2019年9月3日(火)、イギリス議会は「EUと離脱条件で合意できなかったら、離脱期限の来年までの延長をEUに求める」法案の審議をはじめることを328対301で可決した。
ジョンソン首相は、審議開始に賛成した保守党議員は次の選挙で公認しない(つまり政治生命の終わり)としたが、21人の保守党議員が審議開始に賛成した。<造反議員はその後、保守党を除名され、与党は議会の過半数を失った>
これに対しジョンソン首相は、もし法案が可決されたら、議会を解散して離脱直前の10月14日か15日に選挙をおこなうとしている。
強気の背景にあるのが、保守党の高い支持率。
2017年の総選挙ではコービン氏ひきいる労働党が大善戦。
しかし最近、労働党の支持率は低迷しており、直近の世論調査では保守党の支持率は労働党を11%上回っている。
現在選挙がおこなわれた場合、保守党が圧勝すると予想されている。
労働党の支持率が低迷している理由としては、コービン氏のEU離脱への立場がはっきりしないこと(おそらく離脱自体には肯定的)などがあげられている。
こうしたことからEUは、ジョンソン首相が選挙に勝ってもEUがこれまでの交渉内容を変えることはないと予防線をはりだした。
ただし、議会を解散するには下院の2/3の賛成が必要。労働党が解散に賛成しなければ、ジョンソン氏は選挙にうってでることはできない。
大敗北がわかっているので労働党が選挙に賛成する可能性は小さいと思われる(コービン氏は選挙でEU離脱の信を問うべきと主張し続けてきたが)。
別の可能性としては、内閣の不信任を可決して保守党から別の首相を選出するというものがあるが、フィナンシャルタイムズは、保守党議員が内閣不信任案に賛成することはいまのところ考えにくいとしている。<保守党を除名された議員が不信任に賛成した場合はこのかぎりにあらず>
すると結局、ジョンソン氏が首相を続け、離脱条件の交渉を続けるということにしかならないのではないか。
EUも、景気の行方が不確かになってきているなか強硬離脱の引き金を自分が引いたと言われたくないだろうから、離脱期限の延期に合意するのではないかと思われる。
とはいえ、予想どおりにならないのが政治。
最大の懸案となっているアイルランドとの国境問題をどのように解決してEU離脱にもっていくのか、引き続き注意してみていきたい。
米国のトランプ大統領程の、“難民拒否”姿勢を貫かねば、英国とて今後難民政策に翻弄させられることでもあるでしょう。
かと言って、“ユーロ圏からの離脱”とて大いなる危険性が内在している現実に於いて。
とりあえず「離脱」を表明しているジョンソン氏が首相に指名されている現況下ですが、この問題の解決には更なる時間を要する事でしょう。
ところで、大野先生はそろそろ後期授業の時期に入られますよね。 お元気に頑張っていらっしゃいますか?
とはいえ9月に入るといろいろな事務業務が入ってきます。授業はまだはじまりませんが、業務はすでに通常モードです。
暑い日が続いていますのでご自愛ください。