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沖縄八重山「教科書採択問題」アーカイブ 2011 7/17-8/31

2011-08-25 13:16:39 | インポート

8月31日 沖縄タイムス
八重山教科書:民意はノー 教科書世論調査

「当然の調査結果だ」「ほっとした」―。沖縄タイムス社が29、30の両日、実施した世論調査で、八重山の多くの住民が「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社の中学校公民教科書に「反対」の意思を示したことに、県内外の教育関係者や平和団体から評価する声があがった。地域の声に耳を傾けないまま教科書を選んだ石垣市、与那国町の教育委員会が、民意にどう答えるのか。今後の判断に注目が集まる。

八重山地区PTA連合会の平良守弘会長(50)は「教科書は政争の具ではない。主役は子どもたち。保護者の立場から訴えてきたことを、多くの人が理解していると実感した」と話した。「今回、初めて育鵬社版の内容を知った保護者も多く、教科書にそぐわない内容だと反対する声や、激励、応援も寄せられていた」と胸をなで下ろす。

「つくる会」系教科書に反対する在沖八重山出身者有志の会の呼び掛け人で、弁護士の仲山忠克さん(62)は「(育鵬社を選んだ)採択協議会の決定が、現場の意向や住民意思を無視した政治的な動きだったことが明らかになった」と指摘。「3市町教委の再協議を早期に実施するべきだ。住民の支持を得ていない意味で、育鵬社は失格だ」と強調した。

「ジェンダー問題」を考える会の安次嶺美代子代表(64)は、石垣、与那国の両教委の育鵬社版採択への「反対」が約6割だったことに「半数は超えているが、思ったよりも少ない」と話す。一方で「どちらともいえない」が2割以上いたと指摘し「(採択途中の)教科書は教育関係者以外には見えにくい。中身に目を通している人が多ければ、反対意見はもっと多いのではないか」と指摘した。

「ほっとした」。子どもと教科書大阪ネット21事務局長で、中学社会科教諭の平井美津子さん(50)は「保守系首長の石垣と与那国では、自衛隊に好意的な教科書にもっと支持があるのではないかと思っていた」と「意外な結果」を歓迎。教員推薦のない教科書の選定を6割強が反対したことに「全国的にも現場教員の声を反映しない流れが進む中で、私たちが勇気づけられる。こういった声が全国に広がってほしい」と願った。

8月31日 八重山毎日
きょう役員会 一本化困難な情勢
合意形成の場、八教委協会が有力

教科用図書八重山採択地区の3市町教育委員会で決定した採択教科書のうち公民教科書が教科書無償化措置法に反し同一になっていない問題で県教育委員会(大城浩教育長)は30日夕、採択地区協議会(玉津博克会長)と3教育長あてに9月2日までに同一の教科書にするよう文書で通知した。これを受け、玉津会長は31日午後3時から役員会(3市町教育長)を招集することを決めたが、役員会で一本化するのは困難な情勢。この場合、3市町の教育委員全員で構成する八重山教育委員協会(教育委員13人)が有力な「合意形成の場」として浮上することが予想される。

通知文書で県は無償化法13条を引用しながら「採択地区で再度の合意形成を行い、期限までに同一の教科書を採択」するよう求めている。通知後、玉津会長は役員会を開催する意向を示し、「答申通りの教育委(石垣市と与那国町)はすでにすべて報告を完了している。法に基づいてやってもらえるよう話をまとめたい」と述べ、竹富町教委に答申通りの採択を求める考えを示した。

意見の一致をみない場合を想定して玉津会長は「最初にルールを決め、民主主義のルールに従って会を運営したい」と述べ、会議の冒頭で多数決か会長一任かの取り決めをして協議に臨む考えも示した。ただ、慶田盛教育長は「教育委での採択決定を変えるつもりはない」との姿勢を堅持していることから、冒頭で紛糾する可能性もある。

役員会が物別れに終わった場合、再協議の場として注目されている八重山教育委員協会は「教育委員相互の連携を密にし、八重山共通の教育行政の諸問題を検討して、これらの解決実現を図ることを目的とする」組織。関係者は「最終的にはこれ以外に解決の道はない」と話している。

8月31日 琉球新報
八重山教科書 3教育長で再協議、県教委通知文受け      

八重山教科書採択問題をめぐり同一採択地区の石垣、竹富、与那国の各教育委員会が社会科公民教科書を一本化できなかったことを受け、県教育委員会の大城浩県教育長は30日、教科用図書八重山採択地区協議会の玉津博克会長と石垣、竹富、与那国の各教育長宛てに、9月2日までに合意形成し、同一教科書を採択するよう求める通知文を送った。通知を受け、玉津会長は31日に3教育長で構成する役員会で再協議することを決めた。竹富町教委は協議会が答申した「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版の採択を拒んでおり、役員会での合意形成は困難な情勢だ。
 
大城県教育長は「これまでの経緯をみると教科書を使う子どもの視点が置き去りにされているように感じる」と憂慮し、「通知文はかなり強い文書。通知文の重みを理解しながら、もう一度合意形成を図ってほしい」と話した。
 
役員会は非公開で行う予定。育鵬社版を採択した石垣市教委の教育長でもある玉津会長は「答申に反する教科書を選んだ教育委員会があるが、法に基づいて採択してもらいたい」と話し、竹富町教委に答申に従うよう求める考え。調査員の推薦がないことや、原発、憲法、男女平等などに関する記述に問題があるとして育鵬社版を全会一致で不採択とした竹富町教委の慶田盛安三教育長は、答申通りの採択を求められても従わない姿勢だ。

8月31日 沖縄タイムス
八重山教科書:3教育長きょう役員会

八重山地区の中学校教科書採択をめぐる問題で、県教育委員会は30日、同採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)に対し、9月2日までに合意形成を図るよう求める通知文を送付した。これを受け、石垣市、竹富町、与那国町の各教育長は31日に市内で役員会を開き、対応を話し合う。

 ただ、「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版教科書を採択した玉津会長、与那国町の崎原用能教育長と、東京書籍版を採択した竹富町の慶田盛安三教育長による合意は困難な状況だ。慶田盛教育長が再協議を求めているのに対し、玉津、崎原の両教育長は同協議会で選定した育鵬社版を押し切る構えだ。

 県の大城浩教育長は「まずは合意形成を図る手段を地区で考えてほしい。地区の識見が問われている」と指摘した。選定作業をめぐる混乱について、「教科書を使う子どもへの視点が見えない。十二分な議論があったのか、憂慮している」と懸念を示した。

 県通知を受け、玉津会長は「役員会には教科書無償措置法に沿い、協議会答申通り一種に絞ることが求められている。しっかり協議し、結論を出したい」と述べ、竹富町の独自採択は違法だと批判した。合意形成については「ルールを決めて話し合う」とした。

 これに対し、慶田盛教育長は「公開の場で選定をやり直すよう主張する。そうしない限り、住民が納得しない」と強調した。一方、県教委は31日に臨時の委員会を予定。大城教育長は「委員や関係機関の意見を踏まえながら、今後の対応を議論する」と話した。

8月30日  八重山毎日
県教委きょうにも指導へ 3市町教委、採択結果を報告
会長再協議に柔軟対応も難航か

石垣市教育委員会(仲本英立委員長、委員5人)、竹富町教育委員会(竹盛洋一委員長、委員5人)、与那国町教育委員会(入慶田本朝政委員長、委員3人)は29日、中学校で来年度から4年間使用される教科用図書の採択結果を県教育委員会に報告した。公民分野の採択結果が市と与那国町が育鵬社、竹富町は東京書籍と違うことから、県教委は30日にも、教科書無償化措置法に基づき1本化するよう指導・助言する見通し。教科用図書八重山採択地区協議会の玉津博克会長(石垣市教育長)は29日、これまでとは違い、再協議に柔軟な姿勢を示した。

協議会の規約では、各教育委員会の決定が協議会の答申内容と異なる場合の対応について「県教委の指導・助言を受け、役員会で再協議することができる」とある。玉津会長は27日の段階で役員会を開催しない意向を示していたが、採択結果報告後の29日午後、「県の指導・助言の内容を見た上で判断したい」と話し、柔軟な姿勢に転じた。

県は採択手続きについて8月15日から同月末まで延長したが、1本化に向けた協議は難航が予想される。玉津会長は「竹富町が違反した決定をしている。違法なものは取り消しができる」、崎原用能与那国町教育長は「竹富町は協議会委員の2人が率先して反対したのはルール違反」と述べるなど自らの正当性を強調。これに竹富町教委の竹盛委員長は「採択結果には自信をもっている。決めたことを貫きたい」との姿勢を示すなど、3者が歩み寄る気配は今のところない。

8月30日 沖縄タイムス
八重山教科書:3市町、県に採択報告

八重山地区の教科書問題をめぐり、29日、石垣市と与那国町はともに「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版、竹富町は東京書籍版の各公民教科書の採択結果を、それぞれ県教育委員会に報告した。これを受け、県教育庁義務教育課は30日に指導・助言を含め、同地区の教科書の一本化に向けた対応を話し合う。

今回採択された教科書を使う来年度の新3年生は石垣市で約550人、竹富町約30人、与那国町約20人。採択結果を報告した教科用図書八重山採択地区協議会の玉津博克会長(石垣市教育長)は「県の指導を受け、再協議の有無を決めたい」、竹富町の慶田盛安三教育長は「県の指導を待ち、協議会に再協議を要望する」と、いずれも県の出方をうかがう姿勢を示した。与那国町の崎原用能教育長は「竹富町は教科書無償措置法違反。民主主義のルールを無視したやり方でまとまるものはない」とあらためて再協議を拒否した。

教科書の一本化に向けた県の指導・助言が焦点となるが、県が「3市町で一本化を」という従来の指導内容から踏み込んでいないため、事態が硬直化する可能性もある。
これに対し、慶田盛教育長は「採択権は各教委にある」として教育委員長主体の再協議の場を促すよう、県の指導を要望している。

8月29日 琉球新報
俵義文氏「住民の信頼損なった」 八重山公民教科書   

教科用図書八重山採択地区協議会で、学識経験者として委員を務めた石垣繁氏が、玉津博克会長から「歴史は帝国書院に」などと投票の依頼があったと証言したことについて、子どもと教科書全国ネット21の俵義文事務局長に問題点を聞いた。
 
教科書採択で多数派工作が表沙汰になった話は聞いたことがない。依頼された人の証言が出てきたのは初めてではないか。不公正な決定が協議会でされたことが明るみになった。県民や八重山地域の住民の信頼を大きく損なうものだ。
 
協議会の委員一人一人に(玉津会長の言ってきたような)教科書を選ぶ責任があるならば、投票依頼はあってはならない。石垣氏も言うように歴史教科書で育鵬社が採択された場合、県民や八重山住民から批判が出るものと考え、歴史はあきらめる工作をした。石垣氏は否定したが、公民でも他の委員に工作があったという疑念が出てくる。
 
協議会についてはこれまでも公民の選定結果に現場教員の調査結果が反映されていないなど不自然な点や疑問が指摘されていた。今回、その疑問をさらに強くした。こうした疑義がある以上、少なくとも意見が分かれている公民は手続きを最初からやり直すべきだ。

きょうにも県に報告 与那国町教委、採択結果      

育鵬社版公民教科書を採択した与那国町教育委員会の崎原用能教育長は、29日にも採択結果を県教育委員会に伝える方針を明らかにした。同一採択地区の石垣市、竹富町と採択教科書を一本化できていない状態での報告となる。
 
同町教育委員会は育鵬社版公民教科書を選定した教科用図書八重山採択地区協議会の答申を26日に審議し、全会一致で採択していた。石垣市教委も同日に委員会で無記名投票を行い、答申通り育鵬社版公民教科書を採択。竹富町教委は27日の委員会で協議会の答申を不採択とし、東京書籍版を採択している。
 
県教委は31日までに地区内での一本化を求めているが、協議会会長の玉津博克石垣市教育長が再協議しないと明言している。

育鵬社へ投票 事前確認 与那国町教育長ら 稲福政俊   
 
無記名投票で「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版公民教科書を選定した教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)の副会長を務める崎原用能与那国町教育長は27日、同町教育委員で協議会委員でもある具志堅学子氏と事前に相談し、歴史・公民教科書は育鵬社版に投票すると決めていたことを本紙に明らかにした。

崎原氏は現場教員が務める調査員が育鵬社教科書を推薦していないことを報告で把握していた。育鵬社版への投票方針は玉津会長に伝えていたという。同町教委は29日にも採択結果を県教育委員会に報告する。崎原与那国町教育長と委員が推薦のない育鵬社教科書への投票を決めていたことが明らかになり、現場の意向を無視した教科書選定が事前に進められていた実態が浮き彫りとなった。
 
崎原氏は「教科書を初めて読んだときは自由社版が一番インパクトがあり、良いと思った。しかし、具志堅委員と話し合いをする中で(年表流用などの)問題があるので、育鵬社にしようということになった」と話した。玉津会長へは投票が行われた23日の数日前に伝えたという。玉津会長から特定教科書へ投票するよう依頼はなかったという。
 
崎原氏は「委員同士で話し合うことが悪いとは思わない」と説明。協議会の答申通り育鵬社版公民教科書を採択しなかった竹富町教委について「ルールを守ることが大事だ」と批判した。崎原氏は調査員が育鵬社版歴史・公民教科書を推薦しなかったことについて「調査員は偏見を持っていると感じた」と話した。
 
一方、公民教科書で東京書籍版に投票した慶田盛安三竹富町教育長は、竹富町の委員らと事前に、歴史、公民で「つくる会」系の自由社版や育鵬社版へ投票しないことを確認したものの、個別教科書への投票で意思統一はしなかったという。

8月29日 沖縄タイムス
八重山教科書:竹富教育長 県の指導要望

八重山地区の3市町教育委員会が、異なった中学公民教科書を採択したことを受け、竹富町の慶田盛安三教育長は28日、「採択権は教育委員会にある」とし、3市町の各教育委員長を主体とした再協議の場の設定を促すよう県教育委員会の指導を求めた。同地区教育委員長の複数が再協議に応じる構えで、県も容認する姿勢を示している。慶田盛教育長は29日、教科用図書八重山採択地区協議会会長の玉津博克石垣市教育長に再協議を要望する。

一方、教育委員長主体の再協議に向けては、同協議会の役員会協議を経る必要がある。ただ、役員会メンバーの玉津教育長と崎原用能与那国町教育長は、協議会規約で定められた再協議自体を拒否する姿勢を変えておらず、県の指導・助言も今後の焦点となりそうだ。

慶田盛教育長は、教育委員会主体の再協議を提案した理由について、教科書を選定した協議会メンバーと教科書を採択する各市町教育委員会メンバーが重複した矛盾を指摘。現状では、3市町の各教育長と教育委員計6人が重複しており、「(選定教科書を)答申する側が(再び)採択に加わるのはおかしい」と疑問視する。

玉津、崎原両協議会役員が「再協議拒否」の姿勢を変えない限り、再協議が開けないばかりか、「役員会で再協議してもこれまでの議論の繰り返しになる」と懸念。事態打開に向けて協議会メンバーに属さない教育委員長による再協議策を提案した。慶田盛教育長の考えに対し、県義務教育課は「協議会は合意形成の一手段。機能しなければ、それに代わる場で地区決定すれば問題はない」との見解を示し、県の指導・助言も「あくまで当事者による採択地区の決定を大事にしたい。支援する努力は惜しまない」とした。

石垣市教委の仲本英立委員長は本紙取材に対し「まずは協議会で答申や会自体の信頼性をもっと議論すべきだが、そういう場(委員長主体の再協議)があればやらなければいけない」と回答。竹富町教委の竹盛洋一委員長も「教育委員長が打開策を話し合う場を、県が重視するのなら意義がある」と期待した。

8月28日 八重山毎日
育鵬社公民、不採択「適切ではない」と判断 竹富町教育委
代わりに東京書籍採択

竹富町教育委員会(竹盛洋一委員長、委員5人)は27日午前、町役場で開いた定例会で、教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長、委員8人)から答申のあった教科書採択について審議し、全会一致で公民分野の育鵬社を不採択と決定した。代わりに、調査員の推薦図書で協議会でも3委員が支持した東京書籍を採択した。

定例会の冒頭、慶田盛安三委員(教育長)は、協議会の玉津会長主導の選定手続きに強い不快感を示し、推薦外の図書が選定されたことに「前代未聞。ふに落ちない」と批判、「私たちは、良い教科書を採択するよう話し合いを深めよう」と呼びかけた。

議事は9教科15教科書を一つひとつ議案として審議。公民分野の審議で大田綾子委員が育鵬社版の不採択を求める緊急動議を提案。「調査員の推薦図書に入っていない」としたほか、育鵬社の選定理由について調査員のマイナス評価を挙げながら「まったく適切ではない」と述べた。
 
慶田盛委員は「マイナス評価の多い育鵬社がなぜ選ばれるのか。簡単な算数(数合わせ)だった。不当と言いたい」と強調、内盛正聖委員(PTA代表)、石垣安信委員(同)も「原発問題などリスク面もある原発問題などで、両論を乗せている現行教科書と違う。基地問題でもこうでなくてはならないという印象を受けた」(内盛氏)と賛同した。
 
これを受け大田委員は、基地問題や琉球文化の取り上げ方など調査員が評価された点を紹介しながら、「八重山の子どもたちにとって望ましい教科書」として調査員推薦の東京書籍を提案、採択された。竹盛委員長は採択後、「私たちが採択した教科書は、未来を開く子どもたちのために良い教科書と自信を持っている」と述べた。

8月28日 沖縄タイムス
八重山教科書:選定投票 内訳が判明 又吉嘉例 

教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)が23日に実施した選定作業で、委員8人の投票内訳が27日までに明らかになった。協議会委員の氏名、投票状況などは非公表となっており、密室性が問題視されている。

現場教員ら調査員が教科書を比較研究した上で複数推薦した教科書は、公民、歴史ともに東京書籍と帝国書院だった。推薦図書から外れた育鵬社版公民教科書に投票したのは、石垣市の玉津会長と元公立中学校長の石垣朝子教育委員、郷土史家の石垣繁氏、与那国町の崎原用能教育長と自営業の具志堅学子教育委員の計5人だった。

東京書籍を選んだのは竹富町の慶田盛安三教育長、元公立小学校長の大田綾子教育委員、保護者代表の平良守弘八重山PTA連合会長の3人だった。「調査員の推薦を重視する」としている。

協議会の選定資料によると、育鵬社版公民教科書の選定理由として、「内容の説明に妥当性があり、領土問題がしっかり扱われていて、地区の教科書にふさわしい」「現代社会に存在するさまざまな問題を自分を主体として捉える公民としての知識・判断力を表すのに適切である」「改正教育基本法の主旨を反映している」の3意見がついた。

一方、調査員の研究資料では、同社公民教科書に対し「沖縄の米軍基地に関する記述が全くない」「職場における賃金格差など男女差別について記述や資料はない」―などの問題点が指摘されていた。歴史教科書についても「天皇賛美が強すぎる」「神話と歴史を混同している」―などが問題視された。

八重山教科書:竹富教育長「晴れやか」 堀川幸太郎

「子どものための選択ができた。自信がある」。竹富町教育委員会の慶田盛安三教育長は27日の教科書採択を終え、そう語った。同教委は中学社会の公民教科書に「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版ではなく、東京書籍版を採択。会議が開かれた同町役場の一室には、傍聴した住民ら約20人から喜びの拍手と歓声が起こった。

「緊急動議を出したい」。東京書籍版の採択を求めた大田綾子委員は、「協議会では手続きの是非に焦点が当たってきた。ようやく、子どもの将来そのものを考える議論ができた」と語った。責任感による緊張はあったものの、伸び伸びとした口調だった。「少し、顔が晴れやかでしょう」とは、慶田盛教育長。大田委員とともに八重山採択地区協議会のメンバーも務め、苦悩を重ねてきたころとは違い、笑みもこぼれた。

同協議会は会議の非公開、選定答申のための無記名投票、教科書を事前調査する現場教諭の差し替えを追認する形の規約改定などを次々と打ち出した。この変更を厳しい言葉で批判した同教育長だが、その横顔には自責の念も漂う。「自分も協議会のメンバー。子どもたちのためとはいえ、矛盾する結論を出していいのか」公民教科書をめぐって地区協議会を構成する石垣、竹富、与那国の3市町教委で分裂採択。教育現場や地域社会に対する悪影響も与えかねない。「協議会と各教委で決定権を持つ人間が重複し、議論に対するチェック機能が働きにくくなった結果」と嘆いた。

竹富町教委のこの日の議論を見守った人々には喜びの一方、不安も入り交じった。傍聴に訪れた石垣市の元中学校教諭、宮良純一郎さん(61)は「竹富町の結果を見て、同町が求めている再協議で石垣、与那国の2市町が考えを変えてくれないだろうか」と期待する。八重山地区PTA連合会の平良守弘会長は「再協議の場は3教育長の役員会。もし、実現しても、最後は多数決で決めるとなれば2対1で、育鵬社になってしまう」と懸念し、指導・助言する立場の県に「3市町の教育長だけではなく、各教育委員長や県教委も加えた形でやってほしい」と語った。

石垣、与那国の2市町に翻意を迫る「子どもと教科書を考える八重山地区住民の会」や八重山地区PTA連合会、沖教組などは9月2日、市民集会を開き、協議会の議事録などの情報公開を求めていく方針だ。

8月28日 琉球新報
八重山教科書採択問題 「歴史は帝国に」投票依頼、石垣氏証言      

八重山採択地区協議会の育鵬社版公民教科書選定に異を唱えていた竹富町教育委員会。27日の委員会では、合議制の慎重な審議を経て全会一致で同教科書を不採択とした。採択した石垣、与那国両市町教委との溝は埋まらないまま、焦点はどう教科書を一本化するかに移った。規約にある「再協議」を含め一切の話し合いを拒否する八重山採択地区協議会の玉津博克会長。一方で、協議会委員の一人は、選定前に玉津会長から個別の教科書への投票を依頼されたと証言した。今月末の国への報告が迫る中、教科書をめぐる問題はますます不透明となった。

育鵬社版公民教科書を無記名投票で選定した教科用図書八重山採択地区協議会の委員に学識経験者として参加した石垣繁氏(74)は27日、琉球新報の取材に対し、協議会が開催された23日の数日前、玉津博克会長に「歴史は帝国書院に入れた方がいいんじゃないですか」と投票を依頼されていたと証言した。石垣氏は玉津会長の依頼について「育鵬社の歴史教科書を選ぶと県内で批判が高まるので、公民だけ選ぶために依頼したのではないか」と話した。公民についての投票依頼はなかったという。玉津会長は「ノーコメント」としている。
 
石垣氏は協議会開催直前の2、3日間、連日で石垣市教育委員会を訪ねており、そのいずれかの日に玉津会長から依頼されたという。石垣氏は依頼される前から沖縄戦の記述が豊富な帝国書院に投票することを決めていたため「入れるつもりだ」と回答したところ、玉津会長は「そうしてください」と答えたという。
 
23日の歴史教科書の投票結果は帝国書院版4票、育鵬社版3票、東京書籍版1票で帝国書院版が選定された。石垣氏は帝国書院版に投票した。石垣氏は帝国書院版歴史教科書について「ほかの教科書より沖縄戦がしっかりと扱われており、八重山で大事な戦争マラリアも取り上げている」と評価。育鵬社版歴史教科書は「読む気にもならないくらいだ」と批判した。
 
石垣氏は本紙報道で育鵬社版公民教科書に投票したことが明らかになって以後、自宅や外出先で「玉津会長の言いなりか」と批判を浴びているという。「公民で育鵬社版に投票したことで、玉津会長の言いなりと思われているのが心外だ。私は自分の信念で歴史も公民も投票した。初めは委員になるのも嫌だった」と強調した。石垣氏は小中高で教師経験があり、石垣市史編集委員も務めている。玉津会長とは教師の先輩・後輩の間柄で「勤めている学校の事務職員だった玉津会長に私が教員になるよう勧めた」という。

八重山教科書採択問題 竹富町教育長、絞り込みなしと説明      

教科用図書八重山採択地区協議会が選定した育鵬社版公民教科書を不採択とした27日の竹富町教育委員会で、同協議会の副会長を務める慶田盛安三教育長は、調査員による順位付け廃止や無記名投票を導入した玉津博克会長(石垣市教育長)の判断を「不当だ」と批判した。
 
玉津会長は協議会前日の22日に会見し、調査員が1位に選んだ教科書しか報告しなかったとみられる石垣市教委の資料を公開し、「1種絞り込み」を禁じた県教委の通知に違反していたとして、順位付け廃止の正当性を主張していた。
 
これについて、慶田盛教育長は全ての教科書に順位を付けて報告していたとする竹富町教
委の資料を示し「1種絞り込み」は行われていなかったと説明した。さらに「順位付けは教師(調査員)が教科書を決めることではない。今までの方法で何の問題があったのか」と廃止の判断に異を唱えた。また「委員の非公開や無記名投票も会長の独断で進められた。調査員の推薦がない育鵬社版公民教科書が選定されたのは前代未聞だ」と話した。

八重山公民教科書 竹富は育鵬社不採択      

竹富町教育委員会は27日、委員会を開催し、「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版公民教科書を全会一致で不採択とし、東京書籍版を採択した。同一採択地区の石垣市教委、与那国町教委は育鵬社版を採択しており、地区内で判断が分かれたのは全国でも異例だ。同一地区内は同じ教科書を採択しなければならず、3教委の委員長や教育長が集まって話し合うことも検討されたが、育鵬社版を選定した教科用図書八重山採択地区協議会の玉津博克会長はこれを否定した。県教委は協議会の責任で31日までに同一の教科書を決めるよう求めている。
 
3教委の判断が分かれたことを受け、歴代教育長らの組織を中心に9月2日、石垣市内で教科書問題を考える市民集会が開かれる予定だ。
 
竹富町教委は、育鵬社版公民教科書を選定した協議会の答申を1種目ごとに5人の委員で審議。公民は大田綾子委員が育鵬社版の不採択を求める緊急動議を出し全会一致で不採択とした。その後、調査員が報告書で推薦し、協議会でも3票を獲得して2位だった東京書籍版の採択を全会一致で決めた。竹盛洋一委員長は「子どもたちのためにいい教科書を採択した」と話した。
 
協議会は答申を出したことで役割を終えたとの認識。規約では各教委の決定が答申と異なる場合「役員会で再協議できる」と定めているが、玉津会長は「やっても意味がない」と役員会を招集しないことを明言している。協議会事務局は3教委の委員長、または委員長と教育長が集まって話し合いをすることを検討したが、玉津氏は「そのようなことをするつもりはない」と否定した。

みなさまへ: 先に育鵬社の公民教科書が「採択」と報じましたが、正確には「選定」でした。 協議会で選定・答申後、各教育委員会で審議の上採択されることになっております。

8月27日 沖縄タイムス 
八重山教科書:竹富町 育鵬社版採択せず

竹富町教育委員会(慶田盛安三教育長)は27日、来年度から中学校の社会科公民分野で使う教科書について、石垣市や与那国町と構成する協議会の事前答申にあった「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版「新しいみんなの公民」の不採択を決めた。不採択の緊急動議が委員から出た。東京書籍「新しい社会公民」を採択した。

8月27日 琉球新報 

竹富町教委 育鵬社教科書を不採択とし、東京書籍を採択      
竹富町教育委員会(竹盛洋一委員長)は27日開いた臨時会で、2012年度から町立中学校で使う教科書採択で、育鵬社版の公民教科書を不採択とし、東京書籍を採択した。

8月27日 八重山毎日
推薦外図書選定めぐり激論 教育委員で意見が対立
合議ならず投票で決める

公民教科書で調査員の推薦図書からもれた育鵬社が、なぜ選定されたか。採択教科書を決定する石垣市教育委員会(仲本英立委員長、委員5人)の定例会は、この点に納得がいかない委員2人が玉津博克委員(教科用図書八重山採択地区協議会長)を何度も問い詰めたが、議論は堂々巡り。「困りましたなーこれは」。合議で決めたいと思っていた仲本委員長は何度も「どうしましょうか」と諮ったが、「決をとるしかないでしょ」。教育委員の意見が対立する中で結論を出さざるを得なかった。

「異議あり」。嵩田美代子委員は冒頭、推薦外の図書を選定した理由を求め、声を上げた。玉津委員が説明する。「調査員は調査研究をするのが仕事、選ぶ権利はない。協議会は報告書を参考に委員8人で協議し、投票で結論を出した」。
 嵩田委員が「なぜ育鵬社か」と追及すると、玉津委員は「選定理由を読めば分かると思うが、推薦あるなしを含めて協議会委員の責任と権限で選んだ」と続けたが、嵩田委員は「納得できない」と不満顔。

玉津委員は「協議会委員の権限と責任で選ぶところに大きな意義がある。報告書のゴシック部分(マイナス評価14項目)が信頼できるものかどうか、協議会委員は検討したと思う」と調査員の評価に首をかしげた。育鵬社に対する調査員のマイナス評価に徳松節子委員は「育鵬社を読んだが、それほどでもない。委員の嗜好(しこう)と調査員の嗜好の違いからくるもの」と指摘、石垣朝子委員も「主観は含むべきではない。天皇の写真が多すぎるとあるが、天皇の写真がない教科書もある。14項目すべてを受け取るべきではない」と同調した。

逆に嵩田委員は「玉津会長が任命委嘱した調査員が、時間をかけて調査して推薦したのだから、なおさら評価に値する」と反論。仲本委員長は「協議会委員は9教科66冊をほんとに目を通したのか、不可能ですよね。しかし、現場の先生はきちんと読んで研究をしている。なぜ協議会で選定されないのか」と不満を募らせた。2時間近い平行線の議論に「本来は合議でいきたいが」と仲本委員長。しぶしぶ投票を決めた。

8月27日 琉球新報
強硬姿勢の教育長 石垣、与那国育鵬社採択   

教科用図書八重山採択地区協議会が無記名投票で選定した育鵬社版公民教科書を答申通り採択するかに注目が集まった石垣市、与那国町の教育委員会は、協議会委員にも名を連ねる教育委員らの意向を反映し、同社版教科書を採択した。石垣市教委の決定方法は、またも無記名投票に。現場教員らが推薦しない教科書を採択した両教委の決定に、不採択を求めていた保護者や住民は落胆や怒りの声を上げた。

<石垣>議論かみ合わず 無記名投票で決着
 
石垣市教育委員会で公開で行われた教科書採択は、張り詰めた空気の中約2時間にわたり公民の審議が行われた。「なぜ現場の教員が推薦していない育鵬社版の教科書が(協議会で)選定されたのか」が焦点になり、委員から繰り返し疑問が提起されたが、玉津博克教育長(教科用図書八重山採択地区協議会長)は「協議員の責任と権限で選んだ」などと、従来通りの回答に終始。協議は平行線をたどり、最終的に異例の無記名投票で採択となった。
 
傍聴に訪れた約40人の参加者はかたずをのんで動静を見守ったが、繰り返される同じ回答に、時折怒気を含んだつぶやきが漏れた。「全然理解できるような説明がない」といら立ち、終始合議での意見集約を求める仲本英立(えいりゅう)委員長に「無記名投票がいいんじゃないですか」などと促す玉津教育長ら。万策尽きた形で無記名投票に決まると、玉津教育長は事務局員が持ってきた白紙を自ら委員に配布。すぐに投票が行われ、仲本委員長は無念さをにじませながら結果を読み上げた。徳松節子委員は委員会終了後「もし(育鵬社版を)ノーと言っても、同じ教育長(協議会長)なら同じ結果になる。制度上、協議会の答申を尊重するしかない。教育委員はイエス・マンだ」とうんざりした表情を見せた。

<与那国>育鵬社評価繰り返す マイナス面「学習と無関係」

公民教科書について議論が集中した与那国町教育委員会。教科用図書八重山採択地区協議会の委員でもある崎原用能教育長は、終始育鵬社版を評価する発言を繰り返した。協議会の選定について「調査員の報告書を基に選定した」とする一方、報告書が指摘する育鵬社のマイナス面は「学習と関係ない」「外部の圧力によるもの」と語るなど、協議会の議論が育鵬社選定という結論ありきだった印象は拭えなかった。
 
委員は崎原教育長、入慶田本朝政委員長、具志堅学子委員の3人。委員会に立ち会った同町の寄合洋且教育課長が「育鵬社版についてかなりの数の抗議や不採択の要請がある。協議会の話を説明してほしい」「なぜ育鵬社を選んだのか」などと質問した。「協議会では選定の前に意見は出なかった」と崎原教育長。育鵬社版を「楽しく学べる」などと評価し、指摘されたマイナス面についても米軍基地、原発、個人の尊厳など項目ごとに擁護。「文部科学省の検定を通っているからいい」とも発言した。
 
一方、琉球新報社の取材に対し育鵬社採択に反対の意思を示していた入慶田本朝政教育委員長は、内容には触れずに淡々と議事を進め、合議で採択した。入慶田本委員長は「統括する立場なので何も言えない」と言葉少なだった。採択結果について崎原教育長は「日本人の誇りを取り戻す教育が復活できる」と感想を述べた。会議終了後にも「全部の教科書を見る時間はない。調査員の報告書を基に勉強した」と話した。

8月27日 沖縄タイムス
八重山教科書:石垣・与那国、育鵬社採択

八重山地区の中学校教科書を決める石垣市、与那国町の教育委員会が26日、両市町で開かれ、ともに「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版「新しいみんなの公民」を採択した。竹富町は27日に協議、育鵬社版を不採択する見通し。県教委は結論の異なる3市町に再協議を求める構えだが、石垣、与那国は拒否も辞さない姿勢であることから「協議会の機能放棄ではないか」と不信感を示している。採択期限は31日。

石垣市、与那国町とも会議は公開で行われた。約40人の市民らが傍聴した石垣市では議論がまとまらず、全5委員が異例の投票を実施、3対2の賛成多数で採択した。与那国町は協議の上、全会一致で決めた。

一方、竹富町の慶田盛安三教育長ら複数の委員は「戦争する国をつくるようにも受け取れる」とし、育鵬社版を採択しない構えだ。だが、教科書の選定法を定めた「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」は「採択地区内の市町村教育委員会は、協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならない」としている。

八重山採択地区協議会は協議会と3市町教委で合意が得られなかった場合、県の指導・助言の下に再度、協議できると規約で定めている。しかし、同会長の玉津博克・石垣市教育長は「必ず再協議するとは書いていない」、崎原用能与那国町教育長も「町は既に意思を決めた」と述べ、再協議を拒否する姿勢だ。

竹富町の慶田盛教育長は「再協議しないのはおかしい。玉津協議会長の会長としての責務だ」と批判。27日の会議では、協議会に提出された現職教諭ら調査員の9教科15種目の報告書も示し、推薦された東京書籍版の採択を見込んでいる。

玉津会長らの再協議に否定的な姿勢に、県義務教育課の担当者は「ありえない。協議会の機能を放棄したことにならないか。協議の実施については、委員も含めた上で決めるべきだ」と困惑。「採択は各市町村委員会の権限で行われるもの。協議会地区内は同一(の教科書)にしないといけない」とあらためて強調した。

教科書採択の最終期限は8月31日と法律で定められており、文部科学省教科書課は「期限をすぎた例は聞いたことがない」としている。

玉津会長各教育委員会審議を前に脅し

8月26日 琉球新報
会長「再協議しない」 八重山教科書選定      

2012年度からの4年間、石垣市、竹富町、与那国町の中学校で使う教科書に育鵬社版公民教科書を選定した教科用図書八重山採択地区協議会の玉津博克会長は25日、琉球新報の取材に対し、石垣市、竹富町、与那国町の3教育委員会が選定と異なる判断をした場合でも「再協議しない」と明言した。協議会は同日、3教委に選定結果を答申。PTAも育鵬社不採択を求める中、石垣市、与那国町は26日、竹富町は27日に教育委員会を開催し採択教科書を決める。
 
教科書無償化措置法が「採択地区の教育委員会は同一の教科書を採択しなければならない


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