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平安座石油備蓄基地(CTS)操業開始から30有余年、頻発する原油流出事故。

2012-11-26 13:53:09 | 環境

12月20日 琉球新報
宮城島のPCB施設計画問題 活性化へ区長推進 住民説明なく、企業が県申請

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施設の立地、事業実施までの事業者の主な手続き

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PCB濃度による処理区分と処理事業所数
 
うるま市与那城の宮城島でポリ塩化ビフェニール(PCB)の中間処理施設の立地計画が浮上している問題で、島内三区と事業を計画するMIT(宮城島イノベーションテクノロジー)社が、11月の住民説明会で「(土地の)開発行為の同意を得たい」と説明していたにもかかわらず、7月には県に開発行為を申請していたことが明らかになった。説明会から1カ月が過ぎた今も新たな説明会はなく、地元住民からは「区長だけで話を進めているのではないか」と疑念の声も上がっている。
 
計画では低濃度(微量)PCB廃棄物の処理施設となっており、県外企業から技術提供を受け、光触媒洗浄液でPCBを無害化し、分離する新技術を用いる予定だ。しかし技術は環境省が審査中で、認可されるまで実用化はできない。島への立地計画が持ち上がったのは昨年末ごろ。用地は池味区に隣接する宮城区内の干潟埋め立て地で、土地の所有権は上原区と同区の個人にある。申請には地権者の同意のみで住民の同意は必要ない。計画が進められてきた背景には島の住民の高齢化や過疎化に対する区長らの強い懸念と企業誘致による活性化への期待がある。説明会開催前の段階で上原区の北野勲区長は、「企業が来ないと不法投棄の島になる。公害がなければ考える余地がある。活性化につながる」と話していた。
 
説明会は、前日に同社から中止の申し出があったが、「住民の意見を一度集約したい」との区長らの意向で予定通り行われた。終了後、池味区の登川俊充区長は「立地ありきではない。住民の合意形成が大前提。次回はきょう出た質問や意見をくみ取ってしっかりやりたい」と語っている。宮城島近海は全国一の生産量を誇るモズクの漁場だ。近年、市は隣島の伊計や海中道路など島しょ地域全体を考えた観光振興にも力を入れており、市議会12月定例会の一般質問では立地への懸念の声が相次いだ。島袋俊夫市長は「市の環境ビジョン、地場産業の振興の観点から大変有望な地区だ。企業の立地は、あらゆる事案を想定しながら情報を収集し、対応したい」と計画には慎重な姿勢だ。住民や市当局が計画の妥当性を判断するためにも、県に開発行為を申請した経緯を含め、同社と区長らは早急に説明責任を果たす必要がある。

石油備蓄基地(CTS)開発による頻発する原油流出事故と、タンカー汚染水は金武湾を広範囲に汚染してきた。

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「金武湾を守る会」のCTS建設反対闘争 1975年
比嘉豊光・山城博明 「時の目-沖縄」 より

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「備蓄」のために(と言っても殆ど本土の為に)林立する石油タンク群
ここにも軍事基地と同様「犠牲の構造」が!

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向かって左がCTSがある平安座島
周辺は人気の観光地

2月27日 沖縄タイムス
原油タンク15基修理へ 平安座
       
沖縄ターミナル(うるま市与那城平安座)の原油流出事故で、同社は26日、事故が起きた原油タンク以外の15基のタンクを修理すると発表した。タンクのふたに当たる「浮き屋根」に浮力を与える空洞部(ポンツーン)の内側に、油漏れや微量のにじみが見つかった。5~8基はタンクの油を移送した上で、溶接などの本格修理を施す。作業開始は早ければ3月初旬を予定している。三溝芳春社長は「事故タンクのように浮き屋根が沈み込む危険性は現時点ではないが、安全を最優先して本格修理することにした。作業に伴って住民地域に悪臭などが及ぶ恐れはない」としている。

