大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

激しいめまいで救急車

2020年07月05日 | 日記

 今週のはじめ、突然はげしいめまいと吐き気におそわれた。

 すぐに救急車を呼んだが、車中ではかった血圧が240。

 かすかに死を意識したが、めまいは次第に落ち着き搬送先の京大病院で撮ったCTにも異常はみられなかった。

 いまはリモートワークなので、こんなとき通勤しなくてすむのはありがたい。

 もっとも遠隔授業はなれないこともあり、ふだんより準備に時間がかかるのであるが。

 少しずつ体をならしていきたい(後遺症のようなものは今のところ出ていない)。

 大学が忙しくなってきたこともあり、しばらくの間ブログを休止します。


スペースX、今週に有人打ち上げ

2020年05月23日 | 日記

Crew Dragon Animation

 

 ニューヨークタイムズによれば、スペースXは今週水曜日(2020年5月27日)に宇宙飛行士二人をのせた宇宙船クルー・ドラゴンファルコン9(再生可能ロケット)をつかって打ち上げる。

 NASAはスペースシャトルの引退以降およそ9年間、スペースステーションへの宇宙飛行士の打ち上げをすべてロシアに委託してきた。

 その一方でNASAは2014年、宇宙船の開発をスペースXボーイングに委託。

 今回はその最初の有人試験となる。

 なお動画はスペースXによるプロモーションアニメ。

 

2020/5/28追記

 天候のため打ち上げが5月30日に延期になった。

2020/5/31追記

 2020年5月30日、スペースXはファルコン9によるクルードラゴンの打ち上げに成功。ロケットの回収にも成功した。

 


米、景気後退の可能性高まる: 金融不安の再燃も

2020年03月21日 | 日記

 アメリカの景気後退がさけられない状況になってきた。

 2月28日(金)にわずか65人だったアメリカの新型コロナ感染確認者は、3月20日(金)に15,219人まで急増

 これ以上の感染拡大をふせぐため、カリフォルニア州(人口4千万弱)は外出禁止令(食品以外の小売の閉鎖含む)をだし、ニューヨーク州(人口2千万弱)も22日(日)から労働者に基本的に在宅勤務を義務づけることになっている。

 これに、ニュージャジー州、コネチカット州、イリノイ州続く予定になっている

 この影響は経済統計にもではじめており、3月19日(木)に発表された失業保険の新規申請者数(3月8-14日までの1週間分)は、前週より33%増加して28.1万人になった。

 3月15日以降、さらに失業者数が急増していることが各地で報告されており、今週発表の失業保険の新規申請者数はびっくりするような数字になることが予想されている(株式市場への影響をふせぐため、米政府は3月26日(木)のデータ公表日まで各州の数字を発表しないよう指示をだした)。

 これまで好調を続けてきた雇用が大きく失速するのは確実な状況となっている(ただし米雇用統計にあらわれるのは1-2か月遅れになる)。

 米議会では、年収7.5万ドル(830万円:1ドル=110円)まで一人あたり1200ドル(13万円)の現金を支給(共和党案は税金からの払い戻し)する法案が検討されているが、消費の落ち込みを十分おぎなうことはできないとみられている。

 こうしたことから、アメリカのGDPは第1四半期、第2四半期ともに前期比マイナスになるとする予想がふえている。

 景気後退は一般にGDPが2期連続マイナスと定義されており、そのいみでアメリカが景気後退にはいる可能性がきわめて高くなっている(アメリカはこれとは少し違った方法で景気後退を判断しているが、判断に大きな違いはでない)。

 こうしたなか、ふたたび金融危機がおこる可能性が指摘されるようになっている。

 このブログでは、信用の低い企業が発行するハイイールド債あるいはレバレッジドローンの問題をたびたび紹介してきた。

 こうした債券をまとめて証券化したものにCLO(ローン担保証券)がある。

 低金利がつづくなか、CLOは高利率をうたうことで多くの機関投資家(年金、保険会社、投資会社、アメリカ外の銀行など)をひきつけてきた。

 いまこのCLOが金融危機のひきがねをひくのではないかと心配されている。

 ウォールストリートジャーナルによれば、低格づけ企業が発行した債券は1.2兆ドル(130兆円)。カナダ年金基金など安全性を重視する機関投資家も、CLOのかたちで低格づけ企業の債券を大量に保有している。

