大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

VWチャタヌーガ工場の組合承認選挙でUAWが手痛い敗北

2014年02月26日 | 日記

 VWのチャタヌーガ工場(テネシー)で2014年2月12日(水)から14日(金)にかけて、UAW(全米自動車労組)を承認するかどうかを問う組合承認選挙があった。結果は否認712票、承認626票でUAWが否認された。

 アメリカの組合承認選挙では徹底的に反組合キャンペーンをはる企業が多い中、今回の選挙でVWは中立の立場を表明していた。このため選挙前にはUAW勝利を予想するメディアが少なくなかった。しかし選挙間際、共和党の国会議員、州議会議員から組合が承認された場合、近い将来に予定されている工場拡張に一切の公的助成をおこなわないなどの強硬な発言が繰り返され情勢が大きく変わったようだ。VWが工場拡張(雇用拡大)の決定を選挙後に持ち越していたことも、選挙結果に一定の影響があったと思われる。 

 現在、UAWは政治家による不当な介入で選挙の自由が侵害されたと選挙の無効を訴えているが、これが認められる可能性はおそらくほとんどないであろう(政治家の「発言」をアメリカの司法、行政が違法と判断するとは考えにくい)。組合員の減少が続くUAWにとって、今回は手痛い敗北だった。


GAPが従業員の最低賃金を10ドルに引き上げ

2014年02月23日 | 日記

 米メディアによると、アパレル大手GAPは、従業員の最低賃金を今年6月に9ドル(918円:1ドル=102円で計算)、2015年中に10ドル(1020円)に引き上げることを決定した。これにより9万人いる従業員のうち6万5千人の給与が引き上げられることになる(現在のところ6万5千人は時給1020円未満で働いているということでもある)。

 また先日、オバマ大統領は、連邦の契約企業の最低賃金を10ドル10セント(1030円)に引き上げた。

 現在、アメリカでは全国の最低賃金を10ドル10セントに引き上げることを巡って議論が活発になってきている。GAPの動きも、そうした動きの中で理解する必要があるだろう。

 なおGAPは、従業員の最低賃金の引き上げによる雇用の減少はなく、労働条件についても(引き下げ方向での)見直しはないとしている。

 

(2014年3月1日追記)

 2014年2月26日(水)、オバマ大統領は、GAPが従業員の最低賃金を引き上げたことを称賛するステートメントを発表した。