技術構造分析講座ブログ

東工大の科学史・技術史・科学技術社会論・科学方法論研究室のブログです。公式情報、研究の詳細はホームページをご参照下さい。

数学者を描いた映画

2006-02-21 00:32:47 | Weblog
最近、数学(数学者)に関わる映画がいくつか上映されていました。

小川洋子の小説『博士の愛した数式』(自動車事故の後遺症で80分間しか記憶のもたない数学者と家政婦とその息子との交流を描く)の映画化されて現在上映中ですが(http://hakase-movie.com/)、同じように「プルーフ・オブ・マイライフ」(http://c.gyao.jp/movie/proofofmylife/intro.html)という数学者を主人公にした映画をやっていました。こちらも「Proof」という戯曲を映画化したものだそうです。日本でも「プルーフ/証明」という題で、寺島しのぶの主演で上演されたようです。後者は、若いときは世界的な数学者といわれながら、晩年は精神を病んでいた数学者とその娘(彼女も数学を専攻し、彼女が主人公)を描いています。

数年前に、やはり精神を病んだ数学者を主人公にした「ビューティフルマインド」という映画が上演されていました。こちらは実在のゲーム理論でノーベル経済学賞を受賞したJohn Forbes Nash Jr.を主人公にしたものでしたが、数学研究というとこうした狂気ぎりぎりの世界と結びつけて描かれることが多いようです。偏見でしょうが、周辺でも数学者というと「変わった人」が多いような印象があります。


ブダペストの日本食品事情

2006-02-15 06:32:49 | Weblog
 最近は韓国や日本からの在住者がブダペストに増えてきたため、特に住民の多い2区に日本食材店を扱うお店がいくつかができています。
 えっと、写真は一番有名なお店で、こんな感じの概観のお店の中には、冷蔵庫に日本食品が結構たくさん冷凍されています。
 バス11番と29番の交差点、というのは趣味的過ぎるか。

 ここは韓国・日本食材屋さん。朴さん大好き

 中島秀人

修士論文発表会の報告(くりはら)

2006-02-06 18:06:59 | Weblog
本日,修士論文の発表会がありました.発表されたみなさん,おつかれさまでした.

今年は,論理学を研究されている「とう」さん,さいださんの2人と,科学史を研究されいるみやもとさんの計3名でした.

表題は次の通りです.
・ とう「初等的プロトセティックの研究」
・ さいだ「矛盾許容型論理PCL2の研究」
・ みやもと「1930年代のナチスドイツにおける数学の正当化―数学教育の観点から―」

映画「白バラの祈り」(梶)

2006-02-05 17:03:37 | Weblog
 東京の日比谷シャンテ・シネで映画「白バラの祈り―ゾフィー・ショル、最後の日々」を見ました。
 「白バラ」というのは、第二次世界大戦中にドイツでヒトラー打倒を市民に呼びかけた大学生のグループのことです。映画は、その一人21歳の大学生で主人公のゾフィー・ショルとその兄ハンスがミュンヘン大学でビラをまいた1943年2月18日(木曜日)から、ゲシュタポの尋問、22日(月曜日)の裁判と判決、即日の処刑までの6日間(ビラ撒きの準備をした前日を含め)にしぼって描かれています。
 映画は、尋問、裁判の様子を、東独崩壊後に発見された当時の尋問と裁判の記録に基づいて忠実に再現しているそうです。
 世に聞く日本の特高の取り調べやスターリン下の大粛清時代のソ連内務人民委員部の取り調べに比べ、ここに出てくるゲシュタポの取調官の取り調べが紳士的なのに驚きました。証拠のやり取りと議論の応酬だけです。
 裁判はまったく茶番であったことがよくわかります。「人民法廷」と称する最高裁の裁判長がベルリンからミュンヘンに飛行機でやってきて、月曜日の朝10時に開廷してわずか二時間弱で判決に至り、しかもなんの猶予もなくその日の夕方には処刑してしまいました。じつはゾフィーといっしょにさばかれた兄や友人クリストフは、軍籍にあったので本来は軍事裁判にかけるべきだったそうです。
 取調官が、ヒトラーが出てこなければ自分は仕立屋か失業者だったと言ったのが印象的でした。独裁政権にもかならずそれを下からのささえる層がいなければ続きません。スターリン政権も、「大粛清」で「古い専門家」がいなくなって社会上昇を果たした新しい専門家が支えていた(支持していた)といわれています。
 ドイツでも当時、処刑に「ギロチン」が使われていたことにびっくりしました。それも机の上に乗せられるような小型のギロチンでした。

日比谷のシネシャンテでは少なくとも2月14日までは上映しているようです。
http://www.chantercine.com/schedule/index.html
他館については、映画「白バラの祈り」のサイト
http://www.shirobaranoinori.com/ の「CinemaInfo」のページをごらんください。

2月8日までは、シネシャンテの近くの有楽町朝日ギャラリー11Fで、「ゾフィー・ショルと白バラ展」(入場無料、よいパンフレットを売っています(200円)。)をやっています。白バラについて基礎知識を得るには、関楠生『「白パラ」―反ナチ抵抗運動の学生たち』清水書院(人と思想)、1995年がよいと思います。また、今回の映画のパンフレット(700円)もよくできていました。