昨年相次いだ台風後の点検で油漏れなどが見つかり、同社は消防に報告。状態が悪化しないか定期的に監視し、今年1月から順次修理を進めていた。うるま市消防本部は18日付で複数箇所で不具合が見つかった2基に修理命令を出した。同社によると、空洞部は38区画に分かれており、一部の区画で油漏れがあっても、直ちに浮力を失うことはないという。流出事故については3月初旬に事故タンクの油移送や清掃作業が完了する見通し。学識者らでつくる事故調査委員会も同月中に発足する予定だ。

一ヶ月以上もたってから住民検診や農産物の検査とは!

12月11日 沖縄タイムス
原油流出:住民の健診診断開始

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健康への影響がないか血液を採取して健康診断を受ける地域のお年寄り=10日、うるま市与那城・平安座自治会館

うるま市与那城平安座で原油流出事故を起こした沖縄ターミナルは10日、平安座公民館で住民の健康診断を開いた。影響が懸念される地域での健診は初めてで、受け付け開始前から健康への影響を懸念する住民が訪れ、この日だけで224人が受診した。11日は浜比嘉島の比嘉区、12日は同浜区の各公民館で実施する。

健診は小学生以上が対象。平安座区では基準値を超える特定化学物質ベンゼンなどが検出されており、頭痛やめまいなど、自覚症状の問診をしたほか、尿と血液を採取した。結果は1~2週間で出る見通し。社側は異常が確認された住民には再検査を実施するとしたが、治療費の負担は継続的な診断の上、事故との因果関係の検証が必要との考えを示した。

健診に訪れた宮城照子さん(85)は、臭いが強い日は家の中でもマスクをするといい「頭が痛くなることもあって不安。受診できてよかったが、結果が出るまでは安心できない」と心配そう。9歳の孫と訪れた安慶名正美さん(63)は「年配者よりも、子どもたちへの影響が心配」と憤った。健診は宮城島の桃原区で20日に開き、22日には再度、平安座区で実施する。乳幼児については対応を検討している。

12月5日 沖縄タイムス
油流出で住民健診実施 10~12日小学生以上
       
沖縄ターミナル(うるま市与那城平安座)の原油流出事故で、同社は10日から12日まで3日間、有害物質による健康被害がないかを調べる住民の健康診断を実施する。今回の健康診断は小学生以上が対象。基準値を上回るベンゼンが住宅地で検出されたことから、中部地区医師会と連携して、住民の問診や採血をする。10日は平安座地区、11日は比嘉地区、12日は浜地区の各公民館で実施。就学前の乳幼児については、今後対応を検討する。

一方、同社は4日、農産物への影響がないか調べるため、平安座島の4カ所で採取したダイコンなど野菜6種類の検査を始めた。結果が出るまで数日かかる。同社の三溝芳春社長らは同日、宮城島の上原公民館で説明会を開き、あらためて事故について陳謝。集まった住民からは「何年もたって後から健康に影響が出ることはないか」「子どもたちが外で遊べない」など懸念や苦情が相次いだ。

近隣の住民に被害を与えたにもかかわらず、「福島の東電と同様」会社側の対応は不誠実。 

12月3日 沖縄タイムス
臭気指数、基準値超え うるま市原油流出
       
うるま市与那城平安座の沖縄ターミナル原油流出事故で、11月30日の臭気指数の測定の結果、同ターミナル敷地内(事故タンク付近)や平安座地区の住宅、平安座自治会館の3カ所で、悪臭防止法の許容限度を超える値が検出された。同29日の環境測定では、有害物質ベンゼンが同社敷地内で環境基準値の4・3倍の超過があった。

同社は2日、760キロリットルの原油を事故タンクから別のタンクに移した。タンクには7450キロリットル残っている。3日午後6時から、桃原区公民館で住民説明会を開く。

