有言実行三姉妹シュシュトリアンの24年越しの追っかけ視聴。1993年6月6日放送の第22話は「妖怪おやじ虫 若返りの秘宝」です。
杖を手に、巨大なリュックを背負い、どこぞの山中をさまようフライドチキン男。何かを求めて、洞窟に入ろうとしているようです。洞窟の入り口には注連縄が張られ、「とっても危険、立ち入り禁止」という立て札も立てられていますが、それを無視して奥へと入っていきます。いかにもやばそうな雰囲気ですね。
洞窟の奥には、小さな祠が建てられています。蜘蛛の巣を払い、祠の中から箱を取り出すと、中には巻物が収められていました。
その巻物には、その昔、江戸の町に妖怪・おやじ虫が出現したときのことが記されています。それによれば、妖怪・おやじ虫は江戸の若い娘たちにセクハラまがいの無体のし放題。しかしそれは江戸時代のシュシュトリアンの知るところとなり、激闘の末、朱修堂の祠に封じ込められてしまったのです。そしてそのとき、おやじ虫の元気の基である若返りの薬も一緒に埋められたのです。
この江戸のシュシュトリアン対おやじ虫のシーン、モノクロになり、サイレント映画みたいに台詞が映像の合間に字幕として挟み込まれるなど、時代劇っぽい演出が面白いですね。江戸時代のシュシュトリアンは現代のシュシュトリアンとは別の女優さんが演じています。詳細は不明ですけどスタントの方みたいで、やっぱり体格がたくましく、現代のシュシュトリアンよりも強そうです。江戸時代のお酉様って、現代のお酉様と同じ人物なんですかね。
フライドチキン男の目的は、妖怪・おやじ虫と一緒に埋められたという若返りの薬の方。この薬をドリンク剤にして大儲けしようというのです。
しかし、つるはしで祠の下を掘り返しているうちに、何やら嫌な音がしました。勢い余って、若返りの薬が入っていた壷を割ってしまったのです。他の場所にも埋まっていないかと、別なところを掘り返そうとするのですが、そのときにうっかり祠にぶつかり倒してしまいました。すると祠の中から、煙と共に封じられていた妖怪・おやじ虫が現れます。
「いやー、さすがに216年ぶりの娑婆の空気はうまい」と、首の骨をならしながらのん気に伸びをするおやじ虫ですが、若返りの薬が割れてしまっていることに気付いて態度を一変。近くにいたフライドチキン男を締め上げます。フライドチキン男も、我が身可愛さから、おやじ虫に許しを請うため、おやじ虫の手先となることを誓ってしまうのでありました。ほんとにこいつ、どうしようもないなぁ。
所変わって、山吹家の朝の風景。恵と三姉妹が食事をしているところにパジャマ姿の英三郎がゆっくり現れると、いきなりおならを一発。英三郎は「今日は快調だ、快調」と笑い飛ばしていますが、オヤジ丸出しの様子に女性陣からは大顰蹙です。
しかしここで月子が、もし英三郎を若返らせたらお小遣いをあげてもらえないかと言い出しました。もしそんなことが可能なら、願ったり、叶ったり。この提案に、恵も乗り気です。
早速三姉妹は、英三郎のオヤジ度をチェック。新聞を読みながらご飯を食べるとか、傘でゴルフの素振りをするとか、スタイルの良い女性の後姿を追ってしまうとか。チェックの魔の手は、しまいには風呂場での様子にまで及びます。うーん、まあチェックするのはいいとして、問題はそれを改善できるかどうかなんですけどねぇ。
そんな三姉妹にうんざりしている英三郎。タバコを吸い、ぼやきながら、ベンチに腰を下ろします。しかし、そんな英三郎に近づくのが、誰あろう、妖怪・おやじ虫です。背後から忍び寄ると、英三郎に乗り移り、身体の自由を奪ってしまいます。
おやじ虫に操られた英三郎は、近くに座っていた女性の肩をいきなり揉み始めます。女性は当然激怒して、英三郎に平手打ちをかますと立ち去ってしまいました。
しかしおやじ虫のいたずらはこんなことでは収まりません。今度は別の女性にターゲットを移すと、またもや背後から肩を抱き、「お姉ちゃん、今夜、どう? 空いてる? 攻撃~」と、ナンパするだけに留まらず、お尻を揉むという明確な痴漢行為にまで及んでしまいます。この女性からも平手打ちを喰らってしまいますが……。現職警官なだけに、通報されなかっただけマシだったかもしれませんね。
