Tiangangの毎日

浦和から国分寺に引っ越したフットボール好き。レッズの試合や食べたもの、旅行、読んだ本などをのんびり書いてます。

「通貨外交」

2005-06-06 08:32:13 | Weblog
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・アジア開発銀行総裁で、もと大蔵省財務官の黒田東彦氏の「通貨外交」(東洋経済新報社)を読んで見た。黒田氏が財務官として勤務した99年~03年までの間の各国での国際金融に関するシンポジウムの講演を集めたものである。97年に起きたアジア通貨危機の際のアジア通貨基金構想(AMF)、チェンマイ・イニシアティブと呼ばれるASEAN+3(日中韓)での二国間通貨スワップ・レポ取決めネットワークの構築などの話、それから02年から紙幣・硬貨が流通しはじめたユーロの出現について、02年のムーディーズ等の格付け機関により日本国債が格下げされた話、アジア共通通貨創設の可能性などが紹介されている。90年代後半から最近までの大きな国際金融の動きをおさらいするには良い本だと思う。
・私が興味あるのはアジア共通通貨創設の可能性、通貨としての日本の円をどうするかという話だ。ドル・ユーロという2つの世界で広範囲で使用される通貨がある現状でアジアはどうすれば良いのか。アジア共通通貨の創設か、現状維持か。ユーロの出現は、一種の大きな実験である。多国間で通貨を共通化する費用対効果を検証しなければならないが、例えばユーロ導入国では、導入国は、財政赤字をGDP3%以内に抑える等の一定のコントロールが課され国内景気対策といった財政権の自主裁量が制限されるという対価を支払った上で、中長期的な将来にわたる域内経済統合による更なる経済繁栄を目指している。今後どうなるかを見守っていかなければならないが、長い将来を見据えて大きなシステムを構築し世界経済を主導しようという意思が感じられる。さすが世界のシステムづくりを発案・実行してきた欧州だ。その発想は、今でもアジアより格段に先を行っている感が否めない。ひるがえってアジアを見ると、円がアジアの基軸通貨になることを期待する声もあるが大勢はドル・ペッグで日本の貿易もほとんどドル建てになっているので実現性がない。とは言えアジア域内でも経済の域内統合が進むなかでアメリカ・ドルへのペッグがこれからも続きアメリカの通貨政策に影響を受け続けるというのも変な話だ。アジア共通通貨の創設は理想かもしれないが、経済構造や経済水準があまりにも違いすぎるアジア各国の中での導入は当面は現実的ではない。非常に大雑把な議論だが、まずは日本・韓国の2国間で共通通貨創設の研究でもしてみたらどうだろうか。地理的に近接していて両国人の往来は頻繁であるし、経済・貿易構造だってアジアの中では非常に類似性がある両国だと思う。1人当たりGDPだと韓国は日本の3分の1のレベルであるが、1万ドルを超えていて一定の水準だ。日本が1億2千万、韓国が4千5百万、費用対効果を検証してみる価値があるのではないか。

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