11月30日 琉球新報
原油流出、うるま市に通報なし 会社側「危険事案と判断せず」 

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県石油コンビナート等防災計画 異常現象の通報経路図
 
うるま市与那城平安座の石油備蓄基地で発生した原油流出事故について、沖縄ターミナル(三溝芳春社長)は事故が発生した7日に、うるま市との公害防止協定で定められている市への通報をしていなかったことが29日、分かった。島袋俊夫うるま市長は「緊急通報体制がうまくいかなかった」と市への連絡が必要だったとの考えを示したのに対し、同社は「通報する危険事案に当たらないと判断した」と説明し、認識の違いを見せた。
 
ターミナル社によると、7日午後2時58分に職員が事故タンク排水溝から防油堤内への原油流出を確認。同3時9分にうるま市消防本部へ通報。同29分に平安座自治会に連絡しているが、市側へは直接連絡はしなかった。市消防本部から同43分、市総務課防災係に連絡、公害防止協定を所管する市環境課へは、防災係から午後6時すぎに連絡があった。
 
同社は、1976年12月に与那城村(当時)と公害防止協定を締結。2005年にうるま市となった後も、市と同社は協定は有効と認識している。また、県石油コンビナート等防災計画では「危険時における緊急通報」は当該自治体に一報が必要だが、「異常現象すべてについて通報」は管轄消防本部のみとされている。
 
島袋市長は29日、事故後初めて市役所を訪れた三溝社長に対し「住民の安全を預かる行政への連絡はすぐに行ってほしい。今後、連携を密にし危機管理体制を強化したい」と話した。同社は「原油の施設外への流出がなかったため、市への緊急通報が必要な事案と判断しなかった。発生時は、事故タンクの浮き屋根が原油中に沈み、原油が露出した状態だと把握していなかった」と話した。県の知事公室防災危機管理課は「異臭や火災の危険性が長期間に及んでいる結果からみると、市へ通報すべきだったと思う。同社の当時の判断が妥当だったか、今後、聞き取りなどで検証したい」と述べた。

11月30日 沖縄タイムス
原油流出、市に一報せず 石油会社「対応は適切」
       
うるま市与那城平安座の石油会社、沖縄ターミナル(三溝芳春社長)が原油流出事故発生時に市へ一報を入れていなかったことが29日、分かった。同社は県の防災計画に基づき市消防本部へ通報したが、市側は「初動態勢をしっかりするためにも、連携は密にしたい」と、迅速な情報提供を求めた。

一方、三溝社長は同日、島袋俊夫うるま市長への謝罪の席と、浜比嘉島浜区で開いた住民説明会の場で、ターミナル周辺の平安座・浜・比嘉区の住民に対する健康診断を12月10日以降に実施する見通しを示した。

関係機関への通報態勢を定めている県石油コンビナート等防災計画では、全ての異常現象について管轄消防本部への通報を求め、「危険時」には市町村への緊急通報を定めているが、明確な判断基準は示されていない。三溝社長は「現在の状況は発火の可能性があり危険」と説明するが、「当時は油が漏れていることしか分からず、流出も収まっていた」と、適切な対応だったことを強調した。

事故発生の40分後に市消防から連絡を受けたうるま市の防災担当課は、逆に同社に問い合わせて情報を収集していた。島袋市長は、異臭で住民が混乱したことから「ホットラインもあるし、行政への連絡はすぐにやってほしい。危機管理は連携を密にして、一体感を持ってやるべきだ」との考えを示した。

26日の測定でベンゼン24倍、タンク付近
うるま市与那城平安座の沖縄ターミナル原油流出事故による26日の環境測定で、大気汚染防止法に基づく環境基準値の24倍のベンゼンがタンク付近で検出された。平安座自治会館でも基準値を超過した。27日の臭気指数は、敷地内が1・44倍で、平安座地区内の住宅や同自治会館でも許容限度を上回った。同社は28日から浜比嘉島の浜と比嘉の両区でも新たに環境測定を始めた。29日は、原油の移送作業はなかった。