「見てはいけないものを見てしまった感じ……」
さらに悪いことに、その様子を雪子がバッチリと目撃していました。これは辛い。父娘、共に辛い……。
その頃、フライドチキン男は養鶏場にいました。何を聞いていたのかは不明ですが、大勢のニワトリに聞き込みをしているようです。ただし、有益な情報は得られなかったようですね。どうやら、フライドチキン男が赤ん坊の頃の話のようですが……。
そこへ現れる、妖怪・おやじ虫。おやじ虫はフライドチキン男に、若返りの秘薬を作り直すために、材料を集めてくるよう命じていたようですね。
しかしこのおやじ虫、フライドチキン男のうさん臭さ、信用の置けなさはばっちり見抜いているようです。ただの変態おやじかと思いきや、意外と頭も切れるみたいですね。おやじ虫を演じる三角八郎の重厚な演技もあって、やってることはセクハラ親父なのに、かなり大物っぽい雰囲気を湛えているんですよね。時代劇で言えば、藩主を傀儡化して意のままに操る悪家老クラスの風格です。
場面変わって山吹家。三姉妹が調べ上げたところ、英三郎のオヤジ度は99%。チェックリストのほとんどが埋まってしまっています。これは若返らせてお小遣いアップしてもらうのも、なかなか難しそうです。チェックリストの中で唯一チェックされなかった項目があるのですが、「どう見て……」と、文章の頭の部分しか確認できませんでした。一体、どんな項目だったんだろう?
そんなとき、花子が2階から降りてきて、ベランダに干していたハンカチがなくなったと訴えてきました。もっとも、雪子も月子も心当たりはないようです。花子は誰かに取られてしまったのかもしれないと疑っています。お気に入りだったのに~。
また場面が変わり、夜、月子が一人で歩いています。手に持った紙袋の中には、買ってきたドーナツが。おなかもすいたことだし、早く帰って食べようなんていっていますが、ちょっと話のつながりがおかしくない?
月子が家に近づいていくと、フライドチキン男が山吹家の門扉を乗り越えようとしているところに出くわしてしまいました。月子が慌てて身を隠すと、フライドチキン男は靴を手にして、こっそりと立ち去っていきます。フライドチキン男が持っていったのは、雪子の靴です。さっきの花子のハンカチと合わせて、これが若返りの薬の材料になるんですかね。
怪しんだ月子が後をつけていくと、フライドチキン男は工場のような建物へと入っていきました。しかし、フライドチキン男は謎の力でシャッターを通り抜けてしまったので、それ以上後をつけることができません。
そこで役に立つのが、忘れた頃に現れるシュシュトリアンの便利グッズです。月子はシュシュリップを取り出すと、唇にひと塗り。シュシュリップの力でピンク色の装束に身を包んだくのいちに変身すると、ジャンプして開いていた2階の窓から侵入することに成功しました。
シュシュリップには変身させる力があり、第3話「蜂妖怪・ザ・不幸」では、不幸なおじさんが食べようとしていたトラフグをカワハギに変えています。まあ、どっちも変身と言えば変身だけど、3話ではリップで空中に文字を書いてそれをトラフグに振り掛ける感じだったし、今回の使い方とはまるっきり別物だよね。
建物の中では、おやじ虫とフライドチキン男がなにやら密談しています。若返りの秘薬は、江戸時代のシュシュトリアンの手ぬぐいと、下駄と、腰巻を煎じて作ったものだったのです。それを現代のシュシュトリアンで作るために、花子のハンケチと、雪子のローファーを盗み出していたわけです。残るは月子の腰巻なのですが……。肌につけているものなら何でもいいそうなので、何かしら下着とかが狙われちゃうんですかねぇ……。ハンケチと靴の時点で既に窃盗罪ですけど、さらに犯罪レベルが上がっちゃいますねぇ。
しかしここで、月子がうっかり物音を立ててしまいました。それを察知したおやじ虫は小刀を投擲します。フライドチキン男が様子を見に行くと、小刀は月子が持っていたドーナツに突き刺さっていました。ドーナツ、こんな使い方なのかよ!
