イギリス議会選挙の投票日(2019年12月12日)がせまっている。
そうしたなか、2019年11月24日(日)、英保守党が選挙公約(マニュフェスト)を公表した。
高額所得者への増税を公約にうちだしている労働党に対し、保守党は一切の増税をおこなわないと宣言。
また労働党が、保守党をNHS(イギリスの医療保険制度)の民営化を進め、サービスの低下をまねいたと批判していることに対して保守党は、低所得者の医療保険負担の軽減、(米国との貿易交渉をうけて)民営化を進めることはない、といったことを公約している。
このほかに保守党は、医療・教育予算の増額などをうちだしている。
前回選挙時に圧勝すると予想されていたメイ首相は、突然、自宅介護が必要な人に自宅を売ることを義務化する政策をうちだし(あとから撤回)、過半数割れに追い込まれた。
みるかぎり今回の保守党の公約にとくに大きな問題はなく、予想どおりの選挙結果になる可能性が高まった。
ちなみにフィナンシャルタイムズによれば、調査会社YouGovは、保守党349、労働党213、スコットランド国民党(残留派)49、自由民主党(残留派)14を予想している(過半数は326)。
同紙は、あまり保守党のリードが広がると、ジョンソン首相にフリーハンドを与えることへの警戒感から保守党への投票が少なくなる可能性があるとも指摘している。
保守党が圧勝した場合、年内に離脱法案の再審議開始、来年1月末でのEU離脱という可能性が高まる。
その後は、最低でも2020年末までを猶予期間としてEUと自由貿易交渉をおこなう予定になっているが、1年で交渉がまとまる可能性はちいさいと考えられている(保守党は2020年末までに交渉をおわらせることを公約としているが)。
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