11月29日 琉球新報
原油流出を県に謝罪 沖縄ターミナル「処理1月中旬まで」
   
うるま市与那城平安座の石油備蓄基地で7日に原油流出事故を起こした沖縄ターミナルの三溝芳春社長が28日、県庁で与世田兼稔副知事に事故を報告し、謝罪した。同社が県庁を訪ねるのは事故後初めて。
 
三溝社長は原油の回収が12月上旬、残渣(ざんさ)を取り除く作業を含めると処理は1月中旬までかかるとの見通しを示した。発火の危険性は現時点でも残っているとし、炭酸ガス注入などの対策を検討していると述べた。
 
面談で三溝社長は「県民、県、市に迷惑を掛け心よりおわびしたい」と述べ「原油の回収に最善を尽くす。4島住民の特定化学物質検診も実施する」と説明した。また消防法で7年に1度と定められる点検には2007年に合格したとし「14年度に浮き屋根の点検と耐震工事を予定していた」と述べた。与世田副知事は「万が一にも火災を起こさぬようにしてほしい」と述べ、徹底した対策と原因究明、住民の健康対策などを求めた。

11月29日 沖縄タイムス
原油流出会社 県に謝罪
       
うるま市与那城平安座の沖縄ターミナル社で起きた原油流出事故を受け、同社の三溝芳春社長が28日、県庁を訪れて与世田兼稔副知事らに謝罪した。副知事ら県幹部は「事故のあった石油タンクは建設されて長期間たつ。防止策を徹底して」「住民の健康対策に万全を」と求めた。

三溝社長は冒頭で「県民に大変な迷惑をお掛けした。心よりおわびしたい」と頭を下げ、事故の内容や対応を説明した。与世田副知事は「事故で沈んだ浮き屋根についても、検査時にチェックが必要だったと思うが」と指摘。「残った石油に引火しないよう、二次被害を防いでほしい」と求めた。同席した又吉進知事公室長も「住民の安全対策に万全を期して」と要望した。

面談後、三溝社長は記者団に「タンクから揮発したベンゼンは有害物質で、体内に蓄積すると聞いている。住民の安全を確保するため、中部医師会の協力を得て健康データを計測したい」と話した。県やうるま市消防本部によると、8年に1度の消防法上の保安検査が2007年にあり、事故が起きたタンクは民間法人による超音波検査などでは側面、底部ともに違反はなくサビなどが指摘された屋根部分も検査までに是正されていた。同消防は事故が終息し次第、総務省消防庁などと連携し原因究明を進め、ほかの17基のタンクの調査にも着手する方針。

11月27日 沖縄タイムス
原油流出:石油会社、4島住民に健康調査
       
7日に原油流出事故を起こしたうるま市与那城平安座の石油会社、沖縄ターミナルは26日、中部地区医師会に対し、市島しょ地域(伊計、宮城、浜比嘉、平安座の4島)住民への特定化学物質健康診断の実施を依頼した。同会の産業医を現地に派遣し、希望者に問診や採血検査を行う考え。同日夜、浜比嘉島の比嘉区公民館であった住民説明会で明らかにした。早ければ27日にも近隣住民に通知する。

4島の住民は約2900人。同社が26日、中部地区医師会に打診した。時期や場所は未定で今後同会と具体的に調整する。三溝芳春社長は説明会で「影響はないと考えているが、不安を一刻も早く解消したい。健康状態を把握させていただきたい」と理解を求めた。新門剛区長は「病院に行けないお年寄りもいる。家庭訪問方式にしてほしい」と要望した。

一方、同社は平安座島などで測定されている発がん性物質ベンゼンの環境基準超過について、労働基準局の許容濃度は下回っているため、問題はないと主張した。風向きで臭気がきつくなる浜比嘉島でも測定してほしいという住民の要望に、三溝社長は「市や県と相談して検討したい」と前向きな姿勢を示した。参加した住民からは「頭痛がして吐いてきつい」「いつまで続くのか」と不安を訴える声が相次いだ。同社は浜区や宮城島内の4区でも説明会を開く予定。

