goo blog サービス終了のお知らせ 

てっしーずのおでかけ日記

観たこと、聞いたこと、気づいたことを書くよ!

夏目漱石の美術世界展

2013年11月19日 | 都内のおでかけ
夏目漱石の美術世界展
2013年5月14日(火)- 7月7日(日)
東京藝術大学大学美術館
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2013/soseki/soseki_ja.htm

藝大ならではの面白い企画展でした。
何が面白いって、漱石に対するリスペクトがそれほど高くなく、漱石に批評を受けている芸術家、および芸術作品に肩入れしているのがはっきり分かる点です。
漱石は作家として一流かもしれなういけど、美術に関しては結局、素人だろ、素人の癖に批判なんてしやがってよ、という雰囲気が解説の文章の端々から臭っているのがおかしかったなあ。
いっそのこと、漱石の批評と、それに対する芸大関係者の反論をまとめたバトルを展示したコーナーなんか作ってもらえたらよかったのに。

展示のほうですが、漱石が作品で触れたり、おそらくは彼が見たであろう作家の作品や、漱石自身や彼の友人の作品の展示など、ヴァラエティにとんでいました。

それにしても、昔の文豪というのは歯に衣着せぬ批評をしているもんだなあ、と改めて思います。
抱一の作品を「どうしてこんな馬鹿なものを描いたのか」としたり、友人である中村不折の作品(だったと思いますが)を一刀両断に批評したり。
最近は小説や美術でも、いくつかのムラが存在して、身内の批判はしないという嫌な空気がある気がして仕方がないんですが、漱石のように友人でも強く批判できるというのはいいなあ、と単純に思ってしまいます。

もうひとつ展示作品で笑ってしまったのは、漱石作品に登場するものの、実際にはないと思われる作品を制作した、というもの。
酒井抱一作ということになっている作品ですが、うーん、正直言って、抱一に近い感じはしませんでした。
いろいろ苦労して製作されたんでしょうけどね。
漱石だったらどう批評したでしょうか。
抱一の作品って、デザイン的でありながら、同時に風や匂いや湿度まで感じさせるようになっていると思うんですが、そこが感じられなかったなあ。

それにしても、美術批評をした人間を中心に、こんな大きな企画展をできるのは漱石や小林秀雄くらいかなあ。(ひ)


オディロン・ルドン―夢の起源―

2013年11月07日 | 都内のおでかけ
オディロン・ルドン
―夢の起源―
2013年4月20日(土)-6月23日(日)
損保ジャパン東郷青児美術館
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/program/index.html

この展示もかなりギリギリの時期になって見てきました。
国内に版画作品が多く所蔵されていることもありルドンに関する展示は割と多い気がしますが、ルドン好きの人間としてはやはり気になってしまいます。
今回数多く展示されている岐阜県美術館のコレクションを三菱の企画展で見ているし、府中市美術館で見たルドン作品も印象に残っているんですけどね。

ルドン作品の中でもモノクロームの版画でグロテスクな世界を描いていた頃が好きな人間としてはやはり展示前半がハイライトでした。
彼に影響を与えた版画家ロドルフ・ブレスダンと植物学者アルマン・クラヴォーの作品も面白い。
http://www.shizubi.jp/exhibition/130629_02.php

繊細かつ正確な植物の描写でありながら、同時に幻想的。
ルドンはアルマン・クラヴォーの人となりや研究姿勢にも触発されたんでしょうが、彼の絵自体も魅力的です。
「夢想(わが友アルマン・クラヴォーの思い出のために)」というルドンの連作も展示されていました。
http://www.shizubi.jp/exhibition/130629_03.php

クラヴォーとの出会いによって、顕微鏡の中に存在する幻想的な世界とであった事はルドンにとって大きい出来事だった事が分かります。
植物学、顕微鏡といった科学的なものを通して、幻想的なものに出会い一種神話的な幻想性を感じさせる作品ができていったのがとても興味深い。
目の前の退屈な現実も、モノクロームの「科学の目」を通すことで、まったく違う、別の世界が潜んでいるような気がして、彼の作品にひきつけられるんだろうなあ。(ひ)