最後の一品を手に入れるため、フライドチキン男は月子の部屋へと忍び込みます。辺りを伺いながら箪笥を開け、パンツを手にとってほくそ笑むフライドチキン男でしたが、そこでいきなり明かりが点灯。フライドチキン男を三姉妹がにらみつけます。まあ、計画バレバレですしね。
手にした下着をズボンに挟み込むと、「お邪魔しました」としれっと立ち去ろうとするフライドチキン男ですが、もちろんむざむざと逃がすはずもありません。
しかし月子、自分の下着をフライドチキン男にむんずと掴まれているのに、妙に落ち着いていますね。かなり気持ち悪いと思うんですけど。囮のために、新品の下着でも用意していたんですかね。
フライドチキン男を問い詰めると、フライドチキン男は涙ながらに語り始めました。
「実は、育ての母を捜しているんです」
フライドチキン男の育ての母は、お酉様からフライドチキン男を預かり、物心つくまで育ててくれたのですが、生き別れになってしまっていたのです。おやじ虫の手先になってハンケチやローファーを盗んだのも、すべて育ての母を捜す資金を稼ぐためだったのです!
回想シーンでは、古い民家の軒先で、籠に入った子供のフライドチキン男が、庭で洗濯物を干す女性を笑いながら見つめているのですが、結局、どういう出生なんだろう? 第20話「原料魔がゆく!」では、フライドチキン男の原料はフライドチキンだったんだけど……。子供の頃から一応、人間のようなナリをしてはいるんですよね。しかも、お酉様の世話で育ての母をあてがわれている。お酉様がフライドチキンを原料としてフライドチキン男を作り、育ての母に育てさせたとか、そんな感じなんですかね。前回の次回予告では、「今明かされる、フライドチキン男出生の秘密」とか言っていましたけど、結局わかったような、わからないような……。
おやじ虫の前に現れたフライドチキン男は、三方にハンケチ、ローファー、下着を乗せて差し出します。ハンケチとローファーはともかく、下着は妙にてんこ盛りになっていますね。まあ、作戦なんでしょうけど、月子も自分の下着をここまで大胆に提供しなくてもいいのにね。やっぱりフェイクの下着なのかなぁ。それはそれで金かかりそうだしなぁ。そう言えば、ローファーをなくした雪子も地味に困っちゃうような。
それはさておき、秘薬を作るために、早速材料を火にかけられた大鍋に投入していきます。大きな柄杓を手にして、嬉々として撹拌するフライドチキン男とおやじ虫。ずいぶん楽しそうだなぁ。
頃合を見て、おやじ虫が味見をします。できるだけ味の濃そうなところを選んで柄杓でががぶがぶ飲んでいきますが、おやじ虫は顔色を変えます。
「なんだこれは!? 貴様、何か異物をいれたな?」
おやじ虫がフライドチキン男の胸倉を掴んだところで、シュシュトリアンの登場です。
「乙女盛りに命をかけて」
「風に逆らう三姉妹」
「花と散ろうか、咲かせよか」
「「「有言実行三姉妹、シュシュトリアン!」」」
平成のシュシュトリアンの登場に、驚きを隠せないおやじ虫。さらに雪子から、衝撃の事実が告げられます。
「今煎じて飲んだ下着の中に、オヤジ度数99%の山吹英三郎のトランクスが混じっていたとは気がつかなかったでしょう」
おおう、これは辛い。でも、変態目線ならともかく、一般人目線で冷静に考えると、一番キツいのはむしろ雪子のローファーの方のような気が。いや、やっぱり英三郎のトランクスの方かな? どうかな?
「古人、曰く『年寄りの冷水』」
いつもは別枠で解説するフライドチキン男ですが、今回はこの場に居合わせているので、そのまま諺の解説を始めます。まあ、有名な諺ですし、今回のエピソードとの関連もわかりやすい。おやじ虫にも「わかっとらぁ、そんなこと」と一喝されてしまいます。
もう江戸時代でもないんだし、セクハラなんか止めて、歳相応に知性をつけて、詫びさびの境地に入るよう勧めますが、もちろんそんな小言を聞き入れるようなおやじ虫ではありません。なにやら怪しげな術を使い、新宿の駅員さんと駅ホームのゴミ箱を出現させると、「駅のゴミ箱からスポーツ新聞、週刊誌漁る攻撃」を仕掛けます。スポーツ新聞や週刊誌を投げつけるだけなんですけど、なぜかシュシュトリアンは苦しんでいます。なんなんだ、それー!