平安座自治会館 2倍のベンゼン
沖縄ターミナル社が26日にまとめた環境測定結果によると、平安座自治会館と同社敷地内の2カ所で、23日に検出されたベンゼンの量が環境基準値を超えた。自治会館では基準のほぼ2倍、敷地内では23倍だった。臭気指数は、24日の計測で、敷地内の数値が前日23日より1・7倍に増えて基準値を超し、自治会館や敷地近くの民家、うるま市勝連庁舎でも、基準値は下回ったものの前日より値が増えた。

11月23日 沖縄タイムス
社説:[原油流出事故]住民と真摯に向きあえ
       
住民らの不安の声に鈍感な実に遅きに失した対応だと言わざるを得ない。うるま市与那城平安座の石油会社沖縄ターミナルで発生した原油流出事故をめぐり、同社がおととい夜、地元自治会館で住民説明会を開き、三溝芳春社長ら役員が深々と頭を下げて住民に謝罪した。同社役員が直接住民に会って説明するのは初めてのことである。ただ、事故発生から既に2週間が経過しており、同社の誠実さに欠ける姿勢をかえって鮮明にした。

説明会では、出席した住民から健康不安を訴える声、原因究明と再発防止策、悪臭を早期に止めることなどを求める意見が相次いだ。まず、こうした声に会社側は真摯(しんし)に耳を傾けるべきだろう。今回の流出事故の発覚は7日午後、同社社員が異臭に気づいたのがきっかけで、18基ある原油タンクのうち1基の排水口から原油が流れ出ていた。タンク内を覆う浮き屋根が何らかの理由で傾き沈んだため、雨水を出す排水口から漏れたものとみられている。なぜ、浮き屋根が傾いたのか。同社が着手する社外の専門家も入れた原因究明作業を急ぐべきだ。

事故後、浮き屋根がなくなり、むき出しの状態で異臭の原因である原油約5万1100キロリットルを別のタンクに移し替える作業が行われたが、21日現在、タンク内にはまだ1万2000キロリットルが残っている。移送作業は12月上旬までずれ込む見込みで、地域住民らは不安な師走を迎えることになる。

事故発生直後から、住民らの不安を増幅させた最大の原因は、原油流出の被害が数値で示されたにもかかわらず、事態の深刻さを直視しようとしない会社側の姿勢にある。同社が事故発生から約1週間後に実施した環境測定で、貯蔵タンク付近から大気汚染防止法に基づく環境基準の133倍のベンゼンが検出された。また、タンクに最も近い平安座区内住宅でも基準の2・7倍の数値が計測されている。

ベンゼンを吸引すると頭痛やめまいなどの症状が出るとされる。だが、会社側は「(測定数値は)瞬間的な値であり、ただちに健康被害を及ぼすものではない。風向きによって大きく数値が変化する」との回答に終始、住民の気持ちを逆なでしてきた。平安座自治会の松田富雄会長が説明会で訴えた「体調不良を訴えた住民のケアをしっかりやってもらいたい」との切実な声に真剣に向き合ってもらいたい。

説明会で、三溝社長は後手後手に回った対応について「(会社設立からの)40年間の甘えが出た」とわびた。本土復帰の1972年11月の設立以来、雇用や税収面で地域に貢献してきたという自負が知らぬ間に慢心を招いたということなのだろうか。  このまま対応を誤ると、住民の不安と不満は失望に変わる。事故後の対応のまずさを率直に反省し、住民が求めた事故原因の徹底究明、再発防止策の構築、迅速な情報公開に取り組むべきだ。それが信頼回復への近道である。