 しかし、景気後退が意識されるなか、格付けがとくに低い債券では価格の大幅な低下(額面の8割程度)がはじまっている。

 ここでおもいだすのがリーマンショックである。  

 信用の低い人の住宅ローンをまとめて証券化したサブプライムローンはリーマンショックをひきおこしたが、CLOはその企業版にみえる。

 もっともリーマンショックと今では違いもある。

 リーマンショックでは、もうけ優先の企業(リーマンブラザーズなど)を救済することに批判が多く、金融支援が後手にまわって景気後退を大きなものにした。

 一方、新型コロナウイルスが原因の今回の景気後退では、企業救済に制約(批判)は少なく、各国中銀は市場安定のため全力で資金供給をおこなうとみられている。

 新型コロナウイルスの感染拡大がどこまで経済に影響をおよぼすのか、ひきつづき注意してみていきたい。

2020/3/27追記

 2020/3/26に発表された新規失業保険申請者件数は328.3万人。歴史上例を見ない水準に跳ね上がった。


女性役員登用の国際比較をした論文を書きました

2020年03月19日 | 日記

 東証一部上場企業について、役員にしめる女性割合が30%を超えると、株価と企業業績(ROE)のパーフォマンスが著しく高くなることを明らかにした論文を書いた

 1990年代まで、どの先進国でも女性役員はほとんどいなかった。

 しかし、2000年代にはいると一定比率の女性役員を法律で義務づけたりコーポレートガバナンス・コード(証券取引所などが定めたルール)の目標にする国がふえ、女性役員がふえていった。

 ところが日本はその流れに乗り遅れ、現在も1990年代とあまりかわらない役員構成にとどまり、ほかの先進国との違いがきわめて大きくなってしまった。

 もっともそうしたなかにあっても、女性役員を積極登用する企業はあり、とくに女性役員が30%をこえた企業は株価ですぐれたパーフォマンスを出している。

 論文のおおまかな内容は以上のようなもの。

 具体的なデータをたくさん載せているので興味のある方はご覧ください(論文のPDFファイルはこちら)。

 なお、この論文については石井記念証券研究振興財団から研究助成をいただきました。ここに記してお礼申し上げます。

大野威, 2020, 「女性役員登用の国際比較および女性役員と企業業績・株価の関係-女性役員比率30%以上の日本企業の株価とROEの分析」


中国で自動車販売が急減:新型コロナウイルスの影響

2020年02月22日 | 日記

 新型コロナウイルスの影響で中国で自動車販売が急減している。

 米中貿易摩擦などの影響で、中国の月間自動車販売台数は2018年半ばから前年比でマイナスを記録するようになった(データはこちら)。

 しかし中国政府による一連の景気テコ入れ策により、2019年12月には前年と同じレベルにまで販売が回復していた。

 ところがここで新型コロナウイルスが発生。

 オートモーティブニュースによれば、2020年2月の最初2週間の自動車販売台数は前年比マイナス92%という信じられない落ち込みとなっている。

 同紙は、2月の販売は前年比70%のマイナス、1-2月の販売累計もマイナス40%程度になるみこみだとしている。

 少し話はかわるが今週のはじめごろは欧米メディアで、中国では新型コロナウイルスがピークを越えたとさかんに報道され、世界の株価を押し上げた。公表される新感染者数などをみると、たしかにそのような傾向をみてとることができる。

 ところがこの数日、日本、韓国で感染源不明の新型コロナウイルス感染者がたくさんみつかり、イラン、イタリアなどアジア以外でも感染拡大のきざしがみえてきた。

 日本、韓国といった中国以外での感染拡大は、中国での感染拡大より世界への感染拡大につながる可能性が高い(とじこめが難しい)とみられており世界でふたたび警戒感が高まっている。

追記

 2020年2月の中国の自動車販売台数は、前年同月比79.1%のマイナスになった。