペトラルカのソネット104番、そしてリストのドン・ジョヴァンニの回想。
ケヴィン・チェンの本領は、リストで明確になりました。超絶技巧も難なくこなし、「魔王」についてはドラマティックに、ソネットは詩的にロマンチックに、どんな曲でも表情豊かに自由自在に弾きこなす。

演奏後は、客席からの盛大な拍手。四方の観客に向かって深々とお辞儀をします。礼儀正しいし、可愛い。
一度舞台袖に下がっても、急いで戻ってきてアンコールに応えてくれます。
アンコールは3曲。シューベルト(リスト編)水に寄せて歌う、ショパンのマズルカイ短調、シューマン(リスト編)の春の夜。

ケヴィン・チェンさんの評判はピアノ界では注目されているらしく、多くのピアノ演奏家や教育者たちが駆け付けた様子。
まだわかりませんが、今年のショパン国際ピアノコンクールの優勝候補と噂されています。
新たに、才能ある素晴らしいピアニストに出遭えました。





コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミューザ川崎 夜ピアノ2024第4回 腰痛で帰る

2025-03-17 | ピアノ
昨暮れから、寒さのせいか腰痛が続いていて、日によって痛みの度合いが変わるのですが、リュック等背中に背負うもの、特にヴァイオリンケースを背負うと必ず後で腰椎あたりが痛くなり、翌々日になるとよくなっている、の繰り返しです。
2月に注射を4本打ってもらってだいぶ楽になったのですがね。

2025.1.31
ミューザ川崎「夜ピアノ2024」第4回目の日でした。

昼間ヴァイオリンのレッスンがあり、時間があったのでケースを一旦置いてミューザ川崎へ向かいました。
ケースを背負った後なので、移動している間、腰が、
痛い(>_<)。
特に電車の座席の立ち座りが辛い。歩いていても、腰が曲がっている?という感触でした…。

この日のピアニストは、三浦謙司さん。
1993年生まれ。19歳まで音楽の道を歩んでいましたが、一度その世界を離れ、ボランティア等別のことに打ち込みます。その間に友人の死に直面し、音楽が自分にとって唯一無二のの存在と確信し、再び音楽の道に戻りベルリンの音楽大学へ進みます。
2019年のロン・ティボー国際コンクールで優勝と特別賞3つ受賞。世界の注目を集めます。

自分が知らなかったピアニストでしたが、ファンが多いらしく1~2階はほぼ満席。


前半の曲目:
ブラームス: 4つのバラード Op.10
バッハ:   トッカータとフーガニ短調 BWV565 (ブゾーニ編)

ブラームスのバラードの1曲目が終わると、2列目の方々数人が拍手してしまいました。すかさず、三浦さんが、やめてくれと言わんばかりに右手で払うような仕草をして2曲目に入ります。
三浦さんの演奏は緻密、表現に深み、重厚感がある、というのが感想です。

然し、私ですが、座っている間に腰がビリビリ痛くなってきて、段々曲に集中できなくなってきました。
バッハのトッカータとフーガ、オルガンに慣れているせいか少し違和感はありましたが、三浦さんなりのピアノ表現で斬新な感じもありました。

前半終わったら、もう帰ろう…と思うものの、後半は、ショパンの前奏曲24曲全曲。
聴きたい!でももう痛くて座っていられない。
きっと帰りはもっと寒くなっているし、電車が混んで辛いだろうなと思うと…。
後ろ髪を引かれる思いで帰りました。
仕方ないですね。


ところで、2月の第5回、3月の第6回の夜ピアノ、感動Max、とても素晴らしかったです。
後日投稿します。
いつも不定期ですが、投稿に気が付いて読んで頂けると嬉しいです。









コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2025年は若手3人の演奏からスタート

2025-02-03 | ピアノ
2025.1.12

今年最初のコンサートは、1月12日に開催された亀井聖矢さんの、東京渋谷・オーチャードホールでのオール・ショパン・プログラムの第2回室内楽編でした。共演者は、ヴァイオリン・東涼汰さん、チェロ・佐藤晴真さん、とこれからの活躍が楽しみな若手演奏家達です。

第1回は聴いていないのですが、2023年10月にピアノだけのリサイタルが開催されたようです。今年7月にも協奏曲編のコンサートがオーチャードホールで予定されているようですが、この3回シリーズは10月開催のショパン国際ピアノコンクールに向けての演奏会と思われます。

昨年、ラ・フォル・ジュルネでの亀井聖矢さんのコンチェルトを聴きに行きましたが、ステージからの距離が遠く音響も悪い場所でもあったため、オケとピアノの音ズレが発生し私の中では残念なコンサートとなりました。ところが今回のオーチャードホールの席も、取れた席は2階の最後列の隅っこのB席で、上に3階席の屋根があるため明らかに良い音響では聴けない場所でした。(いずれも姉が席を取ったのですが、先行予約でこの席しか取れなかった?、そうです…。)