11月23日 琉球新報
社説:原油流出事故 情報開示と補償に万全を

事故発生から2週間。この間会社側が異臭に苦しむ住民の声をどのように受け止めていたのか。対応の遅さは批判を免れまい。うるま市与那城平安座で発生した原油流出事故について、沖縄ターミナル(三溝芳春社長)は21日、ようやく平安座区民を対象にした説明会を開いた。
 
事故発生直後から周辺には強烈な異臭が漂い、住民の中には医療機関を受診した者もいる。区民からは同社への不満や怒りが噴出したという。当然だ。事態の重大さからすれば、住民説明会は事故直後に最優先で行われるべきだった。危機管理の意識が欠如していたと言わざるを得ない。
 
事故は7日に発生した。同社によると、同日午後2時50分に職員が油漏れを感知。同社の18基あるタンクのうち、1基の浮屋根が傾き、原油が排水路を通ってタンク外へ流出した。消防に通報したのは感知から約20分後だった。ただ、職員が感知する1時間ほど前から平安座自治会には異臭がするとの問い合わせが相次いでいたという。果たして油漏れの発生を迅速に覚知できていたのだろうか。タンクの監視体制が十分だったか疑問が残る。
 
詳しい事故原因がまだ究明されていないのも気に掛かる。それまで安定していた浮屋根がなぜ傾いたのか。施設内には他に17基のタンクがある。原因が究明されない限り、同様の事故が起きる可能性は捨てきれない。1日も早く原因をはっきりさせ、全タンクの安全性を確立してほしい。怖いのはガスが引火して火災が発生することだ。石油備蓄基地での火災となれば、人命にもかかわる大災害となりかねない。タンクへの二酸化炭素の注入など、火災防止対策に万全を期すとともに、作業の進行状況を逐一住民に説明していくことが最も重要だ。
 
三溝社長は、説明会の開催が遅れたことに「(同社設立から)40年間の甘えが出た。深く反省し、おわびする」と陳謝した。そうであるならば、異臭による健康被害で医療機関を受診した人への補償など、住民に対して誠意を見せることだ。事故後の広報の在り方にも、説明責任を果たしていないとの批判がある。安全管理がどうなっていたかなど疑問点は多い。徹底した情報開示なくして、住民の信頼回復はないと肝に銘じてほしい。

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11月22日の琉球新報

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11月22日の沖縄タイムス

11月22日 沖縄タイムス
原油流出 沖縄ターミナルが謝罪

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原油流出事故で住民らに謝罪する沖縄ターミナルの三溝芳春社長(右)ら=21日午後7時すぎ、うるま市与那城・平安座自治会館

うるま市与那城平安座の石油会社沖縄ターミナルは21日夜、7日の原油流出事故に関する住民説明会を平安座自治会館で開き、三溝芳春社長が「多大なご迷惑とご心配をおかけした。おわび申し上げます」と謝罪した。事故発生から2週間、会社役員が直接住民に会って説明し、謝罪するのは初めて。住民から健康への悪影響や説明の遅れを批判する声が相次ぎ一時紛糾、説明会は2時間半余に及んだ。説明が遅れたことに三溝社長は「地域住民への甘えが出た」と再度謝罪した。

自治会の住民ら約170人が参加。健康への影響を心配して病院の診察を受けたという人や、将来的な発症が不安だという訴えが相次ぎ、社側に補償を求める意見も上がった。ほか、原油の抜き取り作業を急ぎ、異臭を早期に止めることも求めた。同社は、平安座区内の住宅で基準値を超える有害物質のベンゼンが出たことについて「瞬間的な数値で、ただちに健康被害を及ぼすものではない」と従来の説明を繰り返した。体調不良を感じた場合は病院で診察を受けるよう勧め、診察料は同社が負担するとした。将来的な健康被害への補償には回答がなかった。

