飛魚的日乗 (現代詩雑感)

詩のことを中心に書いていきます。

最終電車

2006-04-19 | Weblog
 最終電車の扉のガラス窓が映している世界
眠っている女
 青い顔で息を荒げている男
たぶん酔っているのだと思う
 その隣の携帯電話をいじっている男
そのまた隣の
 足先を揃えてちょこんと座っている猫
猫の隣の猫
  僕は
星空のことを考える男を隠す
いつまでも小刻みに身振るい男を隠す

 僕の胃の腑のところに掴っている
シャガールの烏のうつろな瞳
その瞳が見ている暗い空
 急なカーブに差し掛かると
みんないっせいに足をじたばた鳴らす
遠くで警笛の音が響く