さらに、手に持っていた扇子をジュリ扇(これも大概古いな……)に変化させると、「必殺オヤジ言葉攻撃」を仕掛けてきます。
「ヘイ、ベイビー。今夜は最高だぜ! みんな、乗っているかい? ナウいヤングも、フィーバー、フィーバー!」
ジュリ扇を振り回しながらの言葉攻めに、シュシュトリアンも耳を塞いで逃げ惑うばかりです。えーと、あのー、確かにこれらは当時でも死語だったかも知れませんけど、216年間も封じられていたおやじ虫が、なんで知ってるの?
おやじ虫のオヤジ言葉が恥ずかしすぎて、体が動かないシュシュトリアン。そんなシュシュトリアンに近づいていくおやじ虫ですが、そこへ颯爽とフライドチキン男が現れ、おやじ虫を羽交い絞めにします。おお、珍しく役に立っている!
「オヤジなんかより、シュシュトリアンの方がいいもん!」という叫びも、まったくもってその通り。そりゃそうだよね。
しかしここで、おやじ虫が衝撃的な言葉を発します。
「俺に手を出すと、お前の育ての母の命はないぞ」
妖怪を1000年もやっていると、あっちゃこっちゃにコネがあるそうで、フライドチキン男の育ての母は、既におやじ虫の手に落ちてしまっていたのです。やっぱりすごいな、おやじ虫。現代のオヤジ言葉も、このネットワークで調べたんですかね。
おやじ虫の言葉にショックを受けるフライドチキン男。しかしこの卑怯な行動は、シュシュトリアンの怒りに火をつけます。
改めてバトル再開。やる気あふれるシュシュトリアンの前に、おやじ虫は押され気味です。有効だったオヤジ言葉攻撃は、何故か使わなかったりするんですけどね。
おやじ虫は小刀を振り回してなんとか局面の打開を図りますが、それも取り上げられてしまい、何かの工作機械に頭を打ち付けられます。
「消えろ! おやじ虫!」
雪子のいつになく強い言葉を合図にシュシュファイナルが炸裂し、おやじ虫は光の玉となり、再び洞窟の中の朱修堂へと封印されてしまいました。いつもだと妖怪相手なら容赦なく消滅させちゃったりもするんですけど、おやじ虫は封印するだけで精一杯なんですね。さすが、おやじ虫。やってたことはセクハラエロオヤジなんですけど、やっぱり妖怪としてはそれなりに力のある存在だったんでしょうね。
おやじ虫に捕えられていた育ての母を助け出そうと、必死に網を取り払うフライドチキン男。中にいたのは、一羽のニワトリです。そのニワトリを抱きあげて喜ぶフライドチキン男。感動の再会のはずなのですが……、やっぱり片方がニワトリだと、どうしてもギャグシーンになってしまいますね。
回想シーンでは、育ての母は人間の姿だったはず……、と、思いきや、洗濯物を干す人間の女性のそばにいたニワトリこそが、本当の育ての母だったようです。なんだそりゃ。
まあ、いつもフライドチキン男には振り回されることが多いですし、そもそも今回の事件はフライドチキン男が若返りの秘薬で一儲けしようとしなければ起こらなかったのですが、育ての母に免じて、今回に関してはめでたしめでたしということでOKですかね。
そして山吹家では、お小遣いアップを図る為に英三郎の大改造が行われていました。
恵の前に現れたのは、三姉妹のコーディネートでいつもよりおしゃれになった英三郎。その様子を見た恵は、改めて惚れ直したようです。仲良きことは美しきことかな。三姉妹もそんな両親の姿を、ほほえましく見つめます。お小遣いアップ作戦は、成功したみたいですね。
しかしここで、花子が爆弾発言。
「でも、妹できたらどうする? 有言実行四姉妹になっちゃう」
江戸時代のシュシュトリアンも三人でしたけど、シュシュトリアンの定員って、三人だったりするんですかね。まあ、妹ができたら、12年後の酉年の平和を守ってもらうことにしましょう……、って、そもそも雪子、月子、花子がシュシュトリアンに任命されたのは、お酉様がカラオケ無しでは生きられない鶏肉になってしまったからなんですけど、お酉様って江戸時代から(カラオケが理由ではないにしろ)自分ではまともに酉年の平和を守ってきていなかったの? まあ、割と「さもありなん」、って感じではありますけどね。
[次回予告]
