懲りもせずカメラを担いでキース・ヘリング散歩、彼の本拠地ビレッジへ。
かすかな記憶に残っていたハウストン・ストリートとFDRハイウェイにあった壁画もボーイズ・クラブの壁画も数多く描かれたと言われるアベニュー・Dのキャンディー・ストアもみんなきれいに無くなっている。
西十三丁目のレズビアン&ゲイ・コミュニティセンターにたどり着いた。
受付にはいかにもそれ風の黒人のお兄(姉)さまが座っている。
「あのー、ちょっと聞きたいんですけど。」
「ハーイ、いらっしゃーい。なーに?」
「キース・へリングの絵を探しているんですが・・・。」
「ハイハイ、あれね、二階にあるわよー。205号室ね。」
「勝手に入っていいんですか?」
「あなたいいわよー、さあさどうぞー。」
週末のセンターはあっち系の方々で賑やかだ。部屋はすぐに見つかった。ドアに“Keith Haring Room”とある。以前バス・ルームででもあったのか、小さなタイルばりの部屋は、壁の上半分が絵で埋められている。子供向けの絵と違って、ここのはハードだ。ポ×チ×だらけ。ド迫力にしばし唖然と眺めていたら、さっきのお兄(姉)さまがドアから覗いた。
「あら、ちゃんと見つけたわね。よろしい、よろしい。楽しんでねー。」
壁のタイルには「この部屋を出る前に手を洗いましょう。」というサインがはめ込まれていた。