昨日引用させて頂きましたブログの件につきまして、ご縁を頂きましたお医者様よりコメントを頂きました。
引用させて頂いたブログの内容についてどのように思われるかということ、
福島原発の現状踏まえて考えうる状況等についてお伺いさせて頂きました。
ご参照ください。
なお、■マーク及びその見出しはこちらでつけさせて頂きました
○○さま、貴重なご意見ありがとうございました。
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■引用したブログについて
ブログを拝見しましたが、医師の目から見ると、とても本物には見えません。
まず、血液成分などの組織に対する顕微鏡写真の場合、その「染色法」が必ず明記さ
れるはずですが、その記載がありません。また、発光染色法を用いれば、特定の組織
を光らせることも出来ます。
血球成分が破壊される被曝量は500mSv以上と言われており、現状では原子力発電所か
ら半径3km位の所に無防備に生活しない限り無理な放射線量でしょう。現在の半径
20-30kmの避難地域であれば2年近くかかると思います。
そもそも、このブログの主が主張する「放射線に対する治療」とは何を指しているの
でしょうか?現段階では放射線障害に対する治療法は見つかっておりません。幹細胞
移植などが将来的には期待されていますが、現状では困難です。また、放射線障害に
おける最大の問題点とは、細胞核のDNA二重鎖が分断されることであり、それについ
ては電子顕微鏡でなければ観察することは出来ません。
■福島事故への対応、放射線の影響について
ただ、私は福島第一原子力発電所から半径80km以内に居住することは、余程の事情が
無い限り避けるべきかと存じます。広島と長崎は爆発の一瞬、スリーマイルは数日以
内、チェルノブイリは10日間放射能を大量に出して終わりましたが、福島は既に2カ
月以上尋常な量ではない放射能を出し続けています。今までの放射能汚染事情とは異
なると考えています。
今後、放射性ヨウ素131、セシウム137、そしてストロンチウム90を呼吸及び経口摂取
することによる内部被曝の影響が長期間かけてじわじわと出てくると思います。
次に人から人への放射線汚染はあるのかどうかということですが、正直なところよく
わからないです。ただ、国立放射線総合医学研究所(千葉市)の医師や看護婦は急性
放射線障害患者の治療の際に放射線防護服を着用しています。
私見ですが、肺胞内にセシウム137が蓄積した場合に、呼気から放射線が出る可能性
が多少でもあると思います。
■医学をマスターすることについて
私は医学生時代、放射線医学と原子物理学があまり得意ではありませんでしたが、今
回の一連の事故で再学習しました。
このブログの主に言いたいことは、西洋医学にしても東洋医学にしても長い時間をか
けて大量の知識を得ないと医療を行うことは難しいということです。西洋医学であれ
ば、解剖学、生化学、そして生理学という三大基礎医学を2年間かけて徹底的に丸暗
記し、そこからようやく微生物学や薬理学、病理学等の臨床基礎医学を勉強し、これ
らを元に内科や外科等の臨床医学を勉強します。そして医学全般を勉強するために
は、数学、物理学、化学、そして生物学の基礎が無ければまったく理解することがで
きません。私は、6年間の医学生時代の勉強量がとてつもなく膨大なものであった事
が今更ながら気付いた次第です。東洋医学も膨大な学習量が求められます。
私は民間療法家を全否定するつもりはありませんが、果たして彼らが批判する医師と
同じ位の勉強をしてきたのかどうかについては疑問に思います。
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