じめじめ、しとしと。嫌な梅雨の時期。洗濯物は乾かないし、買い物にも行きたくない。こんな日には、出前でも取って。そんな主婦の人はご用心。恐怖のアジサイ仮面が、カタツムリと、あなたを狙っています。
次回の有言実行三姉妹シュシュトリアンは、「アジサイ仮面の心」。お楽しみに。
杖を手に、巨大なリュックを背負い、どこぞの山中をさまようフライドチキン男。何かを求めて、洞窟に入ろうとしているようです。洞窟の入り口には注連縄が張られ、「とっても危険、立ち入り禁止」という立て札も立てられていますが、それを無視して奥へと入っていきます。いかにもやばそうな雰囲気ですね。
洞窟の奥には、小さな祠が建てられています。蜘蛛の巣を払い、祠の中から箱を取り出すと、中には巻物が収められていました。
その巻物には、その昔、江戸の町に妖怪・おやじ虫が出現したときのことが記されています。それによれば、妖怪・おやじ虫は江戸の若い娘たちにセクハラまがいの無体のし放題。しかしそれは江戸時代のシュシュトリアンの知るところとなり、激闘の末、朱修堂の祠に封じ込められてしまったのです。そしてそのとき、おやじ虫の元気の基である若返りの薬も一緒に埋められたのです。
この江戸のシュシュトリアン対おやじ虫のシーン、モノクロになり、サイレント映画みたいに台詞が映像の合間に字幕として挟み込まれるなど、時代劇っぽい演出が面白いですね。江戸時代のシュシュトリアンは現代のシュシュトリアンとは別の女優さんが演じています。詳細は不明ですけどスタントの方みたいで、やっぱり体格がたくましく、現代のシュシュトリアンよりも強そうです。江戸時代のお酉様って、現代のお酉様と同じ人物なんですかね。
フライドチキン男の目的は、妖怪・おやじ虫と一緒に埋められたという若返りの薬の方。この薬をドリンク剤にして大儲けしようというのです。
しかし、つるはしで祠の下を掘り返しているうちに、何やら嫌な音がしました。勢い余って、若返りの薬が入っていた壷を割ってしまったのです。他の場所にも埋まっていないかと、別なところを掘り返そうとするのですが、そのときにうっかり祠にぶつかり倒してしまいました。すると祠の中から、煙と共に封じられていた妖怪・おやじ虫が現れます。
「いやー、さすがに216年ぶりの娑婆の空気はうまい」と、首の骨をならしながらのん気に伸びをするおやじ虫ですが、若返りの薬が割れてしまっていることに気付いて態度を一変。近くにいたフライドチキン男を締め上げます。フライドチキン男も、我が身可愛さから、おやじ虫に許しを請うため、おやじ虫の手先となることを誓ってしまうのでありました。ほんとにこいつ、どうしようもないなぁ。
所変わって、山吹家の朝の風景。恵と三姉妹が食事をしているところにパジャマ姿の英三郎がゆっくり現れると、いきなりおならを一発。英三郎は「今日は快調だ、快調」と笑い飛ばしていますが、オヤジ丸出しの様子に女性陣からは大顰蹙です。
しかしここで月子が、もし英三郎を若返らせたらお小遣いをあげてもらえないかと言い出しました。もしそんなことが可能なら、願ったり、叶ったり。この提案に、恵も乗り気です。
早速三姉妹は、英三郎のオヤジ度をチェック。新聞を読みながらご飯を食べるとか、傘でゴルフの素振りをするとか、スタイルの良い女性の後姿を追ってしまうとか。チェックの魔の手は、しまいには風呂場での様子にまで及びます。うーん、まあチェックするのはいいとして、問題はそれを改善できるかどうかなんですけどねぇ。
そんな三姉妹にうんざりしている英三郎。タバコを吸い、ぼやきながら、ベンチに腰を下ろします。しかし、そんな英三郎に近づくのが、誰あろう、妖怪・おやじ虫です。背後から忍び寄ると、英三郎に乗り移り、身体の自由を奪ってしまいます。
おやじ虫に操られた英三郎は、近くに座っていた女性の肩をいきなり揉み始めます。女性は当然激怒して、英三郎に平手打ちをかますと立ち去ってしまいました。
しかしおやじ虫のいたずらはこんなことでは収まりません。今度は別の女性にターゲットを移すと、またもや背後から肩を抱き、「お姉ちゃん、今夜、どう? 空いてる? 攻撃~」と、ナンパするだけに留まらず、お尻を揉むという明確な痴漢行為にまで及んでしまいます。この女性からも平手打ちを喰らってしまいますが……。現職警官なだけに、通報されなかっただけマシだったかもしれませんね。
