竹島クラフトセンターは閉まったままの2ヶ月
初春から初夏も終わり梅雨に入ろうかという期間を
彼女は仕事部屋で過ごす。
そこは時間が止まったままの仕事部屋
機を織る音に張りはなく
ただ織る音だけの静かな毎日が続く
彼女はここに閉じ籠り
修験者のように糸一本を凝視する
世紀のウイルス病を恐れて
世から逃れるようにただ機を織る
織る糸はウイルス病の抗体を持つアルパカの糸だ
せめてこの糸を纏ってウイルスから身を守ろうか、
太古の病を恐れる人々と同じように現代人の私も
人間の思い上がりを戒めるが如き神の荒技に恐れ慄くのだ