飛魚的日乗 (現代詩雑感)

詩のことを中心に書いていきます。

夜と霧

2006-04-25 | Weblog
 なぜか急に「夜と霧」を読みたくなって読んだ。読みたくなってはいけない本なのかもしれないと思いながら読んだ。なぜ読みたくなったのかは判らない。

 オイディプスの三角形。父でないことが父であり、父であることが父でないということ。息子と小さな諍いがあった。

 肛門の太陽光線 控訴院長の欠伸 ソシュルールのシラブル 生きものの呼吸
 尾形亀之助の詩 猫の背の蝿 病んでいるのは誰か 誰の所有する病か

 何篇かまとめる。年末までに15篇できればいい。僕が書いているのではないという確信がある。ぼくはただ書かされているだけだ。

 

朝の鳥の声

2006-04-23 | Weblog
 5時半頃目覚める。曇天。ケーブル葉山のクラシックを聴きながら、ぼんやりしていた。一緒に起きてきた、メイ(我が家の猫です。)が、時々擦り寄ってきて、何かくれという。鰹節を少しと新しい水をあげると、おいしそうに食べたり飲んだりしている。その様子を見ているのはうれしいが、それも僕の「欲望」なのかもしれないと思う。メイが喜ぶ様子が見たいという僕の「欲望」と、メイの何か食べたいという「欲望」が交差する。一本の線と線の交差。その交差する線のところで、時間の間隙が生じていて、小さな断絶が起こる。そこに生起する世界がある。それを書きたいと思う。
 気づくと鳥の声がにぎやかだ。僕の書く「ことば」は、鳥の声ほども力はないなと感じる。生きた声。書くものがそれを持てるだろうかと考える。
 

最終電車

2006-04-19 | Weblog
 最終電車の扉のガラス窓が映している世界
眠っている女
 青い顔で息を荒げている男
たぶん酔っているのだと思う
 その隣の携帯電話をいじっている男
そのまた隣の
 足先を揃えてちょこんと座っている猫
猫の隣の猫
  僕は
星空のことを考える男を隠す
いつまでも小刻みに身振るい男を隠す

 僕の胃の腑のところに掴っている
シャガールの烏のうつろな瞳
その瞳が見ている暗い空
 急なカーブに差し掛かると
みんないっせいに足をじたばた鳴らす
遠くで警笛の音が響く