「見てはいけないものを見てしまった感じ……」
さらに悪いことに、その様子を雪子がバッチリと目撃していました。これは辛い。父娘、共に辛い……。
その頃、フライドチキン男は養鶏場にいました。何を聞いていたのかは不明ですが、大勢のニワトリに聞き込みをしているようです。ただし、有益な情報は得られなかったようですね。どうやら、フライドチキン男が赤ん坊の頃の話のようですが……。
そこへ現れる、妖怪・おやじ虫。おやじ虫はフライドチキン男に、若返りの秘薬を作り直すために、材料を集めてくるよう命じていたようですね。
しかしこのおやじ虫、フライドチキン男のうさん臭さ、信用の置けなさはばっちり見抜いているようです。ただの変態おやじかと思いきや、意外と頭も切れるみたいですね。おやじ虫を演じる三角八郎の重厚な演技もあって、やってることはセクハラ親父なのに、かなり大物っぽい雰囲気を湛えているんですよね。時代劇で言えば、藩主を傀儡化して意のままに操る悪家老クラスの風格です。
場面変わって山吹家。三姉妹が調べ上げたところ、英三郎のオヤジ度は99%。チェックリストのほとんどが埋まってしまっています。これは若返らせてお小遣いアップしてもらうのも、なかなか難しそうです。チェックリストの中で唯一チェックされなかった項目があるのですが、「どう見て……」と、文章の頭の部分しか確認できませんでした。一体、どんな項目だったんだろう?
そんなとき、花子が2階から降りてきて、ベランダに干していたハンカチがなくなったと訴えてきました。もっとも、雪子も月子も心当たりはないようです。花子は誰かに取られてしまったのかもしれないと疑っています。お気に入りだったのに~。
また場面が変わり、夜、月子が一人で歩いています。手に持った紙袋の中には、買ってきたドーナツが。おなかもすいたことだし、早く帰って食べようなんていっていますが、ちょっと話のつながりがおかしくない?
月子が家に近づいていくと、フライドチキン男が山吹家の門扉を乗り越えようとしているところに出くわしてしまいました。月子が慌てて身を隠すと、フライドチキン男は靴を手にして、こっそりと立ち去っていきます。フライドチキン男が持っていったのは、雪子の靴です。さっきの花子のハンカチと合わせて、これが若返りの薬の材料になるんですかね。
怪しんだ月子が後をつけていくと、フライドチキン男は工場のような建物へと入っていきました。しかし、フライドチキン男は謎の力でシャッターを通り抜けてしまったので、それ以上後をつけることができません。
そこで役に立つのが、忘れた頃に現れるシュシュトリアンの便利グッズです。月子はシュシュリップを取り出すと、唇にひと塗り。シュシュリップの力でピンク色の装束に身を包んだくのいちに変身すると、ジャンプして開いていた2階の窓から侵入することに成功しました。
シュシュリップには変身させる力があり、第3話「蜂妖怪・ザ・不幸」では、不幸なおじさんが食べようとしていたトラフグをカワハギに変えています。まあ、どっちも変身と言えば変身だけど、3話ではリップで空中に文字を書いてそれをトラフグに振り掛ける感じだったし、今回の使い方とはまるっきり別物だよね。
建物の中では、おやじ虫とフライドチキン男がなにやら密談しています。若返りの秘薬は、江戸時代のシュシュトリアンの手ぬぐいと、下駄と、腰巻を煎じて作ったものだったのです。それを現代のシュシュトリアンで作るために、花子のハンケチと、雪子のローファーを盗み出していたわけです。残るは月子の腰巻なのですが……。肌につけているものなら何でもいいそうなので、何かしら下着とかが狙われちゃうんですかねぇ……。ハンケチと靴の時点で既に窃盗罪ですけど、さらに犯罪レベルが上がっちゃいますねぇ。
しかしここで、月子がうっかり物音を立ててしまいました。それを察知したおやじ虫は小刀を投擲します。フライドチキン男が様子を見に行くと、小刀は月子が持っていたドーナツに突き刺さっていました。ドーナツ、こんな使い方なのかよ!
