飛魚的日乗 (現代詩雑感)

詩のことを中心に書いていきます。

汚れた靴

2013-07-06 | Weblog
汚れた靴を抱えて逃げ回る人々の声が木霊する
汚れた靴を飲み込んだ人々のうめき声が途絶える
汚れた靴の分子構造を議論する詩人たちの声がかすれる

エンディングの相談はもう始められている
汚れた靴は空を飛んで親殺しを告白する
汚れた靴は父母の死に立ち会えない
どうせ弱いものを犠牲にして生き延びる
瓦礫の奥で片足で跳んでみる
手を広げれば灰の匂いだ

途切れ途切れのオルガンの音が聞こえる
光の窓から覗いている暗い扉
暗い扉の向こう側の人たちが消えて
汚れた靴は光のファイブステップだ