米シェールオイル企業の経営破綻が続いている。
ダラス連銀によれば、米シェールオイル(原油を含む岩盤層を水平に掘り進み、化学物質と水を高圧注水して原油を抽出する採掘方法)の採算分岐点は47ドルから53ドル。
これに対し現在の原油価格(WTI)は上昇が続いてはいるが依然およそ37ドル。多くの企業が採算割れにおちいっていると考えられる。
この結果、フィナンシャルタイムズによれば、5月25日の時点で破産法11章(日本の民事再生法に相当)を申請した原油・ガス採掘企業は17社。負債総額は140億ドル(1.5兆円:1ドル=110円)にたっしている。
現在も大手原油採掘企業Extractionは利子の支払いができておらず、破綻の可能性があると指摘されている(負債は16億ドル=1700億円)。
また、オクシデンタル石油、アパッチ、加Cenovusなど企業格付けが投資資適格から投機的に引き下げられる大手企業が続出。
この結果、エネルギー関連企業のハイイールド債(投機的水準の企業が発行する高利率債券)の総額は年初の680億ドル(7.5兆円)から1080億ドル(12兆円)に急増。要注意ハイイールド債の多くがこれらエネルギー関連企業によって占められている。
アメリカでは原油価格の大幅下落を受けて生産量が減少。しかし、その分だけ輸入が増加しているため在庫は依然高い水準にとどまっている。
各国中銀が異次元金融緩和を続けるかぎり、エネルギー関連企業の経営破綻が金融不安につながる可能性はあまりないと思われるが、引き続き米シェールオイル企業の動向を注意してみていきたい。
2020/6/16追記
Extraction石油は破産法第11章を申請した。