大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

ニューヨークの3空港、最低賃金を19ドル(2,100円)に引き上げ

2018年09月28日 | 日記

 ニューヨーク・タイムズ(2018年9月27日)によれば、ニューヨーク州とニュージャージー州は、ニューヨークに隣接する3空港で働く4万人の最低賃金を今後5年間で19ドル(2,100円:1ドル=110円)まで引き上げることを決定した。

 対象になるのはラ・ガーディア、ケネディー(以上NY州)、ニューワーク(NJ州)の3空港で働く労働者で、手荷物の運搬係、客室清掃員、サービス要員などが含まれる。 

 ニューヨーク市の最低賃金(従業員11人以上)は2018年12月31日に、現在の13ドル(1,400円)から15ドル(1,650円)に引き上げられることがきまっているが、今回の決定はそれを超えて19ドルを目指すもの。

 州は、最低賃金を引き上げることで離職率を抑え、空港の安全とサービス向上を実現することができるとしている。


中国、インフラ投資に特化した地方債を大量発行

2018年09月28日 | 日記

 景気減速や米中貿易摩擦が懸念されるなか、中国で景気のテコ入れ策が相次いでいる。

 その一端についてはこのブログでも触れているが、フィナンシャルタイムズ(2018/9/23)は、インフラ投資に特化した地方債が大量発行されていると伝えている。

 同紙によれば、中国人民代表会議は今年の3月、インフラ投資など使途を指定した債券1970億ドル(22兆円:1ドル=110円)の発行を承認した。これは過去2年を合わせた額より大きい。

 ただ最近までは、債務縮小を優先する中央政府の圧力で発行はあまり進んでいなかった。

 しかし、2018年7月末、中国政府は景気対策の一環として地方政府に使途指定債券の発行を加速するように指示を出し、それから地方債の発行が急速に増えている。

 FT紙は、2018年の7月までの使途指定地方債の発行は240億ドル(2.6兆円)にすぎなかったのに、8-9月だけで約960億ドル(10.5兆円)の発行があったとしている。

 なおFT紙は、使途指定地方債は利回りが低いため買い手不足で、地方政府との関係が強い銀行がこうした地方債の買い手になっていると伝えている。

 

2018/10/9追記

 2018年10月7日(日)、中国人民銀行は預金準備率を1%引き下げ14.5%にすると発表した。


米消費者信頼感指数が過去18年で最高値を記録: ITバブル前のピークに近づく

2018年09月27日 | 日記

 2018年9月25日(火)、民間調査機関である米産業審議会(Conference Board)は、消費者信頼感指数が138.4(先月より0.7上昇)となり過去18年で最高になったと発表した。

 これまでの最高値は2000年につけた144.7

 この年、アメリカではITバブルが崩壊し、2001年4月から景気後退に突入している。

 ちなみに、この消費者信頼感指数とよく比較されるものにミシガン大学が公表しているミシガン大学消費者信頼感指数がある。

 こちらの数値も9月に100.8(先月より4.8%上昇)となり、2004年以降で2番目に高い値となった(1番は2018年3月につけている)。

 こちらの数値はITバブル期の数値には達していないが、同大学はほかにも消費者が自身の財務状況をどのように評価しているかあらわす消費者財務状況認識指数(Evaluation of Consumers’ Current Financial Situation)を公表している。

 こちらの2018年9月の数値は134で、2000年につけたこれまでの最高値134と並ぶに至っている。

 私が知る限り、アメリカの経済、景気指標は、住宅関係で少し弱い数値がでている以外は景気減速を示唆するようなものはでていない。

 ただここに挙げた消費者信頼感指数や消費者財務状況認識指数のように、住宅バブル(リーマンショック前)やITバブル期のピークに近づいたり、それをこえるような指数が増えてきているのは気になるところである。

 これがニューノーマルの始まりを告げるものなのか、景気のピークアウトが近いことを告げるものなのか今のところは判断できない。

 ただ、こうした景況感指数がピークアウトしてーしばしばー急落するとそのあとに景気後退が続くことが多い。

 景況感指数の動向に注意したい。


日米貿易協議: 自動車高関税か二国間協議かの2者択一

2018年09月26日 | 日記

 日本政府はしばらく前までTPPに復帰するよう米国を説得すると言っていたが、いつのまにか二国間協議を前提にどう落としどころを探るかという話にかわっている。

 フィナンシャルタイムズはその背景として、日本政府がアメリカから自動車高関税か二国間協議を始めるか二者択一をつきつけられていると報じている。

 もちろん、日本政府としては二国間協議を受け入れるしか選択肢はないだろう。今回の日米協議で、二国間協議に向けてどのような話し合いがおこなわれるか注目される。

 なお、同紙は、ライトハイザー氏の現在の主要関心は中国で日本は大きなターゲットになっていないが、トランプ大統領は日本との貿易不均衡を現在も大きな問題だととらえていると述べている。

 アメリカが貿易をめぐりカナダ、中国と緊迫した関係を続ける中、これから日本との貿易協議がどの程度の優先度をもって進んでいくのか注目される。


スウェーデン、中道左派連合の首班指名が難航

2018年09月25日 | 日記

 2018年9月23日(日)ブルームバーグは、スウェーデンで中道左派連合による首班指名が難航し、中道右派連合による首班指名の可能性がでてきたと報じた。

 先日の選挙で中道左派連合は1議席差で中道右派連合を上回ったが、過半数は大きく下回った。こうしたなか、中道右派連合と反移民のスウェーデン民主党は、現在首相をつとめる社民党のステファン・ローベン氏の首班再指名に反対。同氏の首相再指名が困難になった。

 スウェーデン民主党は中道右派連合への支持を明確にしているため、同党の支持をうけて中道右派連合が首班を選ぶ(過半数の票を得る)可能性がでてきた。

 ただし中道右派連合を組むリベラル党と中道党は、スウェーデン民主党との協力を強く拒否している。こうしたことから、ブルームバーグは、中道左派連合が両党を取り込もうと努力しているが、今のところはうまくいっていないとしている。

 スウェーデンの首相が決まるにはまだしばらく時間がかかるとみられる。なおヨーロッパでは首班指名に時間がかかることが多いため、今回のことは欧州では今のところあまり不安視されていない。

追記 

 2018年9月25日、社民党のローベン氏の首相続投を問う信任投票がおこなわれ、204対142で不信任が可決された。

関連ブログ

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2018/9/1 9月9日はスウェーデンの総選挙:反移民政党の伸長に世界の注目が集まる