
織田信長の凄さ、天才性は誰しも認めるところだとは思いますし、私も最も興味
を抱く日本人の天才の一人です。いろいろな小説やTVドラマ、映画でも数多く
お会いしています(笑)。

それでも、本当にどんな人だったのか、どんな考えで「天下布武」を掲げたの
か、など分からないことだらけで、今回、評判になった加藤廣作「信長の棺」を
読んだ後、信長の研究本の筆頭といわれる秋山駿さんの「信長」を読み、毎日、
信長に相対峙してきました。


ナポレオンやカエサルとの比較、天才性を追求したスタンダールやプルターク
の研究などを通じて信長を探求する力作です。

「信長の棺」は小泉元首相が面白かったと激賞した本だと覚えている方も多い
と思います。信長を正面から描かずに信長の記録「信長公記」の作家・大田牛一
の眼から信長の死体の行方などを捜すミステリー仕立てで、なかなか楽しい本
でした。

その信長公記の記述も使いながら、秋山さんは年代を追って信長の人物像を
出来るだけ見つめていきます。岐阜を征服したあと、その地に移り岐阜という
名称も定めて、一族郎党が移り住み栄える町にしたのは信長です。

戦国時代の大名は、自己領地の拡充に努めるのが日常でしたが、信長は明らか
に異なります。楽市・楽座という規制緩和、通貨の統一、利休に創設させた都市
の茶文化、など戦争に明け暮れ、悲惨な殺戮を繰り返した印象が強い信長ですが
天下布武の旗のもと新しい社会形成こそ信長が目指した世界であることが理解
できます。徹底した自己実現への努力、現実を自ら把握し行動に移す実行力、
など秀吉や家康の凡人性では遠く及ばない天才です。外国への興味も強く、
宣教師から多くの知識を得ています。
542ページに信長が光秀に襲撃された際の言葉「是非に及ばず」の解説と
してナポレオンの言葉が紹介されています。

「天才とは己が世紀を照らすために燃え尽きるべく運命付けられた流星である」
また、98ページに気に入った表現がありました。
「友とは幸福の一致ばかりを求めるのではなく、本当は不幸と死を一致させる
相手のことである」~信長の「死のふは一定」の言葉に・・

天下の統一に向けて、信長は安土城を築き、そこに天皇すら招こうとしたよう
です。その信長の改革性の強さは、どんどん他の大名の理解度からも離れて
いったのではないかと・・そして光秀の謀反。

しかし謀反し、秀吉に敗れるまでの光秀の無策ぶり・・改めて信長の凄さを
思い知ったのではないか・・と


信長のもとで足軽上がりの秀吉は出世するし、家康や柴田勝家なども活かされて
います。人を活かすということも織田信長は実行しています。

もし信長がもう少し存命なら、日本はどんな展開をなしたのでしょうか。
NHK大河ドラマに「信長」King of Jipangがあったことを覚えていますか。
秋山さんが研究した信長像に近い作品のようなのでビデオで総集編を見始めて
います。



信長を描いた小説では、一昨年、池宮彰一郎さんの「本能寺」も読みました。
この本も何故、光秀が信長を殺すに至ったか新しい解釈を示して楽しめました。

秋山駿さんの「信長」を読むのはかなり力仕事です。それでも日本の歴史上の
最大の天才、信長をもっと知りたいという方にはお勧めですよ。

今回、「信長」を読みふと頭に浮かんだ言葉は、「意志のないところに道は
開けない、意志のない心には花は咲かない」ということでした。
いい勉強になりました。まだまだ勉強しなければね



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