練馬区立美術館コレクション展 時代と美術1

2013年11月06日 | 都内のおでかけ
日曜美術館「私と鶴岡政男」(1)

練馬区立美術館コレクション展 
時代と美術1「1930~50年代前半 伸縮する内と外 靉光≪花と蝶≫を中心に」
練馬区立美術館
2013年06月07日 ~ 2013年07月07日

練馬区立美術館のコレクション展。
練馬と板橋は無料展示でいいものが多くて見逃せないのですが、この展示は開館30周年に向けて、4回に分けて行うシリーズの初回。
作品数、約50点で1930~50 年代前半に焦点を当てた展示になっています。
初回でこんなにがんばると残りの3回が尻つぼみにならないかなあ、と勝手に心配になりますが、とにかく今回充実してました。
30年から50年半ばというとファシズムの時代から終戦後までという激動の時代だったことをパンフレットでも紹介しつつ、靉光、鶴岡政男などの作品が展示されています。
今回、印象に強く残ったのは鶴岡政男の作品です。
ひとつ挙げると「物乞う人(辻楽師)」になります。
彼の代表作、「重い手」のように大きな手が描かれていますが、「辻楽師」というタイトル通り、その手は楽器を演奏しています。
演奏しているのはアコーディオンらしく、「重い手」とは違って動きが感じられる作品になっています。
とはいえ、そのうつろな表情と楽器を演奏する指ばかりが強調された絵は「戦後」にかきけされようとしていた何かを描いているようにも思えます。
靉光の「花と蝶」を中心とするだけに、重く力強い作品が多いのが特徴でした。
この美術館のコレクションでもっとも充実している部分といっていいんでしょうけど。

今回もしっかりとした無料パンフレットが作られていて、来年開催の第2回のコレクション展のパンフレットを糊付けして長い年表を作れるようになっています。
ハードルをずいぶん上げるなあ。
期待して来年の展示を待ちましょう。(ひ)

アントニオ・ロペス展

2013年11月05日 | 都内のおでかけ
アントニオ・ロペス 磯江毅を語る

現代スペイン・リアリズムの巨匠
アントニオ・ロペス展
Bunkamuraザ・ミュージアム
2013/4/27(土)-6/16(日)
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/13_lopez/index.html

最終日に見てきました。
今年はザ・ミュージアムに行く機会が久しぶりに多くなっています。
以前、年間パスポートがあった頃以来じゃないでしょうか、これだけ多く見るのは。
そのくらい充実した展示が多いのですが、今回は「アントニオ・ロペス展」。
東京都現代美術館でやってもおかしくないくらい地味な展示ではありましたが、内容は充実していました。
作品に描かれている対象だけでなく、それを描いている人間の「時間」というものを考えざるをえないというのはなかなかない体験でした。
同じ風景や人物を10年近くも描き続けるというのはどういう心理状態なのでしょう。
時間を掛けて細密に人物や風景を描けば描くほど、おそらくは目の前に存在する対象とは離れていくはずで、そんな誰の手にも届かない人物や風景がそこにはありました。


「夕食」という家族を描いた作品では、もはや顔が崩れています。
http://www.antonio-lopez.jp/work/index.html

「夕食」は未完成のまま終わってしまった作品ですが、多くの作品は恐ろしく写実的で写した。
その中にはごく普通のバスルームや冷蔵庫を描いた作品もあり、丁寧に描かれたその絵からはなぜか一種の神々しさのようなものさえ感じられました。
今振り返ると、そんな印象を持ったのは彼の作品の光によるものだったのかもしれません。
どの作品も光が強く差し込んでいないものの、冬の曇り空に、ほんのりと日差しが差し込んできたような明るさが存在しています。
そういえば、以前、練馬で見た磯江毅はスペインで絵を描いていたんですね。
彼の作品とも共通性が感じられ、ほとんど知らないスペイン・リアリズム絵画を他にも見てみたくなりました。(ひ)




