大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

香港が緊迫した状態になってきている

2019年08月31日 | 日記

 香港が緊迫した状態になってきている。

 先日、無届デモが禁止され、違反者(デモ参加者)は最高懲役5年が課せられるとの発表があったが、今日(2019/8/31)、それを無視して大規模なデモと衝突が発生している。

 ゲームストリーミング大手Twitchのチャットチャンネルでは、香港のライブ映像をみることができる。 

 この1か月余り、ときどきチェックしているのだが、状況が今ほんとうに緊迫してきているのがわかる。

 どのような決着をみるのか見当がつかない。

 ちなみに香港の一人当たり名目GDPは2014年に日本を超えて、以降、日本との差を広げている。


アルゼンチン、部分的な債務不履行に

2019年08月31日 | 経済

 アルゼンチン金融危機の再来が心配されている。

 きっかけは2019年8月11日におこなわれたアルゼンチンの大統領予備選挙で、これまで緊縮財政を進めてきたマクリ大統領の敗北がはっきりしたことだった。

 その後、通貨ペソが急落。アルゼンチン政府の発行する短期債に買い手が集まらなくなり、政府は資金難におちいった。

 そして8月28日(水)、アルゼンチン政府は、(1)国内向けの70億ドル(7350億円:1ドル=105円)の短期債の償還を最大6か月延期するとともに、(2)おもに海外投資家が保有する500億ドル(5.2兆円)の長期債について再プロファイルを追求すると発表した。

 ちなみに、再プロファイルとは、返済条件などを変更することを意味するが、これが具体的にどのようなことをさすのか(償還期限の延長など)は明らかになっていない。

 そしてさらにアルゼンチン政府は、IMFから借りている440億ドル(4.6兆円)の返済についても延期を計画(要請)しているとしている。

 アルゼンチン政府は、こうした一連の措置をデフォルト(債務不履行)ではないとしているが、8月29日(木)、格付け会社スタンダード&プアーズはアルゼンチン政府の1010億ドル(10.6兆円)の債務について「部分的債務不履行」との判断をおこなった。

 フィナンシャルタイムズによれば、アルゼンチン政府はこれまで7回の債務不履行を経験しているが、うち2回は21世紀にはいってからおこっている。

 なお同紙によれば現在、2021年に償還をむかえるアルゼンチン国債は額面の42%で取引されており、信用不安はかなりおりこみが進んでいる。

 いまのところアルゼンチン政府のデフォルトが、他の新興国などを巻き込み世界に大きな影響を与える可能性はあまりないと思われるが、10月の大統領選挙による影響を引き続き注意してみていきたい。

 

新興国通貨が下落 2018/5/1

アルゼンチン、政策金利を40%に引き上げ 2018/5/5

アルゼンチン、IMFに信用供与求める 2018/5/9


海外から中国への直接投資、増加続く: 輸出拠点から消費地への変化

2019年08月29日 | 経済

 アメリカをふくむ海外から中国への直接投資が増加を続けている。

 フィナンシャルタイムズ(2019/8/27)によれば、2019年1-7月の海外から中国への直接投資額は756億ドル(80兆円)。前年同時期より7.3%の増加となった。

 米中貿易摩擦が続いているが、FT紙はアメリカからの投資も増加しているとしている。

 中国政府の統計によれば2019年上半期のアメリカから中国への投資は15%減少したことになっている。

 しかしFT紙は、多くのプロジェクトが中国政府の統計からは抜けており不正確だとしたうえで、米研究機関Rhodium Groupによるデータを紹介している。

 それによれば、2019年上半期のアメリカから中国への投資額は68億ドル(7.1兆円:1ドル=105円)。過去2年の同期平均より1.5%の増加となっている。

 この数字についてFT紙は、テスラの上海工場など中国国内をターゲットにした企業の進出が増えているとしている。

 すなわち、中国をアメリカへの輸出拠点といちづける企業のなかには、賃金上昇や貿易摩擦の影響を避けるため中国から工場移転を進めるところがでてきている。

 一方、いまや世界一となった中国国内の消費市場をターゲットとした企業進出はますます増加しているというわけである。

 FT紙は、中国の今年に入ってからの経済成長の75%は国内消費によるものだとしている。


日米貿易交渉、自動車については継続協議: トランプ氏、追加関税の可能性を否定せず

2019年08月27日 | 経済

 2019年8月25日(日)、日米は貿易交渉で基本合意したが、日本がめざしていた自動車関税の引き下げは実現しなかった

(アメリカの成果)

 アメリカは、畜産・農作物の一部についてTPP加盟国と同水準の関税引き下げをかちとった。また、飼育用のトウモロコシの輸入の約束も取りつけた。

(日本の成果)

 日本政府はTPPでは、農産物関税を引き下げるかわりに自動車関税の段階的な引き下げ、撤廃を実現した。

 今回の日米貿易交渉でも、日本政府は自動車関税の段階的な引き下げを求めたが認められなかった

 トランプ大統領は、8月26日(月)におこなわれた会見で記者から日本車への自動車関税について、「輸入が安全保障上の脅威とみとめられた場合、関税を引き上げるか」と問われ、

 「今は考えていない」と述べた後、「将来、もしそうしたければ、そうすることができるが、そのようなことは(今は)考慮していない」と付け足した。

 日本のメディアは、自動車については継続審議になったと報じているが、もっとわかりやすくいえば、日本政府は農作物で譲歩しながら目標としていた日本車関税の引き下げを勝ち取ることができなかったばかりか、将来に関税を引き上げないという最低限の約束すら得ることができなかったということになる。

 なお今回の合意に為替問題ははいっていないが、ビッグ3の代表は円安誘導(為替操作)を抑止する実効的なシステムの構築をもとめている

 自動車をめぐる日米のつばぜり合いはまだまだ続きそうである。

 

参考

 オートモーティブニュースによれば、アメリカの対日赤字は680億ドル(7.1兆円)。その8割、560億ドル(5.9兆円)を自動車が占めている

2018/05/12 トランプ大統領、輸入車に20%の関税を提言 

2018/04/08 トランプ政権、輸入車に国内より厳しい排ガス基準、試験を検討

2018/03/03 トランプ大統領、鉄鋼の輸入に25%の関税: 日本への影響は中国より大きい  


アメリカで自社株買いが減少

2019年08月26日 | 経済

 これまでアメリカの株価を支えてきた自社株買いが今年に入って減少傾向をみせている。

 フィナンシャルタイムズによれば、S&P500(アメリカの上場企業500社)の2019年第2四半期の自社株買い1660億ドル(17.5兆円)。前期より390億ドル(4兆円)、前年同期より240億ドル(2.5兆円)の減少となった。

 同紙によればとくに自社株買いの減少が大きいのがアップルとシスコ

 アップルとシスコの2019年第2四半期の自社株買いは170億ドル(1.8兆円)と45億ドル(4.7千億円)。前期よりそれぞれ60億ドル(6.3千億円)、15億ドル(2.2千億円)の減少となっている。

 

アップル決算発表: 過去1年で8兆円の自社株買い! 2018/11/4

減税で、米企業の自社株買い増加 2018/3/9