「慣性モーメント」とは簡単に言うと物体の回転しにくさを表す数値。
物体の質量と回転半径で表され、簡単のために物体を円柱として考えることにします。
円柱の質量をM、半径をrとすると、慣性モーメントJは
I=M*r*r ・・・・(1) となります。
一方、円柱の質量は均質な物質であれば、円柱の長さをL、密度をkとすれば
M=k*L*r*r ・・・・(2)
これを(1)式にあてはめると
I=k*L*r^4 ・・・・(3) (r^4 はrの4乗を示す)
ここで、大小2つの相似な円柱を考え、その比をaとします(L2:L1=r2:r1=a:1)
L1/r1、すなわちL2/r2をbとすれば、
L2=L1*a=a*b*r1 ・・・・(4)
この時のそれぞれの円柱の慣性モーメントは
I1=k*L1*r1^4 ・・・・(5)
I2=k*L2*r2^4 ・・・・(6)
r2=a*r1なので(5)、(6)式をr1で書くと
I1=k*b*r1*r1^4=k*b*r1^5 ・・・・(5’)
I2=k*a*b*r1*(a*r1)^4=k*a^5*b*r1^5 ・・・・(6’)
I2とI1の比を考えると、
I2/I1=k*a^5*b*r1^5/k*b*r1^5=a^5 ・・・・(7)
慣性モーメントは円柱が大きくなれば、その5乗で大きくなる。
例えば、円柱の大きさ、太さが倍になれば、2^5=32倍。
一方の体積は2^3=8倍で、倍になると4倍回りにくくなる計算。
ここで、長さ165cmと151cmの円柱を考えると、
その慣性モーメントの比は、
(165/151)^5≒1.0927^5≒1.558
1.5倍以上回りにくくなる。
逆に言うと同じ回転力、回転スピードを与えるためには1.5倍以上の力が要る。
ちなみに、165cmと158cmの比を取ると、
(165/158)^5≒1.0443^5≒1.242
約1/4のパワー増強が必要。
大きくなると回れなくなるのも道理。
さらに言うと大きくなると太くなるのが自然なのでL2/L1よりもr2/r1の方が
大きくなるのは不思議でも何でもない(L2>L1の場合)
とすれば、さらに慣性モーメントの比は大きくなる。
もうお分かりだろうか。
円柱にするという乱暴な簡素化をしているが、特定のフィギュアスケートの選手をイメージした試算。
もちろん現実のフィギュアスケートの回転が単に慣性モーメントだけで決まるわけではないが、
体格が大きくなるとジャンプが難しくなるといわれるフィギュアスケート。
少なからず影響があると思われる。
ちなみに最近の男子有名フィギュアスケート選手の身長は
プルシェンコ:178cm
羽生結弦:172cm
パトリック・チャン:171cm
ネイサン・チェン:166cm
高橋大輔:165cm
宇野昌磨:158cm
といったところ。
物体の質量と回転半径で表され、簡単のために物体を円柱として考えることにします。
円柱の質量をM、半径をrとすると、慣性モーメントJは
I=M*r*r ・・・・(1) となります。
一方、円柱の質量は均質な物質であれば、円柱の長さをL、密度をkとすれば
M=k*L*r*r ・・・・(2)
これを(1)式にあてはめると
I=k*L*r^4 ・・・・(3) (r^4 はrの4乗を示す)
ここで、大小2つの相似な円柱を考え、その比をaとします(L2:L1=r2:r1=a:1)
L1/r1、すなわちL2/r2をbとすれば、
L2=L1*a=a*b*r1 ・・・・(4)
この時のそれぞれの円柱の慣性モーメントは
I1=k*L1*r1^4 ・・・・(5)
I2=k*L2*r2^4 ・・・・(6)
r2=a*r1なので(5)、(6)式をr1で書くと
I1=k*b*r1*r1^4=k*b*r1^5 ・・・・(5’)
I2=k*a*b*r1*(a*r1)^4=k*a^5*b*r1^5 ・・・・(6’)
I2とI1の比を考えると、
I2/I1=k*a^5*b*r1^5/k*b*r1^5=a^5 ・・・・(7)
慣性モーメントは円柱が大きくなれば、その5乗で大きくなる。
例えば、円柱の大きさ、太さが倍になれば、2^5=32倍。
一方の体積は2^3=8倍で、倍になると4倍回りにくくなる計算。
ここで、長さ165cmと151cmの円柱を考えると、
その慣性モーメントの比は、
(165/151)^5≒1.0927^5≒1.558
1.5倍以上回りにくくなる。
逆に言うと同じ回転力、回転スピードを与えるためには1.5倍以上の力が要る。
ちなみに、165cmと158cmの比を取ると、
(165/158)^5≒1.0443^5≒1.242
約1/4のパワー増強が必要。
大きくなると回れなくなるのも道理。
さらに言うと大きくなると太くなるのが自然なのでL2/L1よりもr2/r1の方が
大きくなるのは不思議でも何でもない(L2>L1の場合)
とすれば、さらに慣性モーメントの比は大きくなる。
もうお分かりだろうか。
円柱にするという乱暴な簡素化をしているが、特定のフィギュアスケートの選手をイメージした試算。
もちろん現実のフィギュアスケートの回転が単に慣性モーメントだけで決まるわけではないが、
体格が大きくなるとジャンプが難しくなるといわれるフィギュアスケート。
少なからず影響があると思われる。
ちなみに最近の男子有名フィギュアスケート選手の身長は
プルシェンコ:178cm
羽生結弦:172cm
パトリック・チャン:171cm
ネイサン・チェン:166cm
高橋大輔:165cm
宇野昌磨:158cm
といったところ。
フィギュアスケート好きなので、感動しつつ拝見しました。
最近、羽生選手&味の素のインタビュー(食事のバックアップをしています)で、体調をコントロールする難しさ、理想の体型を作り、それを維持する工夫を読みました。
逆に、近年のロシア女子選手(体が小さくて軽く、若い)が、四回転ジャンプをラクラクとこなすのを見ると、物理的にはなるほどと思いますが、ただただ今後の体への影響を心配してしまいます。
かつてザギトワがすべてのジャンプを後半(1.1倍)にして物議をかもしましたが、ルールに合わせて戦略が変化するのはフィギュアに限らないものの、昨今のロシア選手はやや心配ですね。