トーキョー・ストーリー2013 第二章 「アーティスト」

2013年10月17日 | 都内のおでかけ
トーキョー・ストーリー2013 第二章 「アーティスト」
会 期: 2013年05月02日(木) - 2013年07月07日(日)
会 場: トーキョーワンダーサイト渋谷
アーティスト: 足利 広、遠藤一郎、栗林 隆
http://www.tokyo-ws.org/archive/2013/04/2013-1.shtml

改修後、初めて行ったTS渋谷ですが、特に何か建物に変化があった様子はありませんでした。
まあ、TWSとして使っているのは建物の一部だけだし、何かをリニューアルした、という感じでもないんだろうなあ。
渋谷にしては非常に地味なTWSですが、展示のほうはさらに地味でした。
スクリーンに映された林や鳥居の映像と、大きな檻くらいしかありません。
折の中には入ることができるとの注意書きがあるのですが、土日でもお客が全然いないこの空間で檻に入ったところでむなしさが募るばかりのような・・・・・・。
映像と檻がリンクする様子もなく、今まで見た中でもっとも地味な展示じゃないでしょうか。
どうやらアーティストによるパフォーマンスや作品製作があるようですが、この状態を見せる意味はあるんでしょうか。
この何もない状態が震災後の日本を象徴しているのです、なんて短絡的なことでもないんだろうし。
せめて、見に来た人がアーティストに対して感想や希望を残していけるようにして欲しいかな。
正直、見に行った甲斐はありませんでした。
他の美術館のついでだし、無料なんですけどね。
といいつつも、こういう手痛い目にあいながらもまた足を運んでしまうんだなあ、TWSには。
実際、この後、渋谷と本郷に一度ずつ行っているし。(ひ)



モンパルナス辺り

2013年10月09日 | 都内のおでかけ
池袋モンパルナス―歯ぎしりのユートピア
2013年05月19日 (日) ~2013年06月05日 (水)09:00-18:00
東京芸術劇場ギャラリー2
http://www.geigeki.jp/performance/20130519g2/

【展覧会】松浦コレクション「とっておきの福沢一郎」展 
4/19 – 6/3
福沢一郎記念館
http://fukuzmm.wordpress.com/2013/04/04/2013s_specials/

池袋モンパルナス関係のいい展示を2つ見に行きました。
ひとつは東京芸術劇場で行われていた展示。
豊島区は区立の美術館が熊谷守一美術館くらいしかないためか、こういう区が主催する展示があっても、分からないことが多いようです。
この展示は北川フラムがかかわり、無料にもかかわらず、解説つきのパンフレットがつく充実した内容のものでした。
もっと広く宣伝できれば、相当お客さんを集められる内容だと思うんですが、芸術劇場にさえ大した宣伝がされていません。
私は練馬区立美術館でチラシをもらったんじゃないかな、きっと。
この少し前にも、豊島区は熊谷守一美術館で寺田政明の充実した特集がありました。
地味ながらいい展示を行っているんですよねえ。
今まで知らなかった画家の作品がいろいろと印象的だったのですが、榑松正利の「夢」はその中でも特に目立っていました。
http://www.art-annual.jp/news-exhibition/news/18784/

ルソーの影響が非常に強い作品ですが、作品によって絵のタッチはだいぶ変わったようです。
以前の回遊美術館で特集されていました。
http://www.npo-zephyr.jp/activity.html

また特集して欲しいところです。
回遊美術館をしっかりチェックしておかないと。

その後行ったのは祖師ヶ谷大蔵。
半年前にも行った福沢一郎記念館です。
このときは松浦英夫氏のコレクション展。
「母子」という画像がHPにある作品はシュールレアリスム的な作品ですが、こんな画家の影響も受けているのか、ということがよく分かる意外な作品もありました。
福沢一郎作品もかなり幅が広いんですよねえ。
東京で見られる福沢作品はかなり限られているので貴重な機会です。
松浦英夫氏がいかに熱心に福沢作品を集めていたか、という話や、この記念館によく見えるという横尾忠則氏の話など、いろいろ聞かせていただけるのが、この記念館のもうひとつの楽しいところ。
もう少しで秋の展示が始まるので、ぜひまた行かないと。
今回は素描に関する展示です。
http://fukuzmm.wordpress.com/2013/09/22/2013a_curious/

