Tiangangの毎日

浦和から国分寺に引っ越したフットボール好き。レッズの試合や食べたもの、旅行、読んだ本などをのんびり書いてます。

「小説日本興行銀行」

2009-08-16 07:44:26 | Weblog
8/16
 高杉良「小説日本興行銀行」第1部~5部(講談社文庫)を読んだ。

 実名・限りなく史実にもとづいた興銀の歴史を語ったもの。主人公は戦後の興銀の代表的人物である中山素平。

 興銀は戦前は国が出資した殖産興業のための国策銀行として発足し戦時中には戦争遂行のために中島飛行機や三菱重工等の軍事産業への融資、南方植民地の経済状況調査等で大きな役割を果たす。

 敗戦後GHQからは戦争遂行に加担した銀行として目をつけられ一時解散させられそうになったが本来の産業金融のために必要な銀行として認められ戦後は「日本興行銀行法」を廃止し民間銀行に再編し金融債を発行することによる長期信用銀行としての道を歩むことになる。

 戦後の興銀は、日本の産業振興のために重要な役割を果たし、資金供給のみならず優秀な人材をも供給した「ますらお派出銀行」ともいわれたらしい。

 戦後初の山一證券の救済のための日銀特融(戦後初)、富士製鉄・八幡製鉄の合併、日産自動車とプリンス自動車の合併等日本の経済史の大事件対応にいつも裏方として関わってきた。

 最近テレビで「官僚たちの夏」がドラマとして放映されているが金融側の視点でみたバージョンのようでおもしろい。

 しかし「官僚たちの夏」でも出てくるが企業の整理・統合による産業再編を官民が一緒になってやるというのは今の時点からすると統制経済の悪しきことだったのようにみられがちだがこの「小説日本興行銀行」を読むとその当時の日本の経済事情からしてやむを得ないし必要であったことがよくわかる。

 それにしても昭和の時代は、政財官が一緒になって己の私利私欲を捨てて日本をよくするためみんなが燃えに燃えて頑張っていたんだ。

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