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映画館で映画はどのぐらい見ますか

2019-07-13 04:21:40 | 映画関連
自ブログの過去記事を整理していて、たまたま2006年の映画関連の記事が目に留まった。

もともとは、日本人はいったい年間何本ぐらい映画を見ているんだろうという単純な疑問。
業界関係者にとっては切実な数字かもしれないが、一般的な日本人にとっては
結構どうでも良い数字かもしれない。

ただ、それが分かればある程度供給側の事情も推測できるかもしれないと感じる。
それが総務省や映連の統計資料から読み解けるだろうか。

以下、数字は総務省統計局「人口推計」「社会生活基本調査」から引用。
「社会生活基本調査」は総務省統計局のeーStat政府統計の総合窓口で検索した。

また、「社会生活基本調査」などで区分が10歳以上となっている場合、母数は人口総数ではなく、
「人口推計」の年齢別人口で10歳以上を合計。



まず、映連の資料では毎年、前年の入場人数が発表されている。
(そのほかの数字も公開されているが、今回の趣旨とは別なので触れない)

総務省の「社会生活基本調査」の最新版は、2017年7月発表の2016年(平成28年)
なので、この年の映連の数字を見ると入場人数は1975年以降の最高で
1億8018万9千人だった。
(実は2017、2018と前年比-3%強減っているが・・・)

この年の日本の人口は1億2776万8千人。(外国人登録者含む)

割り戻すと、1.41回/年・人。
日本に住む人おしなべて年に1~2回は映画館に足を運ぶ計算。

もちろん平均値はそのまま信じると非常に危うい。
老後2千万円もそうだが、単純平均ほど怖いものはない。

映画館に出向く回数の分布が正規分布に近いとは到底思えない。
1回も行かない人が相当数想像できるし、逆に100回行く人もある程度いるわけで
平均が意味を持つかどうかすら怪しい。

例えば、100人のうち、50人は年間1回も映画を見ないとする。
残りの25人は年1回、20人は年2回とする。
そして残り5人が、それぞれ、10回、20回、30回、50回、100回とすると、
100人の平均は2.75回になる。
50人は一回も見ないのに、95人は2回以下なのに、平均は2.75回。

映画などの趣味嗜好の場合はこういった極端なロングテール分布が存在する。

そこで、「社会生活基本調査」の「趣味娯楽の種類別行動者率、平均行動日数」によれば、
「映画館での映画鑑賞」をした人の率は、なんと39.6%

前述の見つけた記事は2004年のデータを参照していてそれによれば、
映画を見た人の率はほぼ36%だったとのことなので、1割程度増えてはいるが、
それでもほぼ40%。つまり、60%の人は一度も映画館に行かなかった。

これを年代別にみると、10歳から14歳の71.5%を筆頭に年齢層が上がるにつれ
減じていき、29歳までは過半数だが、30代、40代、50代前半までは40%超、
50代後半から60代前半が30%台。70代前半は2割を切り、75歳以上は1割に満たない。

各年代ごとの人数でいえば75歳以上が最も多いので全体の比率を引き下げる効果がある。
一方、男女別の比率は各年代とも女性の方が数字が高いが、女は一様に率が下がるのではなく、
40代前半にピークがある。

率はそうだが、各年代ごとの人口には大きなばらつきがあるので、各年代ごとの推定人数と
映画鑑賞率を掛けた映画鑑賞人数を見ると、男性は10代後半をピークに10代前半から
20代後半が大きい山。その後40代前半にもう一山。
男性がターゲットなら若者向けメインの中年/中堅向けを抑え。
若者が好きそうでその親世代も見るような映画は動員が稼げそうだ。

女性は、20代前半をピークに10代前半から20代後半が山。
その後いったん落ちるものの30代後半から盛り返し、最大の山は40代前半。
40代後半も20代前半とほぼ拮抗。
女性がターゲットなら10代後半から20代と30代後半から40代向けがねらい目となる。

一方、率では女性にリードを許したものの平均行動日数では男性が女性を1割弱超える。
男女合わせた平均行動日数は6.0日となっている。

映画を見る人は全体の4割なのに、見た日数は平均6日。

日本全体の鑑賞人数を総人口で割ると約1.5日で、4割しか見ていないとすると、
映画を見た人の平均は3.75日と4日に満たない。

以前の統計には見た映画の数ごとの統計値があったのだが、あまりにも統計表の数が多く
逆にどこにあるのかわからず見つけられなかった。

また、在校生や卒業生、有職者か否かなどの映画を見た平均日数の統計はあるが、
各年代ごとの数字に変換するのは難しい。
大まかに言えるのは学校に行っている年代の方が日数は多いと言うことぐらい。

ただ、映画を見に行った際の実感としては、休日や休暇(春休み、夏休み、GW、年末年始)は
家族連れでにぎわうのはもちろんだが、平日土日含め、全般に女性比率が高い。
映画により客層の年代がかなり違うなど、偏りが大きい。

結局のところ、6割の人は年に一度も映画館に行かないことが分かるだけで、
普通の日本人が映画館に足を運ぶのは年何回? という疑問は解決しない。

上にあげた数字同士もつじつまが合うとは思えないが計算は間違っていないはずだ。

すべての数字が正しいとして、これをどう読み解くか。

***

こちらの意図に沿った統計なんかないので、毎回数字を調べるのには一苦労。
総務省の統計数値の詳細を見ると「2人以上世帯」とか「10歳以上」が多い。
単身世帯のものもあるが、集計の仕方が違うし、世帯人数も年齢構成も違う単身と家族を
一律に合計、あるいは平均していいのかと言う疑問も残る。

合計数字は年齢世帯関係なく日本全体になっているから、単純に割り戻せない。

例えば昨年度の映画入場人数は、映連の資料によれば1億6291万人。
この中には只券やポイントで無料などの人数が入っているのかいないのか、
対象は10歳以上ではないのはわかるが、乳幼児などで無料の人数は入っているのか。

赤ん坊は映画を見ないでしょ、とお思いのあなた。
少なくとも3歳以上には入場料金が設定されているし、「抱っこシネマ」「ふれあいシネマ」など、
乳幼児と親が一緒に見れるサービスをやっているところもある。

また、日本の人口に一時的な入国者、すなわち外国人旅行者は含まれない。
外国人旅行者がわざわざ来日中に映画見るか、とお思いのあなた。

アイドルやアニメなどの映画をわざわざ見る人もいるかもしれないし、
たまたま見たい映画が日米同時公開などで来日時にぜひ見たいこともあり得る。
訪日か在日か分からないが、SWや007などは外国人客が多い。

率が低くても年間何千万人もの来日外国人がいるわけだから、ある程度の数になると予想される。
訪日外国人の行動についての統計表もあるが、細かすぎてよく分からない。

逆に日本人であっても海外に住んでいる人も少なからずいるわけで、海外永住者だけでなく
仕事や旅行などで長く日本を離れている人がどの程度いるのか分からない。
また、それが数字に影響を与えるほどなのか、考えれば考えるほどキリがない。




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