最後の一品を手に入れるため、フライドチキン男は月子の部屋へと忍び込みます。辺りを伺いながら箪笥を開け、パンツを手にとってほくそ笑むフライドチキン男でしたが、そこでいきなり明かりが点灯。フライドチキン男を三姉妹がにらみつけます。まあ、計画バレバレですしね。
手にした下着をズボンに挟み込むと、「お邪魔しました」としれっと立ち去ろうとするフライドチキン男ですが、もちろんむざむざと逃がすはずもありません。
しかし月子、自分の下着をフライドチキン男にむんずと掴まれているのに、妙に落ち着いていますね。かなり気持ち悪いと思うんですけど。囮のために、新品の下着でも用意していたんですかね。
フライドチキン男を問い詰めると、フライドチキン男は涙ながらに語り始めました。
「実は、育ての母を捜しているんです」
フライドチキン男の育ての母は、お酉様からフライドチキン男を預かり、物心つくまで育ててくれたのですが、生き別れになってしまっていたのです。おやじ虫の手先になってハンケチやローファーを盗んだのも、すべて育ての母を捜す資金を稼ぐためだったのです!
回想シーンでは、古い民家の軒先で、籠に入った子供のフライドチキン男が、庭で洗濯物を干す女性を笑いながら見つめているのですが、結局、どういう出生なんだろう? 第20話「原料魔がゆく!」では、フライドチキン男の原料はフライドチキンだったんだけど……。子供の頃から一応、人間のようなナリをしてはいるんですよね。しかも、お酉様の世話で育ての母をあてがわれている。お酉様がフライドチキンを原料としてフライドチキン男を作り、育ての母に育てさせたとか、そんな感じなんですかね。前回の次回予告では、「今明かされる、フライドチキン男出生の秘密」とか言っていましたけど、結局わかったような、わからないような……。
おやじ虫の前に現れたフライドチキン男は、三方にハンケチ、ローファー、下着を乗せて差し出します。ハンケチとローファーはともかく、下着は妙にてんこ盛りになっていますね。まあ、作戦なんでしょうけど、月子も自分の下着をここまで大胆に提供しなくてもいいのにね。やっぱりフェイクの下着なのかなぁ。それはそれで金かかりそうだしなぁ。そう言えば、ローファーをなくした雪子も地味に困っちゃうような。
それはさておき、秘薬を作るために、早速材料を火にかけられた大鍋に投入していきます。大きな柄杓を手にして、嬉々として撹拌するフライドチキン男とおやじ虫。ずいぶん楽しそうだなぁ。
頃合を見て、おやじ虫が味見をします。できるだけ味の濃そうなところを選んで柄杓でががぶがぶ飲んでいきますが、おやじ虫は顔色を変えます。
「なんだこれは!? 貴様、何か異物をいれたな?」
おやじ虫がフライドチキン男の胸倉を掴んだところで、シュシュトリアンの登場です。
「乙女盛りに命をかけて」
「風に逆らう三姉妹」
「花と散ろうか、咲かせよか」
「「「有言実行三姉妹、シュシュトリアン!」」」
平成のシュシュトリアンの登場に、驚きを隠せないおやじ虫。さらに雪子から、衝撃の事実が告げられます。
「今煎じて飲んだ下着の中に、オヤジ度数99%の山吹英三郎のトランクスが混じっていたとは気がつかなかったでしょう」
おおう、これは辛い。でも、変態目線ならともかく、一般人目線で冷静に考えると、一番キツいのはむしろ雪子のローファーの方のような気が。いや、やっぱり英三郎のトランクスの方かな? どうかな?
「古人、曰く『年寄りの冷水』」
いつもは別枠で解説するフライドチキン男ですが、今回はこの場に居合わせているので、そのまま諺の解説を始めます。まあ、有名な諺ですし、今回のエピソードとの関連もわかりやすい。おやじ虫にも「わかっとらぁ、そんなこと」と一喝されてしまいます。
もう江戸時代でもないんだし、セクハラなんか止めて、歳相応に知性をつけて、詫びさびの境地に入るよう勧めますが、もちろんそんな小言を聞き入れるようなおやじ虫ではありません。なにやら怪しげな術を使い、新宿の駅員さんと駅ホームのゴミ箱を出現させると、「駅のゴミ箱からスポーツ新聞、週刊誌漁る攻撃」を仕掛けます。スポーツ新聞や週刊誌を投げつけるだけなんですけど、なぜかシュシュトリアンは苦しんでいます。なんなんだ、それー!
さらに、手に持っていた扇子をジュリ扇(これも大概古いな……)に変化させると、「必殺オヤジ言葉攻撃」を仕掛けてきます。
「ヘイ、ベイビー。今夜は最高だぜ! みんな、乗っているかい? ナウいヤングも、フィーバー、フィーバー!」
ジュリ扇を振り回しながらの言葉攻めに、シュシュトリアンも耳を塞いで逃げ惑うばかりです。えーと、あのー、確かにこれらは当時でも死語だったかも知れませんけど、216年間も封じられていたおやじ虫が、なんで知ってるの?
