大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

ドイツの労働組合、8%の賃上げと週28時間労働を求めて24時間ストライキに突入

2018年01月31日 | 日記

 2018年1月31日(水)、ドイツ最大の労働組合IGメタルは24時間の警告ストライキに突入した。

 IGメタルは、27か月で8%の賃上げとともに、子供や老親の世話をする場合に週の労働時間を通常の35時間から28時間に減らすことを要求している(ちなみにIGメタルは1984年には7週間のストライキをおこない、週の労働時間の40時間から35時間への短縮を実現している)。

 経営者団体は組合に対し6.8%の賃上げを提示するとともに、時短については受け入れ拒否の姿勢を示している。

 ドイツではほぼ1年ごとに16州すべてで、産別組合と経営者団体が労使交渉をおこない、同一産業に属するすべての企業に適用される賃金や労働条件を決めている。

2018/2/6追記

 ドイツ最大の労組IGメタル、子育て・介護中の週28時間労働を勝ち取る


米両院、暫定予算案を可決

2018年01月23日 | 日記

 2018年1月22日(月)、米両院は2月8日(木)までの暫定予算案を可決した。これにより連邦政府機関は通常にもどることになる。

 マコネル共和党上院院内総務(上院共和党トップ)は、ドリーマーと呼ばれる子供のときにアメリカに来た不法移民の方々の米滞在を保証する法案の採択を今後数週間のうちにおこなうことを約束し、民主党の賛成を得た。

 ただマコネル氏は、下院での法案成立までも約束したものではなく、民主党内にはドリーマーにかんする法案成立を危ぶむ意見も残っている。


米政府閉鎖の背景と今後

2018年01月21日 | 日記

 2018年1月19日(金)、米上院は暫定予算案を可決することができず、1月20日(土)から連邦政府機関は軍、国境警備、航空管制、空港荷物検査など一部保安機関を除き休業に入った(日本の空港の荷物検査は民間がおこなっているが、アメリカでは連邦政府職員がおこなっている)。

 焦点は2012年にオバマ大統領がはじめたDACA(ダカ)と呼ばれる政策。

<DACAとは>

 (親に連れられたりして)16歳未満のときに不法にアメリカに入国した子供で、2012年6月15日時点(DACAの政策が発表された日)まで引き続きアメリカで生活している方が対象(ほかにも大きな犯罪をおかしていないなどいくつか条件がある)。

 申請をして認められると2年間、強制退去から逃れることができ、また合法的に就労することが認められる(2年ごとに延長可)。

 現在、およそ80万人がこの仕組みを利用しており、かれらはドリーマーDreamersと呼ばれている。

<トランプ大統領によるDACAの終了>

 しかしながら、2017年9月5日(火)、トランプ大統領は2018年3月5日(月)から段階的にDACAを終了すると決定した。

 正確には、2018年3月5日以前にDACAの期間が切れる人は一度だけ2年間の延長を受けることができるが、2018年3月6日(火)以降にDACAの期間が切れる人は、その時点でそれまでの権利を失うことになる-つまり強制送還の対象になる。

 トランプ大統領はDACAを中止する理由として、DACAが議会の立法でなく、オバマ政権の政策としておこなわれ、その正当性が裁判で問われていることを挙げたうえで、議会が必要と考えるなら6か月以内(DACA終了前)にあらたな立法をおこなうよう求めた。

 しかし、共和党は基本的にDACAへの反対議員が多く、オバマ政権下では何度もDACAの法律を廃案に追い込んでいる(だからオバマ大統領は、政策としてDACAをおこなう道をとらざるをえなかった)。こうした共和党の立場は、大統領がかわったからといって、急に変わるものではない。

 当然のことながら、オバマケア改廃や税制改革など他の課題が優先され、超党派によるDACAの立法化は今日まで実現していない。その結果、あと1か月ちょっとで強制退去者が出始めるという差し迫った情勢が生まれている。

 こうした中おこなわれたのが、今回の暫定予算案の採択であった。 

 ドリーマーの強制送還を止めたい民主党は、DACAの延長などがなければたとえ連邦政府が閉鎖されても暫定予算を通さないという道を選んだ。

<今後>

 親に連れてこられた子供に責任はないと考える人が多いのか、世論調査では圧倒的な大多数がDACAを支持している。

 たとえばCBSの世論調査では87%、約9割がDACAを支持している。

 共和党支持者にもDACA支持は多い(同調査では共和党支持者の79%がDACAを支持)。

 ただ、民主党がDACAのために政府閉鎖という手段をとったことについては意見は分かれている

 CNNの世論調査では、56%が政府閉鎖は避けるべきだと答えている。

 共和党が問題の早期解決をはかるため妥協に動くのか、政府閉鎖に対する批判が増して民主党が妥協を余儀なくされるのか、今後のなりゆきを見守りたい。

2018/1/23(火)追記

 米両院、暫定予算案を採択


女城主がいた町

2018年01月17日 | 日記

 先日、女城主がいたという岩村町(岐阜)を訪れた。町家が想像をこえて長く続いていて少し驚いた。

 町家のなかに岩村醸造があり、蔵の一部をのぞくことができる。

 その中庭で、灯ろうと椿の枝が凍っていてびっくり。つぼみが氷漬けになっている・・・。 

 こうした寒い日、あざやかな南天を見るとほっとする。

 


ウォルマートが最低賃金を11ドル(1210円)に引き上げ

2018年01月12日 | 日記

 2018年1月11日(木)、米小売り最大手のウォルマートは、労働者の最低賃金を今年の2月から11ドル(1210円:1ドル=110円)に引き上げると発表した。

 ウォルマートはアメリカ最大の雇用者。アメリカだけで150万人の労働者を雇用している。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(2018/1/11)は、今回の賃上げにより労働者の平均賃金は13.85ドル(1520円)から14.5ドル(1590円)に上昇するとしている。

 アメリカでは小売業などで労働者不足が深刻化しており、米ディスカウントストア2位のターゲットも昨年10月に労働者の最低賃金を11ドル(1210円)に引き上げるだけでなく、さらに3年以内に15ドル(1650円)に引き上げることを予定している(WSJ)。

 なおウォルマートは今回の発表と同時に、アメリカに約660店舗を展開する会員制の小売サムズ・クラブの10%を閉鎖すると発表した。閉鎖による人員減は1万人程度とみられている。一部メディアは、電子商取引関連の施設などへの改編が計画されているとしている。

 アメリカの小売業では、シアーズなど電子化に乗り遅れ業績が大幅に悪化する企業と、ウォルマートやターゲットなど電子商取引の開拓を積極的におこない業績の改善につなげている企業とに分極化が進んでいる。