景気減速が懸念され始めた中国で、景気刺激を目的とした大型減税があいついで打ち出されている。
フィナンシャル・タイムズ(2018/7/2)によると、中国では税収の構成が消費税39%、法人税22%、所得税8%と消費税中心となっている。
そこでまず今年(2018年)5月から、消費税(正確には付加価値税)の引き下げがおこなわれた。
具体的には工業製品の消費税が17%から16%に、それ以外のものが11%から10%に引き下げられた。
ロイター(2018/5/28)によれば減税規模は年内だけで2,400億元(約4兆円:1元=16.5円で計算)。
さらに今回、中国の全国人民代表大会は大型の個人減税案を発表。今年の10月から実施予定とされている。
前掲FT紙によると、今回の減税により、
(1)課税最低所得(年)が6,300ドル(70万円:1ドル=110円で計算)から9,000ドル(100万円)に引き上げられる。
(2)下の表にあるように月収に対する税率区分を変更する。
これにより、これまでは4,500元(7.5万円)から9,000元(15万円)までの月収に20%課税されていたのが、3,000元(5万円)から12,000元(20万円)まで10%の課税に引き下げられる。
中国では、預金準備率(預金残高のなかから銀行が中央銀行に預け入れなければならない比率)が4月25日と6月24日にそれぞれ1%、0.5%引き下げられるなど、景気刺激策が相次いでいる。減税と合わせどのぐらいの効果が出てくるか注目される。
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現在の所得税率 |
新しい所得税率 |
1,500元まで |
3% |
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3,000元まで |
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3% |
4,500元まで |
10% |
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9,000元まで |
20% |
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12,000元まで |
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10% |
25,000元まで |
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20% |
35,000元まで |
25% |
25% |
55,000元まで |
30% |
30% |
80,000元まで |
35% |
35% |
80,000元以上 |
45% |
45%
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2019/4/27追記
2019年3月、中国政府はさらなる付加価値税の引き下げを決定した。製造業については16%から13%に、運輸、建設業について10%から9%に引き下げる。2019年の減税規模は約2兆元(約30兆円:1元=16.5円)にのぼると見込まれている。