原油の抜き取り作業は12月初旬、残さの回収などすべての作業が終わるのは来年1月との見込みを示し、社側は発火などの二次災害に備え、慎重に作業を進める考えを示した。説明会は社側と自治会側が19日ごろから調整し、日程を設定したが、説明会では事故発生から2週間もたったことに対し、批判が集中した。松田富雄自治会長は「異臭の早期収束と、体調不良を訴えた住民のケアをしっかりやってもらいたい」と要望した。事故はタンク内の原油を覆う浮き屋根が何らかの原因で沈没し、原油がむき出しの状態になった。今月7日の事故発生当時、約5万1100キロリットルがあり、同社が抜き取り作業を進め、21日現在、タンク内には1万2千キロリットルが残っている。

11月20日 沖縄タイムス
原油流出:ベンゼン臭「いつまで」住民不安
       
うるま市与那城平安座の石油会社沖縄ターミナルで発生した原油流出事故から21日で2週間。同社は事態の収束に向け原油の抜き取り作業を進めているが、環境測定の結果、大気汚染防止法に基づく環境基準値を超える有害物質ベンゼンの検出が続いている。住民からは「いったいいつまで続くのか」「早く収まってほしい」と不安の声が上がっている。しかし、移送作業の終了が12月上旬にまでずれ込み、事態は長期化の様相を見せている。

7日に原油の流出が確認された貯蔵タンクは、ふたの浮き屋根が沈み、原油がむき出しになった状態が今も続く。同社は24時間態勢で監視を続け、引火防止のために二酸化炭素を注入しながら別のタンクに原油を移送。19日までに、タンク内の約5万1100キロリットルのうち約7割を移した。

また同社は市内など8カ所で環境測定を実施。タンク付近や平安座区住宅で、臭気指数が悪臭防止法に基づく許容限度値を超えたほか、環境基準値を超えるベンゼンが検出。タンク付近のベンゼンは基準値の約133倍(14~15日)を上回る値が出るなど、住民の不安は高まっている。

同社は「瞬間的な値で、ただちに健康被害を及ぼす数値ではない」と説明するが、住民男性(60)は「年配の人が体調を崩さないか心配だ」と話す。同区のデイサービスセンターは「島外からの利用者の中には不安で休もうとする人もいる。利用者が減れば、施設の運営に支障が出る」と訴える。

一方、8日に児童生徒約20人が体調不良を訴えた市立彩橋小中学校。臭いがきつい場合は窓を閉め、授業をしているという。校長らは「においで集中力がそがれる子もいる。早く学習環境を取り戻してあげたい」と気遣かった。住民の不安を受け市は19日、平安座自治会館で健康相談を実施。住民10人が「頭痛がする」「目が痛い」などと訴えた。今後住民の要望に応じて、健康相談を検討するとしている。

11月19日 沖縄タイムス
原油流出、環境基準133倍のベンゼン検出
       
うるま市与那城平安座の石油会社沖縄ターミナル原油流出事故で、同社が14~15日にかけて実施した環境測定で、貯蔵タンク付近から大気汚染防止法に基づく環境基準の133倍のベンゼンが検出されたことが18日、分かった。11~12日の測定で検出された80倍を上回り、最大。タンクに最も近い平安座区内住宅でも基準の2・7倍の数値が出た。また、最短で今月26日に完了するとしていた原油の回収作業が12月上旬までずれ込むことも明らかになった。

同社は「原因は不明」とした上で「瞬間的な値であり、ただちに健康被害を及ぼすものではない。風向きによって大きく数値が変化する」と説明している。同社は18日、タンク内の状態を確認し、作業スケジュールを見直した。「より慎重を要するため、タンク底部から水を注入しながら浮屋根上の原油回収を行う」という。

ベンゼンを吸うと頭痛やめまいなどの症状が出る。同社によると、作業を担う社員は、専用のマスクで口と鼻を覆い、交代で原油移送と二酸化炭素を注入しているため、人体への影響は少ないというが、「基準値の超過が長期間続けば、医療機関への受診措置を取る」としている。


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