空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

生身の女性にとって不快な視線を廃絶するには,生身の女に声掛けする男たちを廃絶する必要がある

2018-10-28 18:13:35 | ノート


 疑問点としては伝統的というか典型的なものであり、それだけならまあいいんですが。
 なお経済状況なんかも関与する条件として考慮に入れること。体力の問題に気付きゆくこととの関係も問題ですね。「板額御前になりたい!」と思っても、そうまでの体力もなさそうだなあとか自覚する、なんてこと。

 さて



 しゃべるのは自由だがなあ。
 その理屈を押し通すのなら,逆側の「リア充消えてください」も同様に通らないとおかしいことになる。そんなお気持ち原理主義を、まああまり学者的には展開すべきではないのではないかなあとか。



 さて,「というか,外国人女性にちゃらちゃらナンパの声をかけるような連中って,萌えキャラとかと対極の位置にいませんか?」という尤もな疑問もあり,本気で「知らんがな」「風評被害だ」と言う話になる。

 それぞれ別個の領域だったりする複合的な問題なのであって,まあオタクキモ男をいびればいいんだろ的な水準だと単に炎上するだけだろうなあと。

・「女の子の見え方」問題:とくに少女向けアニメで描かれる少女像は,その時代のそれなりの”フツー”を反映するものなので,これ自体はそう問題ではない。
 →”女らしさ”の形成の一要素ではあり,それは当然,男性の目を一定程度前提とするが,それだけで形成されるものでもない。この”女らしさ”の表象は,まあ一部性的に捉える向きはあろうが,絶無にすることは原理上できないだろう。甘受するほかない。
 →敢えて”ジェンダー論的に完全に非性的な女性像”を作ろうとしても,どっちみちそれは新たに性的な意味を持つ他にない。その”非性的”な姿に包まれて育っていく女の子たちとともにいま現に育ちつつある同世代の男の子たちがどういう感情を持つか,考えてみるといい。

関連:「そりゃ世代的・背景となる文化ごとに違う見方をするし、その「常識」は変化してゆく(2018-10-27)」

・(上掲「関連」引用で述べられている通り)アニメキャラが二次的・三次的に性的サービス提供のアイコンとして流用された結果,その元ネタを知らぬ人にはその当のアニメキャラが性的サービスを意味する専用のアイコンに見えることがある。
 →ということで,”生身の女に声をかけ,生身の女を消費する””生身の女を買う”男たちをアニメ絵でもって想起する―という観念の連想はありえることである。
 しかし
 →そのアニメキャラ・萌え絵は,女性売春用に生み出されたものでは(しばしば)ない。
 →そのアニメキャラ・萌え絵を通じて感じられる”生身の女を消費する”男の視線は,既に岩渕氏が述べているように,現実の女にアクションをかける男たちである。
 従って,生身の女性にとって不快な視線を廃絶するには,そうした生身の女に声掛けする男たちを廃絶する必要がでてくる。

 ところが,現実には,生身の女に声掛けする男こそ生身の女にとっての”彼氏””生涯の伴侶”だったりするのである。
 なにしろ,アニメキャラ自体に視線を向けるキモオタというのは,つまり生身の女に視線を向けず,生身の女に資源を使わない傾向にある。生身の女の役に立たない,生身の女のためにならない。生身の女にとって役に立つのは,あくまで生身の女に声掛けする男であって,これを廃絶すると生身の(基本的には異性愛者と想定するが)女の方が困る。

 そんなわけで,キモイ,いやな視線の根源として再設定されるのはキモオタである。これなら死んでも消えても,生身の男を相手にする生身の女に危害も不利も損害もない。少数派でもあり,社会的に殺害してもまあさほどの数量でもない。なので,生身の男女が生身の男女と宜しくする際,自分たちに不快な性的な視線をむけてくる=”二人の世界”を邪魔する不快な存在として,そもそも自分たちの世界の中に存在しないキモオタのイメージを利用するわけなのだ。

 現実にはアッシー君未満の”どうでもいい奴”で,それはしばしば現実にキモオタあたりと一致してもいただろうけど。

 このゆがみを意識せず,またアニメ絵キャラが諸種存在する多様性に気付かず,まあいろんなひとがいろんな藪を突っついて藪蛇の山を生み出したらしい昨今である。

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8 コメント

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Unknown ()
2018-10-28 20:19:05
> 「見られる対象」として描かれた少女像を繰り返し見せられることが少年・少女の自我形成、心理的発達、自尊心にどういう影響を与えるか