基本的に平日、月、水、金曜の開館なのでご注意ください。(ひ)






国宝 大神社展

2013年10月08日 | 都内のおでかけ
国宝 大神社展
国立博物館 平成館 特別展示室
2013年4月9日(火) ~ 2013年6月2日(日)
http://daijinja.jp/

時間が空きましたが、書道博物館の後はこの企画展示を見に行きました。
展示最終日だったのですが、そこそこの混雑具合で前半の展示物や書以外は比較的ゆっくり観賞。
こういう展示のとき、どうしても不思議なのは書や鏡といった普段あまり人気がなさそうな(というと失礼ですが)展示物を熱心に見る方が多いこと。
文字や文様は見ているうちに「意味」が見えてくる気がするものなんでしょうか。

書や鏡などに価値を見出せなかった私にも分かりやすかったのは、やはり神像。
美しさや強さが際立つインパクトの強いものが多い仏像に対して、人に近い、丸みを帯びた親しみやすい造形が多かった気がします。
http://daijinja.jp/highlight/06s.html

一番、印象に残った神像は「熊野夫須美大神坐像」でした。
イザナミノミコトと同定されているそうですが、そういう神像は日本にどのくらいあるんでしょう。
それはともかくずいぶんと迫力が感じられました。

こうした造形はどうやって生まれていったのかが気になるところですが、神像に関しては一般の者には分からない謎の部分が多いんだろうなあ。
見る機会自体が少ないものですし。

それにしても「大神社展」、「和様の書」という特別展の流れは渋すぎないでしょうか。
といいつつ、どちらも見に行ってはいるのですが。(ひ)



 

上を向いて歩こう展―奇跡の歌から、希望の歌へ―

2013年09月18日 | 都内のおでかけ
上を向いて歩こう展
―奇跡の歌から、希望の歌へ―
2013年4月20日(土)~6月30日(日)
世田谷文学館

これまた時間が経っていますが、6月1日に行ってきました。
どうして、この日かというと、企画展示が無料だったんですね。
世田谷文学館は年に1、2度無料の日があり、そんな日ばかり行っている気がします。
ぐるっとパスだと割引のみの施設なので、使わなくて済む、この日に行ってしまいました。

展示は世田谷文学館らしい展示でした。
上を向いて歩こうの展示は、小さなものを古賀政男音楽博物館でも見ているので、記憶がごちゃごちゃになっているところがあるので間違ったことを書くかもしれませんがご了承を。

展示を見ると改めて分かるのは、「上を向いて歩こう」の大ヒットがいかに唐突なものだったかということ。
日本でヒット後に、ヨーロッパでヒットし、それからイギリスを経由してアメリカでもリリースされて一気にチャートを駆け上ったわけです。
日本人が日本語で歌う曲がジャンルを特定していない普通のビルボードで一位になるなんてことはこれからも二度とないでしょうね。
この曲だけが異常な大ヒットをしたのに他の曲がまったく流行らなかったというのも興味深い話です。
いわゆるone-hit wonderというやつなんでしょうが、日本以外の人が聞くとエキゾチックに感じられる曲なんだろうなあ。

展示は曲に関する詳細な情報やヒットまでの経緯もいろいろ書かれているのですが、一番印象に残ったのは、作詞の永六輔が坂本九のプレスリー風の歌い方では歌詞をきちんと歌っていないことに激怒していたが、それは中村八大の指示によるものだったという話。
永六輔にそのことをずいぶん後まで隠していたというから坂本九は可愛そうです。

音楽の展示を文学館で行うというのはなかなか難しい話ですが、コンパクトに情報をまとめたいい展示でした。
とはいえ、文学館の企画展としては、日本の時代を代表する数曲を選び、数回の企画展で昭和の音楽と文化を振り返る、なんていうものにもして欲しかった気がします。
無料で見ておいて贅沢な感想ですが。(ひ)