オーチャードホールも、東京国際フォーラムと同じように、クラシックコンサート用に設計されていないので、屋根がある場所だと音がそこにぶつかって細くなり聞こえづらくなります。良い音響を楽しみたい人は、1階も2階も屋根のないところがお勧めてす。2階の後方を取るくらいなら3階席の方が良いという意見もあるようです。オーチャードホールでクラシックを聴こうとする場合はご参考までに。

思いがけず、良い席が手に入る
チケットは早くから完売だったはずでしたが、コンサートの前日に、オーチャードホールがS席を数席開放したという情報をSNSを通して知りました。恐らく主催者か出演者の招待者用に確保されていた席だと思います。前述の通りチケットは持っていましたが、新年早々、音響の悪い席でコンサートに臨みたくないという気持ちが強くなり、急いでそこの席を確保しました。
つい先日、ピアニスト藤田真央さん出演のコンサートでも数席開放があったようです。
こういうこともあるのですね。



演奏曲目(いずれもショパン):
第1部:
・バラード第3番変イ長調Op.47
・ポロネーズ第5番嬰へ短調Op.44
・ポロネーズ第6番変イ長調Op.53《英雄》
・ポロネーズ第7番変イ長調Op.61《幻想》
第2部:
・ピアノ三重奏曲ト短調Op.8

ショパンのピアノ三重奏曲はとても珍しいもので、ショパンが書いた室内楽曲5曲の中でヴァイオリンの入った三重奏はこれが唯一です。他4曲は、ショパンがチェリストと親交があった影響で、いずれもピアノとチェロの二重奏。

演奏前に3人のトークもあり、この曲はヴァイオリンの持ち味であるE線を鳴らす高音部が少なく、ヴィオラの方が良かったのではないかと、東涼汰さんの説明がありました。
亀井聖矢さんは三人の中で一番年下で、桐朋学園大学のソリスト・ディプロマコースに在籍中の現役学生。このコンサートの2日前に試験があり、この三重奏を演奏したそうです。東涼汰さんについてはブログに何回か投稿していますので省略しますが、東京芸大出身の佐藤晴真さんは、2019年のミュンヘン国際音楽コンクールのチェロ部門で日本人として初めて優勝したチェリストです。三人の中で最年長(28歳)で、チェロのような低音ボイス、落ち着いた雰囲気の方です。
亀井さんは、新しいことに興味を持ったり挑戦する一方、落ち着きがない性格、と二人にいじられていました。仲良さそうでしたね。(笑)

アンコール曲:
・エチュード第11番イ短調Op.25-11《木枯らし》
・ロマンス~ピアノ協奏曲第1番第2楽章を三重奏用に編曲されたもの
 (編曲:山下康介氏)

亀井さんの演奏についての感想
ポロネーズは、情感や曲表現に関して云えば、完成度が今少しという印象。
一方、アンコールの木枯らしのエチュードは完璧で素晴らしかったです。
今年のショパン国際ピアノコンクール、亀井さんには頑張ってほしいですね。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミューザ川崎 夜ピアノ2024 第3回 ベンジャミン・グローヴナー 

2025-01-03 | ピアノ
あけましておめでとうございます。🎍
本年もどうぞよろしくお願い致します。

昨年中のコンサートについて、いくつか書けずに心残りが残っているので、遅ればせながら投稿します。

2024.12.18

ミューザ川崎シンフォニーホールの「夜ピアノ」
第3回目のピアニストは、日本ではあまり知られていないのか(私も知らなかった)、第1回のガルシア・ガルシアや第2回のカントロフの時に比べて観客が少ないように感じたのですが、
この日の演奏を聴かなかった人は後悔するかもしれません。
高い技巧性と瞬発力、豊かな音楽性。フォルテでも音色が美しい。
こんなすごいピアニストがいたとは驚きでした…。
カーテンコールに応えて3回アンコール演奏をしてくれましたが、観客からの拍手は鳴りやまず、歓声がホールに轟いていました。

英国人ピアニスト、ベンジャミン・グローヴナー
1992年英国エセックス州生まれ。英国王立音楽院の音楽学士。
11歳の時に、ピアノとチェロのリサイタルを開きプロデビュー、同年オーケストラと初共演。12歳でBBC Young Musicianのコンクールで優勝。それ以降ピアニストとして数々の海外の一流オーケストラと共演している。ここ数十年間に頭角を現した最も重要なピアニストの一人と言われている。

日本では無名でも、世界的に有名なピアニストなのです。
赤い蝶ネクタイに赤いポケットチーフのブリティッシュスタイルで登場です。



演奏曲: 
・ブラームス:3つの間奏曲op.117
・ラヴェル:夜のガスパール
・ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」全曲
アンコール曲
・リスト:2つの演奏会用練習曲より「小人の踊り」
・ラヴェル:水の戯れ
・バッハ(ジロティ版):プレリュード ロ短調