おやじ虫のオヤジ言葉が恥ずかしすぎて、体が動かないシュシュトリアン。そんなシュシュトリアンに近づいていくおやじ虫ですが、そこへ颯爽とフライドチキン男が現れ、おやじ虫を羽交い絞めにします。おお、珍しく役に立っている!
「オヤジなんかより、シュシュトリアンの方がいいもん!」という叫びも、まったくもってその通り。そりゃそうだよね。
しかしここで、おやじ虫が衝撃的な言葉を発します。
「俺に手を出すと、お前の育ての母の命はないぞ」
妖怪を1000年もやっていると、あっちゃこっちゃにコネがあるそうで、フライドチキン男の育ての母は、既におやじ虫の手に落ちてしまっていたのです。やっぱりすごいな、おやじ虫。現代のオヤジ言葉も、このネットワークで調べたんですかね。
おやじ虫の言葉にショックを受けるフライドチキン男。しかしこの卑怯な行動は、シュシュトリアンの怒りに火をつけます。
改めてバトル再開。やる気あふれるシュシュトリアンの前に、おやじ虫は押され気味です。有効だったオヤジ言葉攻撃は、何故か使わなかったりするんですけどね。
おやじ虫は小刀を振り回してなんとか局面の打開を図りますが、それも取り上げられてしまい、何かの工作機械に頭を打ち付けられます。
「消えろ! おやじ虫!」
雪子のいつになく強い言葉を合図にシュシュファイナルが炸裂し、おやじ虫は光の玉となり、再び洞窟の中の朱修堂へと封印されてしまいました。いつもだと妖怪相手なら容赦なく消滅させちゃったりもするんですけど、おやじ虫は封印するだけで精一杯なんですね。さすが、おやじ虫。やってたことはセクハラエロオヤジなんですけど、やっぱり妖怪としてはそれなりに力のある存在だったんでしょうね。
おやじ虫に捕えられていた育ての母を助け出そうと、必死に網を取り払うフライドチキン男。中にいたのは、一羽のニワトリです。そのニワトリを抱きあげて喜ぶフライドチキン男。感動の再会のはずなのですが……、やっぱり片方がニワトリだと、どうしてもギャグシーンになってしまいますね。
回想シーンでは、育ての母は人間の姿だったはず……、と、思いきや、洗濯物を干す人間の女性のそばにいたニワトリこそが、本当の育ての母だったようです。なんだそりゃ。
まあ、いつもフライドチキン男には振り回されることが多いですし、そもそも今回の事件はフライドチキン男が若返りの秘薬で一儲けしようとしなければ起こらなかったのですが、育ての母に免じて、今回に関してはめでたしめでたしということでOKですかね。
そして山吹家では、お小遣いアップを図る為に英三郎の大改造が行われていました。
恵の前に現れたのは、三姉妹のコーディネートでいつもよりおしゃれになった英三郎。その様子を見た恵は、改めて惚れ直したようです。仲良きことは美しきことかな。三姉妹もそんな両親の姿を、ほほえましく見つめます。お小遣いアップ作戦は、成功したみたいですね。
しかしここで、花子が爆弾発言。
「でも、妹できたらどうする? 有言実行四姉妹になっちゃう」
江戸時代のシュシュトリアンも三人でしたけど、シュシュトリアンの定員って、三人だったりするんですかね。まあ、妹ができたら、12年後の酉年の平和を守ってもらうことにしましょう……、って、そもそも雪子、月子、花子がシュシュトリアンに任命されたのは、お酉様がカラオケ無しでは生きられない鶏肉になってしまったからなんですけど、お酉様って江戸時代から(カラオケが理由ではないにしろ)自分ではまともに酉年の平和を守ってきていなかったの? まあ、割と「さもありなん」、って感じではありますけどね。
[次回予告]
じめじめ、しとしと。嫌な梅雨の時期。洗濯物は乾かないし、買い物にも行きたくない。こんな日には、出前でも取って。そんな主婦の人はご用心。恐怖のアジサイ仮面が、カタツムリと、あなたを狙っています。
次回の有言実行三姉妹シュシュトリアンは、「アジサイ仮面の心」。お楽しみに。
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