技術構造分析講座ブログ

東工大の科学史・技術史・科学技術社会論・科学方法論研究室のブログです。公式情報、研究の詳細はホームページをご参照下さい。

UMISTの図書室

2007-03-15 12:19:45 | Weblog
小林です.

先週,マンチェスター大学にて研究発表させてもらいました.その研究会に参加されていた一人が,Joseph Marsh博士.John Pickstone博士の紹介もあって,Joseph Marsh博士に旧The University of Manchester Institute of Science and Technology(UMIST)の図書室を案内してもらうことができました.

この図書室は,旧UMISTのメインビルディングの中にあります.マンチェスター大学のCentre for History of Science, Technology and Medicineがある建物からは30分ぐらいのところ,少し遠いです.
図書室はそれほど大きくはなく,研究室の一部といったところ.図書室の奥にMarsh博士の研究室があります.しかし所蔵している本は,貴重なものばかりです.Ree's Encyclopediaが全巻そろっていたり,18-19世紀の技術関連の書籍が良好な状態で保管されています.

Marsh博士はすでに退職されたRichard Hills博士に電話してくれて,蒸気機関に関する本の所蔵を聞いてくれました.これらの本は,Pickstone博士によると,D.S.L Cardwell博士が集めたものだそうです.おそらく,それが代々引き継いで今に至ったものだと思われます.

私は,デザギュリエのExperimental Philosophyの蒸気機関に関する部分をデジカメに撮らせてもらいました.ずらっと読みましたが,蒸気機関オタクにはたまらない内容です^^;

Marsh博士によるとJames Prescott Jouleのノート・手紙・手稿も昨年までここに保管していたそうです.今は,マンチェスター大学のJohn Rylands University Libraryに寄贈されたとのことです.

ジュールのノートのカタログをもらってきたので読みたい人は,言ってください.John Rylands University Libraryは現在改修していて,通常のサービスを受けることができませんが,このカタログをもとに複写依頼をすることはできます.

UMIST main buildingの写真です.自分では写真を取り損ねてしまったので,Wikipediaからのリンクです.
http://en.wikipedia.org/wiki/Image:UMIST_main_building_Whitworth_Street.jpg



英語論文における受動態と能動態

2007-03-13 00:35:03 | Weblog
詫間です.

今日,横浜の本屋で科学・技術系の英語ライティングの本を何冊か立ち読みしたのですが,2000年以降に出版されたものはすべて,できるかぎり受動態よりも能動態を使うよう勧めていました.
その中の1冊によると,1900年頃までは能動態で書くことが多かっったのですが,その後,受動態の方が客観的であるという考えが広まったそうです.ノーベル賞受賞者のワトソンとクリックが彼らの論文において "we" を主語にした能動態を多用した際には,かなり批判を受けたようです.

能動態を使うことが主流になったは最近のことです.その目的は,文のあいまいさを少なくし,かつ,文章を簡潔にすることにあります.しかしながら,実験手順や実験結果については,受動態は多く使われています.まず,実験者を明示する必要はありません.実験結果は誰が行なったかに依存しないからです.また,実験者(人間)以外の実験要素については,もっとも強調したい実験要素を主語にもってきます.ある行為の受け手を強調して語りたい時は受動態を用い,行為の為し手を強調したい場合は能動態を用います.
(a) "Temperture affected the reaction process. ..."
(b) "The reaction process is affected by temperture. ..."
(a)とそれに続く文では温度について考察されますが,(b)とそれに続く文では反応プロセスについて考察されます.
これに対し,イントロダクションや結論では,受動態をできるだけ避けます.このスタイルは文科系の論文にも適用されます.文科系の論文では,実験を記述する部分がないことが多いので,能動態が多用されます.

1980年代までの科学英語ライティングの本,とくに日本人が書いたものは,受動態を重んじるものが多いので,なるべく2000年以降に出版されたネイティブが書いたもの(の日本語訳)を参考にするべきでしょう. 名詞表現と動詞表現,過去形と現在形,現在完了形などの選択についても,なるべく最近の本を参考にするべきでしょう.

2007年3月12日

本の紹介 (くりはら)

2007-03-10 09:58:40 | Weblog
科学史や技術史の分野ではありませんが,本講座卒業生の森本さんが,共著で本を出版されたので紹介します.

井上哲浩, 日本マーケティング・サイエンス学会(編)『Webマーケティングの科学-リサーチとネットワーク』千倉書房, 2007年

森本さんは,本書の第1章「インターネット調査の偏りを補正する方法について」を執筆されています. その他の森本さんの本については,2006年11月8日の本ブログを参照ください.