「少年・少女」とひとくくりにする理由はどこか。
極最初期はおなじものを、つまり「しまじろう」などを見るにせよ、4-5歳あたりから男女の見るものはべつべつになるように仕組まれている。
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2 ()
2018-10-28 20:24:13
でまあ、プリキュアの姿は、特段「男の欲望のために形成されたもの」ではないというのは当然のこととして、ではプリキュアの情報の物量について、方向性について考慮すべき点がある。

幼少時の精神生活には圧倒的であること
は当然の前提とされよう。しかし次に、
あれは女性 だ け が活躍するアニメだ―と断言してもよいのではないか。「ああなりたい、格好よいお姉さん」像を提供するものなのだ。あんなふうに活躍したい、と思わせるものなのだ。

で、プリキュアは世界を救う。
その救済事業で、男の仕事はまあないものと考えられる。なにしろ男が重要な任務をになったら英雄としてのプリキュアが存在しえなくなる。

その世界で、男はむしろ無力なのだ。
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Unknown ()
2018-10-28 20:26:57
> 「見られる対象」として描かれた少女像を繰り返し見せられる

さて、この「繰り返し」とはどういうことかと考えてみればいい。
「私は4歳から、20歳の今年に至るまで、プリキュアを欠かさず見ています」という女子は―はたしてどれだけ居るだろうか。決定的に少数派であるのは調査以前のことだろう。

してみると

> 「見られる対象」として描かれた少女像を繰り返し見せられる

コトのためには、そうだな、小学校中学年あたりからアニメを離れ始め、そこから「繰り返し」見るものの影響を考えるべきだろう。

ぶっちゃけAKBとかだろそれ。
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4 ()
2018-10-28 20:31:02
従って―
―最近のタイプのディズニーアニメを4-5歳ころにみて、「プリンセスになる!」(※ラプンツェルとかポカホンタスのような)と独立自尊、まあ私を振り向かせたいなら、ちったあ男を見せることだな?というような風になったかもしれない女の子たちは

小学校3-4年生ないしそれ以上になると、それこそ「繰り返し」(プリキュア世代は4歳から小2までとして5年;小2から小6まででも5年)、AKB48などで「カワイイ女の子」像を”すりこまれ”―

ーそして「卒業」して、イケメン俳優と結婚していくことになるわけだ。
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5 ()
2018-10-28 20:35:07
ではこの際、
1) プリキュア時代とそれ以降の時代の「繰り返し」の回数差はどうか、
2) それらの物神的な支配力の差はどうか―日常世界を深く、高度に支配しうるのはどちらか、どの程度か
と考えると、影響力の強さでどっちに軍配をあげるべきか、明らかなように思うのだが。
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6 ()
2018-10-28 20:38:32
というか、夢のまま突っ走って世界を救済する英雄になるプリキュアと、
(相当部分が早期に)引退して”フツーの女の子”になるAKBのアイドルたちと、

どちらが女の子たちの(大それた)夢と希望とになりえるのか、現実を突きつけるのはどちらか―となると

…AKBにこそ、『もっと政治的に正しい女性になりなさい』と説教すべきということになりそう。というか、彼女たちが”そぅ”してくれれば、実際にえらいこと影響力がありそう。
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7 ()
2018-10-28 20:44:29
であればこそ、AKBのアイドルに憲法を学んでもらおう、という企画が成立し、ペイするのであり(「AKB 憲法」でgoogle検索441,000件くらい)、
他方「プリキュア 憲法」(同、228,000件くらい)でみるとプリキュアが憲法を教えてくれる企画はないらしいあたり、また

> プリキュアと平和憲法: きっこのブログ
> kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2013/05/post-6578.html
> 2013/05/08

なんてのがある辺り、プリキュア自体ではなく、プリキュアを己が欲望のためにイメージ操作する大人のほうが問題なんじゃね?という気がさらにしてくる。
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8 ()
2018-10-28 20:46:17
なお本家様が引っかかってきて、「なんだこれ」とおもったら
> 朝日放送テレビ|ドキドキ!プリキュア|キャラクター|プリキュア
> https://www.asahi.co.jp/dokidoki_precure/character/
> ABC朝日放送テレビ 『ドキドキ!プリキュア』番組公式サイトです。プリキュアやパートナーの妖精たち、敵のジコチューなどキャラクター情報はこちら! ... うえにもどる.
> 【使用上の注意】ページ上の画像は、著作憲法の定め
とあり、誤字したままアップロードして、そのままgoogleに拾われちゃったらしいことがわかってかわいい(※現時点で誤字はなおっている)
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