みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

咲き初めし =福博紀行その1=

2017年04月02日 | 俳句日記

[北 帰 行] 

4月1日  午前7時38分 午前6時鹿児島中央駅始発の新大阪ゆき新幹線「さくら580」

に乗り込む。福博の街はどんよりと曇り暗い。 早朝の博多駅はすでに賑いを見せていた。

滞在予定を3日も過ぎている。これから北へ、福島県郡山市へ、約8時間の帰り旅である。

 

 私は、この街で大人になった。法律も、恋も、結婚も、子育ても、会社経営も、そして社会

の仕組みも福岡で学んだ。なによりも、この街で日本の歴史に共感し、自身の人生の方向

性を見つけた、というよりもそれを教えてくれた人に出会ったのがこの街であった。福岡の

街は、博多は、私の人生の舞台であった。

 

 今、その街に別れを告げる発車のベルを待っている。創業以来の本社は昨日閉鎖した。

年老いた母を残し、家族を残し、友と別れ、また東北へ戻ろうとしている。

 「3.11」は、私を東北に呼び寄せた。五年を福島県で過ごした。あの時は日本の危機だと

思った。ほとんど衝動的だった。福島にはそんな人達が大勢いることをのちに知った。

 

 いまだに通う人もいる。それぞれの思いがそうさせている。その全てが「縁」であることを

この齢になれば知っている。私も間違いなく「縁」によって動かされているのである。

 福岡に来る時もいろいろなご縁に遭遇した。十日間の滞在期間にも新たなご縁を頂いた。

「人間至るところ青山あり」そんなことを考えながら、しばらくこの稿を書き進めてみる。

福博の街には桜が咲き始めていた。

                               < 咲き初めし 桜を残し 戻りけり >

                                              放浪子

四月二日(日) 晴れ 

       九州とは格段に違い寒い

       アイに無沙汰を詫びに川へ

       室内整理と洗濯に追われる

       明日からはみちのくの日常


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