2023年に1回モディリアーニ弦楽四重奏団との公演で来日していますが、今回は東京2箇所と川崎でリサイタル公演。東京は小さいホールのようでした。大ホールで演奏するようなハイレベルのピアニストですが、日本では知名度がそこまで及ばないのでしょうね。
今年ブリテンという協奏曲でN響と共演するようですが、グローヴナーのすばらしさを知るにはソロリサイタルを聴くのが良いと思います。

リサイタル情報:
ベンジャミン・グローヴナー ピアノリサイタル
2025年4月23日(水) 19:00開演 
東京・銀座ヤマハホール
曲目 ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」他

まだ席はあるようです。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アレクサンドル・カントロフの幻想の世界に引き込まれる

2024-12-06 | ピアノ
先週、ピアニスト、アレクサンドル・カントロフのリサイタルに2回行ってきました。2019年チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門の優勝者。
昨年のリサイタルを初めて聴いた時、その芸術性溢れる演奏に、他のピアニストにはない特別なものを感じたのでした。


2024年のツアーは、川崎、東京、愛知の3か所。
初日の演奏は、11月27日、ミューザ川崎シンフォニーホールで行われました。前の投稿で説明した「夜ピアノ」企画の2回目です。
2日目は、11月30日、サントリーホールで行われました。

2024.11.27 ミューザ川崎シンフォニーホール
曲目:
・リスト:巡礼の年第1年「スイス」より オーベルマンの谷
・メトネル:ピアノ・ソナタ第1番へ短調Op.5
・ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第1番ニ短調Op.28
・バッハ(ブラームス編曲):無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番よりシャコンヌ(左手のための編曲)

アンコールは、
リスト:イゾルデの愛の死(ワーグナー S.447)

2024.11.30 サントリーホール
曲目:
・ブラームス:ラプソディロ短調op79-1
・リスト:超絶技巧練習曲集S.139より第12番「雪あらし」
・リスト:巡礼の年第1年「スイス」より オーベルマンの谷
・バルトーク:ラプソディOp.1 Sz.26
・ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第1番ニ短調Op.28
・バッハ(ブラームス編曲):無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番よりシャコンヌ(左手のための編曲)

アンコールは、
リスト:イゾルデの愛の死(ワーグナー S.447)
シューベルト/リスト:宗教的歌曲 S.562 R.247より第1曲 “連祷”

ミューザ川崎シンフォニーホール
ステージに登場して挨拶をし、ピアノに向かった瞬間、観客がいることを忘れたかのように曲の世界に入ってしまう。
痩せ型、気取ったところもないし派手さもありません。

今回のプログラムは全て難曲で、ほとんどが彼の得意の超絶技巧。
人間の指でここまでできるのかと思えるほどの超高速で力強い指の動き。それでいて、メロディーの骨格はしっかりしていて、鳴らす音がはっきり聴こえる。
音の強弱による陰陽表現が自然で美しい。
演奏を聴いていると、色彩や情景が浮かび、ストーリーが描かれているような感覚になり、どんどん幻想の世界に引き込まれて行くのです。

11/27の前半のリストからメトネルまで、曲間、楽章の間に休みを入れず、演奏に集中。拍手や挨拶は無用、静寂も呼吸も音楽の一部、と感じさせたいのでしょうか。
曲の世界に引き込まれて息を凝らしながら演奏を聴いている観客の中に、この静寂を咳で破ってしまう人が数人。

11/30の方は、前半のブラームスからバルトークまでの4曲、これも曲間、楽章の間に休みを入れません。4曲には関係性があって、1つの曲として考えていたのかもしれません。
その曲間で、大きな咳。それも怪獣か恐竜の鳴き声かと思えるような咳がホールに響き渡りました。演奏中にやられなかったのは幸いでしたね。(苦笑)


サントリーホールの座席から

両日とも、後半にラフマニノフのソナタ。音の重ね方や色彩がとても美しい。ラフマニノフよりラフマニノフ以上…?
ラフマニノフはロシア人ですが、カントロフの弾くラフマニノフはロシア&フランス風?なのか、何か違います。
カントロフのお父さんはヴァイオリニスト、ジャン=ジャック・カントロフ。フランス人ですが、ユダヤ系ロシア人。
この卓越した才能は、彼のルーツから来ているのか、とも思いたくなります。
何回でも聴きたい演奏です。

最後のバッハのシャコンヌ、一度舞台袖に戻ってから演奏します。この曲は、バッハのヴァイオリンの曲をブラームスが、右手を故障したクララ・シューマンのために左手だけのために編曲したもの。
バッハ入魂のこの曲を、左手だけで祈りを込めて演奏するその表現の豊かさには心打たれます。
曲終わり、最後の一音を押しながらそのまま静止。20秒ほどの静寂の後、頭を上げ、大きな拍手が沸き起こります。
感動的でした!
この人は、桁違いにすごいピアニストです。


サントリーホール前カラヤン広場のクリスマスツリー


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする