夏目漱石の美術世界展
2013年5月14日(火)- 7月7日(日)
東京藝術大学大学美術館
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2013/soseki/soseki_ja.htm
藝大ならではの面白い企画展でした。
何が面白いって、漱石に対するリスペクトがそれほど高くなく、漱石に批評を受けている芸術家、および芸術作品に肩入れしているのがはっきり分かる点です。
漱石は作家として一流かもしれなういけど、美術に関しては結局、素人だろ、素人の癖に批判なんてしやがってよ、という雰囲気が解説の文章の端々から臭っているのがおかしかったなあ。
いっそのこと、漱石の批評と、それに対する芸大関係者の反論をまとめたバトルを展示したコーナーなんか作ってもらえたらよかったのに。
展示のほうですが、漱石が作品で触れたり、おそらくは彼が見たであろう作家の作品や、漱石自身や彼の友人の作品の展示など、ヴァラエティにとんでいました。
それにしても、昔の文豪というのは歯に衣着せぬ批評をしているもんだなあ、と改めて思います。
抱一の作品を「どうしてこんな馬鹿なものを描いたのか」としたり、友人である中村不折の作品(だったと思いますが)を一刀両断に批評したり。
最近は小説や美術でも、いくつかのムラが存在して、身内の批判はしないという嫌な空気がある気がして仕方がないんですが、漱石のように友人でも強く批判できるというのはいいなあ、と単純に思ってしまいます。
もうひとつ展示作品で笑ってしまったのは、漱石作品に登場するものの、実際にはないと思われる作品を制作した、というもの。
酒井抱一作ということになっている作品ですが、うーん、正直言って、抱一に近い感じはしませんでした。
いろいろ苦労して製作されたんでしょうけどね。
漱石だったらどう批評したでしょうか。
抱一の作品って、デザイン的でありながら、同時に風や匂いや湿度まで感じさせるようになっていると思うんですが、そこが感じられなかったなあ。
それにしても、美術批評をした人間を中心に、こんな大きな企画展をできるのは漱石や小林秀雄くらいかなあ。(ひ)
2013年5月14日(火)- 7月7日(日)
東京藝術大学大学美術館
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2013/soseki/soseki_ja.htm
藝大ならではの面白い企画展でした。
何が面白いって、漱石に対するリスペクトがそれほど高くなく、漱石に批評を受けている芸術家、および芸術作品に肩入れしているのがはっきり分かる点です。
漱石は作家として一流かもしれなういけど、美術に関しては結局、素人だろ、素人の癖に批判なんてしやがってよ、という雰囲気が解説の文章の端々から臭っているのがおかしかったなあ。
いっそのこと、漱石の批評と、それに対する芸大関係者の反論をまとめたバトルを展示したコーナーなんか作ってもらえたらよかったのに。
展示のほうですが、漱石が作品で触れたり、おそらくは彼が見たであろう作家の作品や、漱石自身や彼の友人の作品の展示など、ヴァラエティにとんでいました。
それにしても、昔の文豪というのは歯に衣着せぬ批評をしているもんだなあ、と改めて思います。
抱一の作品を「どうしてこんな馬鹿なものを描いたのか」としたり、友人である中村不折の作品(だったと思いますが)を一刀両断に批評したり。
最近は小説や美術でも、いくつかのムラが存在して、身内の批判はしないという嫌な空気がある気がして仕方がないんですが、漱石のように友人でも強く批判できるというのはいいなあ、と単純に思ってしまいます。
もうひとつ展示作品で笑ってしまったのは、漱石作品に登場するものの、実際にはないと思われる作品を制作した、というもの。
酒井抱一作ということになっている作品ですが、うーん、正直言って、抱一に近い感じはしませんでした。
いろいろ苦労して製作されたんでしょうけどね。
漱石だったらどう批評したでしょうか。
抱一の作品って、デザイン的でありながら、同時に風や匂いや湿度まで感じさせるようになっていると思うんですが、そこが感じられなかったなあ。
それにしても、美術批評をした人間を中心に、こんな大きな企画展をできるのは漱石や小林秀雄くらいかなあ。(ひ)