カリフォルニア・デザイン 1930-1965 -モダン・リヴィングの起源-

2013年09月14日 | 都内のおでかけ
カリフォルニア・デザイン 1930-1965 -モダン・リヴィングの起源-
2013年3月20日(水•祝)~ 6月3日(月)
国立新美術館 企画展示室1E
http://www.nact.jp/exhibition_special/2013/california/index.html

江戸東京博物館の後は国立新美術館に移動しました。
「カリフォルニア・デザイン展」は正直それほど期待していなかったのですが、ヴォリュームたっぷりで内容も充実した展示でした。
アメリカのデザインを紹介する展示というと、アメリカ文化を大味に紹介したものになりそうなのに、アメリカにもちゃんと「ものづくりの素晴らしさ」を作り上げてきた人たちがいたんだ、ということを今更ながら知りました。
日本のような伝統工芸ではないものの、海外からアメリカにきて、独自の陶芸や家具を作り上げてきた人が多くいたんですねえ。
移民の多さを考えれば、そりゃあそうか、という話なんですが。
そうしたデザイナーや工芸家の作品やインタヴューがすさまじい数、用意されていて、ずっと見たいものばかり。
とはいえ閉館時間のことを考えると、多くの映像を諦めざるをえませんでした。
2時間ほど会場にいたんですが、全然時間が足りませんでした。
インタヴューが技術的な話だけでなく、自分の人生や工芸に取り組む姿勢についての話なんかもあって面白いんですね、これが。
本筋から離れた話が、その人の人となりを明らかにすることってあるものですね。
こんな面白い展示をやっているときは、なんとか土日も夜7:00くらいまで開館してもらえないものでしょうかねえ。
こういう若い層のお客が多い展示なら、特に採算もあうと思うんですが。
学生らしき人はずいぶんメモをとっていました。

それにしても、突然人口も増え、景気のよかったカリフォルニアはものの需要も多く、新しいデザインの生まれる活気に満ち溢れていたんですね。
その自由で活気にあふれた雰囲気を再現すべく、展示会場もあえて敷居をつくらず、自由に移動できる作りになっているのは、さすが会場作りにこだわる国立新美術館。
照明に凝ることばかりに力が入っている、某国立の博物館にも見習って欲しい素晴らしさでした。
会場の要所といえる場所に、いかにもという車や派手なデザインの服があったりして、見るものを飽きさせない作りになっています。

この後のアメリカの凋落を考えると考え深いものがありますが、こういういい時代を一度経験すると、もう一度同じいい目にあいたくなるものなんでしょうかね、人間というのは。(ひ)


桂ゆき-ある寓話

2013年09月10日 | 都内のおでかけ
桂ゆき-ある寓話
2013年4月6日 ~ 2013年6月9日
東京都現代美術館
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/143

フランシス・アリスと同じ日に見た、もうひとつの企画展がこれでした。
桂ゆきの作品は府中市美術館で初めて見たはず。
コラージュ作品で、絵本の一こまのようなかわいらしさとグロテスクさが一体化した印象に残る作品でした。
今回の展示では初期のスケッチやコラージュ、海外に旅に出ていた際の作品や本の装丁など、見たことのない作品を数多く見ることができました。
どの作品もとにかく大胆。
不思議な立体の釜も大きかったなあ。
そして、どの作品もその内容を解釈するよりも、続きの物語を考えたくなる。
「ゴンベとカラス」という作品なんかもまさにそうでした。
http://search.artmuseums.go.jp/gazou.php?id=4799&edaban=1

本の表紙や挿絵に使いたくなる気持ちは分かるけど、使った途端、桂ゆきの世界に連れていかれてしまう気がします。

残念なのはこれだけ充実した展示だったのに、作品リストがなく、展示カタログも作っていないこと。
この力の入らなさはなんなんでしょうね。
その辺が現代美術館らしいのかもしれませんが。(ひ)