大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

中国で自動車販売が急減:新型コロナウイルスの影響

2020年02月22日 | 日記

 新型コロナウイルスの影響で中国で自動車販売が急減している。

 米中貿易摩擦などの影響で、中国の月間自動車販売台数は2018年半ばから前年比でマイナスを記録するようになった(データはこちら)。

 しかし中国政府による一連の景気テコ入れ策により、2019年12月には前年と同じレベルにまで販売が回復していた。

 ところがここで新型コロナウイルスが発生。

 オートモーティブニュースによれば、2020年2月の最初2週間の自動車販売台数は前年比マイナス92%という信じられない落ち込みとなっている。

 同紙は、2月の販売は前年比70%のマイナス、1-2月の販売累計もマイナス40%程度になるみこみだとしている。

 少し話はかわるが今週のはじめごろは欧米メディアで、中国では新型コロナウイルスがピークを越えたとさかんに報道され、世界の株価を押し上げた。公表される新感染者数などをみると、たしかにそのような傾向をみてとることができる。

 ところがこの数日、日本、韓国で感染源不明の新型コロナウイルス感染者がたくさんみつかり、イラン、イタリアなどアジア以外でも感染拡大のきざしがみえてきた。

 日本、韓国といった中国以外での感染拡大は、中国での感染拡大より世界への感染拡大につながる可能性が高い(とじこめが難しい)とみられており世界でふたたび警戒感が高まっている。

追記

 2020年2月の中国の自動車販売台数は、前年同月比79.1%のマイナスになった。


新型コロナウイルスでエネルギー関連企業のデフォルトが増加

2020年02月03日 | 経済

 新型コロナウイルスの広がりで経済活動が停滞するとの懸念から原油価格が下落し、シェールオイル採掘の採算が大幅に悪化している。

 このため、エネルギー関連企業が発行したハイイールド債のデフォルト(債務不履行)がこれから増加していく可能性が高まっている。

 

 ダラス連銀はシェールオイル採掘(原油が含まれる地層に水と化学物質を高圧注入して原油を抽出する採掘方法)の損益分岐点を調査、公表している。

 ダラス連銀によれば2019年5月時点で、シェールオイル採掘損益分岐点は地域により平均47.5ドルから53.63ドル(1バレル当たり:以下略)。

 これに対し、現在の原油価格(WTI)は51.5ドル(2019/2/3日中)。

 多くの企業が採算割れをおこしている(企業により損益分岐点は20ドルから75ドルまでの幅がある)。

 ちなみに、原油価格は昨年から60ドルを下まわる水準で低迷が続いており、シェールオイル採掘業者の発行するハイイールド債のデフォルト(債務不履行)が上昇していた。

 ウォールストリートジャーナルによれば、昨年8月時点でシェールオイル採掘業者の発行するハイイールド債のデフォルト率(債務不履行率)は5.7%と高水準。

 これからさらにデフォルト率が上昇していくことが懸念されている。

 WSJ紙によれば、2020年から2022年にかけてエネルギー関連企業が発行した1370億ドル(15兆円:1ドル=110円)のハイイールド債が償還をむかえる予定になっている。