ミステリーな森の生活

洋書ミステリー、英語学習、洋画レビューなどから始めましたが、今は、種々雑多(山岳小説、落語など)です。

蠅の王(ウイリアム・ゴールディング)

2023年06月19日 | 海外ミステリー(和書)

ノーベル文学賞作家、ウイリアム・ゴールディングの
代表作、「蠅の王」を読んだ。

子供の時、ロビンソン・クルーソーや十五少年漂流記を
歓喜して読んだ記憶がある。

自分の海への憧れは、このころ、形成されたのではないか
と思われる。

今回、読んだ作品には、まったく、違う少年たちの島での
生活が描かれる。

最後の解説で、初稿の時に、書かれていた共産主義圏と、
自由主義圏の間の核戦争勃発によりイギリスの学童が
飛行機で国外へ疎開するシーンは編集者の助言でカット
されている。

だが、さらっとした表現の中から想像できるようになっている。

まるで、現代の世界的な危機的状況でありそうなことなのだ。

しかし、飛行機から落下もしくは不時着した少年たちの
行動がメインに書かれており、そんなことは忘れてしまい
そうになる。

むしろ、主題でもある少年たち、人間に潜む凶暴性について
書かれているからだ。

何かの切っ掛けや、リーダーにより、野蛮人化してしまう
人間など、ロシアのウクライナ侵略を見ていれば明らかである。

それは、誰でも持つものであろうか?

多分、そうであろうが、希望も持ちたい。また、
コントロールも可能であり、コントロールすべく
最善を尽くすべきなのだろう。

人間としての尊厳を保つためにも。

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 切羽へ(井上荒野) | トップ | 大獄 ・西郷青嵐賦(葉室麟) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

海外ミステリー(和書)」カテゴリの最新記事