重要な経営指標にPER(株価収益率)がある。これは現在の株価が一株あたりの利益の何倍かを表している(注)。
一般にPERが高くなるほど株価は割高だと判断される。
そして、日経平均の現在のPERは14倍で、アメリカのダウ30平均の17倍より低く割安だとよく言われている(たとえば7月1日の日経)。
しかし日経平均のPERはアメリカと異なるかわった方法で計算されており、アメリカと同じように計算すると17倍になるということを最近知ってかなり驚いている。
ロイターによるとアメリカの場合、株式の合計を30社のEPS(1株利益)の合計でわってPERが算出されている。これに対し日本の計算では、株価については額面50円に調整したものが使われる一方、利益は調整なしにそのまま計算に使われている。
そうなったいきさつは調べてみないとわからないが、それにしても株価だけ額面調整するというのは理解に苦しむ。
私は研究のため企業業績の比較をおこなっている最中なのだが、こうしたことを知らなければPER17倍の会社について平均(14倍)より高いと誤った評価をしてしまうところだった。
日経新聞社は、参考値として株価と利益の両方を額面調整したPERあるいはアメリカのように両方とも調整なしのPERの公表をしてほしいと思う。
(注)たとえば発行株式数が100株の株式会社が100万円の利益を上げた場合、1株あたりの利益は1万円。これに対して株価が2万円ならPERは2倍、株価が10万円ならPERは10倍となる。
2017年7月1日追記
こうしたことが海外でも少しずつ知られてきているようで、たとえば6月30日のウォール・ストリート・ジャーナルの記事では日経平均のPERが17倍と正しく記されている。